東支部へ〜5
"目が覚めたら知らない場所にいて、しかも3日ほど記憶がないんだが?"
愛莉珠との鬼ごっこの末の3日にも及んだ燃え盛るハッスルタイムを得た理玖が目覚めて最初に思ったのがこれである。
理玖の最後の記憶は妙な液体が入った瓶を掴み損ねて中の液体を頭から被った辺りまでであり、気がついたら生まれたままの姿でベッドで寝ていて朝を迎えていたわけである。
倦怠感は無く、むしろスッキリした感じで例えるならば身体を全力で動かした後ゆったりと長風呂して寝る前に全身マッサージをしてぐっすり眠れた様な感じであった。
隣を見てみると全体的に艶が無くなって萎んでいる様に見える愛莉珠がうつ伏せで寝て……というよりかは気絶しており、噛み跡やらなんやら沢山あった。
理玖は自身の状態と愛莉珠の状態を見比べて記憶がない3日間で起こった出来事を悟った。
それからの行動は早かった。
まず自身と気絶している愛莉珠の身体を綺麗にした後、事後の跡が早く消える様に彼女が普段から愛用している軟膏を塗った。
その際、理玖は愛莉珠が起きているか確認する為に彼女の形の良い臀部を引っ叩いた。しかし、スパンッ!という気持ちのいい音が鳴るだけで反応がなかった。
その後、服を着せた後に彼女を背負って自分達が宿泊していく宿に向かい、介護は不要と判断して愛莉珠をベッドに放り投げて自分は支部の散策に向かう事にした。
………所々雑な所があるが、これは『これくらいなら怒らないだろう』という理玖の信用の証である。あとは飼い主に似てきているのもある。
そして理玖の単独行動なのだが……これは彼女にとって久方ぶりの単独行動である。
最近はどこに行くにしても愛莉珠との行動がほとんどであった。別に愛莉珠とのお出かけなどは嫌ではなかった。
ちなみにロイヤルハニーミルクパイの家出の件はノーカンである。
そうして1人東支部を散策していたのだが、すぐに終わってしまった。
一応、出店やらなんやらあるがやはり中央と比べるとどうしても閑散としている様に捉えてしまう。ただ、出店でもその地域特有の名物やらがあるので理玖はそれなりに楽しんでいた。
出店は鉱石採掘労働者向けの安くて量のある食べ物やスパイス多めの刺激的な料理に観光客向けのアクセサリー関係などが多く、中央ではあまり見ない光景だった。
それ以外では採掘場の近場というからなのか、宝石店や貴金属店が多くあり、覗いてみると値段が中央に比べて安く、中には中央の10分の1で売られている物もあった。
次に理玖は記憶の片隅に残っていた風俗街の方を覗いてみたが……………大盛況であった。
誰もが大なり小なり溜まっていたというわけである。
支部を周り終わった理玖はベッドに投げ捨てた愛莉珠の様子を見に行こうと考え、宿に向かおうとしたその時だった。
理玖の進行方向の先の道に明らかに人ではないナニカが佇んでいた。
ずんぐりとした人型なのだが頭が無く、代わりに首元に当たる部分に丸い宝石が目の様に埋まっていた。そしてよく見るとその身体はサラサラとした砂でできていた。
最初理玖は魔獣か何かが侵入してきたのかと思ったが、自分以外の周りが気にしていないどころかそのナニカに挨拶をしているところから誰かの使い魔かゴーレムだろうと考え付いた。
そのナニカは身体を左右に揺らしながら理玖に近づいていき、ある程度近づくとその場で立ち止まり自身の胸に向かって腕を突っ込んで何かを取り出した。
それは手頃サイズのプラカードでそこには『はじめまして』と丸っこい文字でそう書かれていた。そしてプラカードを出したのと合わせてそのナニカはお辞儀をした。
「ど、どうも……」
理玖が困惑しながらそう返すとナニカはプラカードをくるりと回転させて『ついてきてください』と表示を変えると手招きしてきた。
理玖は特に予定など無かったし何かあればすぐに逃げればいいと考えつき、着いていく事にした。
年末年始は色々と忙しいので来週はお休みします。
良いお年を




