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脱出

「この人は、なに?なんなの?早く言ってよ!」


モタモタしていれば本当に俺たちまで死んでしまう。ならばここで全てを言うしかない、隠していても………



「俺の母親なんだよ、その人は。」



「な、、」


目が大きく見開いてその丸い眼球には驚きの光がさしていた。


カラーは数秒間思考が止まったのか体もそのまま固まったままだったが思い出したかのように動き出してこう言った。



「ならなおさら助けないと!なんで早く言わないの!」



「ダメなんだよ、助けちゃ………」



「え?いや、は?どういうこと?」



「早くこの城を出よう、そんなやつ置いていけばいい。」



「助けないと!お母さんなんでしょ!ねえ、サンダーランドっ!」



「そいつはもはや母親なんかじゃない、ただの権力に溺れたクズだよ。でもこの話をするのは少しだけ長くなる、だから早くこの城を出ないといけないんだ!」



「くっ………わかったわよ、」



スキル発動

魔法のホウキ



「掴まって!いくよっ!一気に外まで!」



「窓を突き破るには体で当たるしかない、でも火が近くにあるし………危なすぎる、」



「窓を突き破るのは無理ね、城内からそのまま出るしかない、!」



ボフッ



「あっつ………!」



「ケラー!」



「早く行かないと、ホウキが耐えられない、でも………」



ケラーは全速力を出すことを躊躇っていた。全速力をホウキを使って出してしまうとコントロールの難易度が急激に跳ね上がり、あまりの難しさにサンダーランドを支えられないと踏んでいた。



「………怖い?大丈夫だよ、俺がいるから。」



「わっ、!」



ケラーが握っていたホウキの先を同じように手で握って後ろからケラーを覆うような体勢をとった。



「一緒に動かせば、きっと助かるよ。俺がついてる!」



「うん、!」



レンドラピオ



ビュンッ!!!!!!!!



青い光を放つほどのスピード、やはりあまりの速さにホウキの操作はブレて右往左往、様々な方向に揺れて不安定な状態になっていった。



「だめっ!」



ケラーはサンダーランドの死を感じでホウキを無理やり止めようとした。このままではホウキからサンダーランドが振り下ろされてしまう、炎の中に放たれれば間違いなく焦げた真っ黒な死体になる、そうなるくらいならばここでホウキを止めるしかない、そう考えた。



「止まれ!止まれ!」



「ダメだよ、ケラー!」



「止まんないと、サンダーランドが落ちちゃうでしょ!」

「そんなのいや!」



「落ち着け、落ち着け!ケラーッ!」



「はあ、はあ………」



「そうだ、いいぞ。ゆっくりな」



サンダーランドは握っていたホウキの先をさらに強く握ってケラーに体をさらに密着させてケラーを落ち着かせようと試みた。



「ごめん………私がパニックになってた。」



「大丈夫だ。あと少しで城内から出れる、ここまで運んでくれてありがとな。」



城の出口として巨大な扉が存在していて、その扉はすでに開いている状態だった。充満している黒い煙がそこからスーッと抜け出して消えていっている。


その煙を避けるように外へとホウキでゆっくりと飛び出していくと、ついにあの城下町へと続く道が見えてきた。外に出てきたのである。



「脱出完了………」



「はあっ、はあ………」




「大丈夫かケラー、」



「うん、なんとか」



ケラーはホウキを消してからすぐに倒れるようにして地面に横になってしまった。俺は少し不安になって体に異常がないかを何回も聞いてしまったが何もないらしかった。



ピー



「ん、トニーだ。」



「おいっ!聞こえてるか!サンダーランド、それとケラーもいるよな!」



「おう、2人聞こえてるぞ。」



「やべえことが起きた、聞いてくれ。」



「やばいこと………?」



「アサシンの全勢力とトリックスターの全勢力が街中でぶつかりあってんだよ!もしかしたら近くに奴がいるかもしれない、気をつけろ!」



「やつ、?」



「ローカル・サンダーランドと、レーファンを殺したシルクスクリーンだ。」

「やつらはお前らの近くに必ずいる。」

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