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クルパドック大戦㉓かつての師団

「うん。悪いね。」



「ちっ!!クソガキィ!」



「ファイアーイフリートッ!!!」



「キャノンデビエンド!」



サンダーランドの放つ炎を全て受け止めたのは、フォーサーのキャノンデビエンドによる突風だった。サンダーランドの額が熱を浴びて汗を流す。しかしこの滴る汗は、瞬く間に冷たい雨のような水に変わった。


「え?」



「死ね。」



至近距離。まさしく0距離。点と点。線で結ばなくともよいような合致。


自分もろともやる気かっ!!



「デトナディアっ!」



「そうはさせっかよ!!!」


俺の握った拳に汗が擦れていく。足か腹、いや頬か。とにかくこいつと距離を取る。こいつを何とかぶっ飛ばす!!!


打撃強化<スラフストラフ>



「ぐあっっ!」


打撃をくらい、フォーサーが宙を舞った。


その時、指先に赤い稲妻のようなものがほとばしって、体全体を振動させるような痺れに襲われる。スラフストラフを込めた最大火力の打撃が、やつの腹を叩いた。でも、多分そうだ。フォーサーはどこまで殴ろうとも無限に立ち上がろうとする。恐らく構えていた魔法もカウンターで即発してくるはずだ。


受け流す、いや、引いた方がいい。


「来る。。」


「くたばれ。」



「デトナディア!!!」


爆風が背後、数歩の隙間のように狭い、ついそこまで来ていた。来ているというか、追われている。あいつはというと、空を舞いながら平然と魔法の狙いを俺に絞るという神業をしてやがるんだ。こりゃあまじでまずいぞ。


正直ここまでとは、思っていなかった。いや、舐めプってやつをしてたわけじゃない。あいつは仮にも師団級だ。ゴミでもカスでも、一応元師匠だ。簡単に勝てるわけないなんてわかってた。でも、宙に浮かびながら魔法を使うなんてものは、そんなものは、まったく聞いていなかったのだ。


どうにか打開。打開策を考えろ。


頭の中に、全血液を輸入していく。流れる、流れる。血管が破裂するまで、頭が破れるまで考えろ。溶岩が火山から噴き出すように、大量の泡のように、何かがあるはずだ。


「打開。」



スキル発動

魔法杖自動操作


「来た来た来た来た来た来たああ!!!」


溶岩、爆発。スキルしかない。あとは、勝手に暴れてくれよ魔法と俺の手。



「なにが打開だよ、お前は今、逃げることでやっとだろ。なのに、よくもそこまで余裕なフリを出来るな。強がりはやればやるほど弱くなることを教えなかったか?いや、教えてなかったかな。すまんな、忘れていたやもしれない。」



「くっだらねえ。御託はいらねえって、さっきから言っただろてめえ!!!」



爆風、切り抜けろっ!!!


空気を分かつように、黒煙のど真ん中を体が突き進んでいった。


空中浮遊<レビテーション>



「飛ぶ。飛ぶのか。お前らしくないな、この技は難易度が高いというのに。俺に空中戦を仕掛けるつもりか?」



「違うねっ!!もっと上だ、ボヒェル!!」


上昇移動<ボヒェル>



「は!?」


地から天。瞬間移動の上昇化。自動操作に意思はないが、最も勝率の高い戦いを最速で導くことのできるスキル。俺にはこれがある。逆にこれ以外、こいつに勝つ方法など一切ないとまで言える。



「飛ぶだけで意味なんてねえ。先に降ろす!!ソニック・・・・・・」




「がっ!!それはやばっ、」



「ブーム!!!!!!<衝撃波>」



地面が揺れるほどの衝撃波が、空にギラギラと鳴り響く。空気が割れるような甲高い音とともに、サンダーランドの体は地面へと急速落下をしていった。



「とまれ、止まれ止まれ、、とま、れ!」



スキル、スキル。動け魔法。バリタ。頼む、打開してくれ・・・・・・・!!



「へ、落ちたな。所詮こんなものか。」

フォーサーが眉を下げながら大きい唾を地面に吐いた。


反対に、上限値ほどにまで上昇したサンダーランドの体は、その場から物凄いスピードによって、急速落下をしてしまい、背中に強い衝撃をくらうようにして強打をした。だがそれでも、スキルは彼の手を止めることはなかった。



「い、、、デ、サスト・・・・・・。」


デサスト<土砂魔法>

震える腕で発せられた声。この声もやはり小さかった。だがそれでも、放たれた魔法の強さにこそ影響はなかった。


「土砂魔法!?クッソ、カウンター狙いか!!」


この土砂魔法であいつを一気に潰す。油断している今ならば、体ごと粉々にできるという算段を組み立てていた。これで俺の勝ちだ。



「潰れろ!!!」




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