クルパドック大戦⑩マクシム•アクセル
「とどけーっ!!」
変形体によって自身の体を小さな星に変え、津波の影響を受けず、仲間2人を助けようとした。しかし、星のメタモルフォーゼはわずか数秒の間しか変身することができず、ヤマタノオロチの足下に辿り着いたタイミングで、変身時間に限界が来てしまう。
「っ!?メタモルフォーゼが、」
「マサムネっ!!津波が来るぞ!急げっ!!」
「津波………」
マサムネの頭上には大きな波が迫っていた。レンドラピオやモビメンで移動をしなければ、呑み込まれる。だがマサムネにはもう魔法を発動する体力すら残されていなかった。
ぎゅっ!
「せめて、2人だけは………。俺がぜってぇ守る………」
マサムネは、仲間の2人を抱き寄せて目をつぶり、死を覚悟した。
エミリアーツはその決死の姿を見て、敵でありながらどうにか助けようと瞬時に考えた。答えは一つのみ。
「くっそ、間に合うにはこれしか………。最大出力で行くしかない!」
魔法陣
マクシム•アクセル
空中で魔法陣を展開し、虹色の円の中心にいるエミリアーツに最大出力がかかる。その次の瞬間。
ドカアアアアアアアン
「うあああああああああああっ!!」
「何………だ、」
意識を失いかけていたマサムネの耳にエミリアーツの叫び声が近づく。声の方を振り返ることすらできぬマサムネを残りの仲間2人と一緒にエミリアーツが抱え、津波の範囲外へとなんとか逃げることに成功した。
「はぁ………はあ………」
「なんとか間に合ったぜ、、」
木の幹にぐったりと倒れたままのマサムネがゆっくりと口を開く。
「何で助けたんだよ、俺はお前の敵だろ。」
「敵だから助けちゃいけないなんてルール、誰が作った?お前か?」
「一応感謝しとくよ。ありがとう。お前がせっかく生かしてくれた命だ、俺があいつを殺す。」
「俺だってまだできる………あいつの動きを止めるくらいなら、やれる!!」
「っざけんな、お前はもう限界だろ!」
普段使用しない魔法陣を展開したことによって誰が見ても限界と言える状態にまでボロボロな体に、エミリアーツは変化してしまっていた。
右半身の大火傷は顔面にも影響し、右目はとっくに失明していた。
「あの魔法陣は、俺には不完全だったみたいだ、でもそれじゃあやりきれねえ。俺に最後の大仕事を任せてくれないか、俺はもうじき死ぬ体だ。頼む………」
「っ………俺があいつの頭上に向かう、合図を送るからそのタイミングに、ヤマタノオロチの全身を停止させてくれ。」
「まかせろ、それくらい余裕だ。俺は、師団だからな。」




