クルパドック
「街って、どこら辺?」
「……昔、現実世界でね。レオナドフ教の信徒が集団となって、世界中を飛び回った時があったの。それに私も無理やり参加させられて。ああ、と言っても旅行みたいな楽しいもんじゃないよ?ただ、世界中にあるレオナドフ教の教会を旅するだけ。」
「その時に?たまたま?」
「ゲーム世界がまだ出来て数年のころぐらいに、ローカルによってゲーム世界は一気に変わった。その変貌をチャンスだと捉えたマチルダと信徒たちは、ゲーム世界への一成アクセス、さらなるハッキングを計画してた。」
「そうして、レオナドフ教が一丸となって調べた結果…旅の中でちょうど訪れていた町のどこかが、ゲーム世界では運営場所に繋がった扉があることがわかった。」
「その町の名前が、ヨロッパの王国、クルパドック。」
「クルパドック…!?は、どういうことだ?なんで、クルパドックと関係が?」
「どうしたの?サンダーランド。」
「え…まさか知らないのか?クルパドックはローカルが王として仕切っていた国だ。そして、その王は霧のように姿を消して…」
「グラハム…それ、まじか。ってことは、ローカルはゲーム世界、いや…運営場所も知っていた可能性がある。キャラスフェインガーともそこですでに関わっていた?」
「トニー!サンダーランド!とにかく、急ごう。クルパドックにワープしなきゃ!」
「う、うん。」
トニーとミリアは、もう慣れきったワープの準備には大した時間を要さなかった。でも、俺はまだ1人、ワープの準備が出来ていなかった。俺は、クルパドック、親の監禁から逃れられて、たとえここがゲーム世界だとしても…幸せという形がやっと、俺の人生という板の上で浮き彫りになってくれたのに。
なのに、またあの場所に戻らなきゃいけないのか?
「サンダーランド?大丈夫、か?」
「頼むっ!!先に向かってくれ。俺もケラーを探してすぐそっちに行く!」
「うん!わかった!」
ダメだ、こんなんじゃ。俺はもっと、みんなのために強くならねえと!!
レンドラピオ
「ケラーの場所…!居た、あっちか!」
「頼んだよ、サンダーランド。…ワープ!」
「ケラーっ!」
1人廊下を歩くケラーを見つけて、壁に音が反射するほどの大声をケラーにぶつけて、その足を止めた。
「っ?な、なに!?」
「ごっ、と。ふー、、セーフ。じゃなくて、早く俺についてきてくれ!ケラー!」
「だからなに?どういうこと?」
「説明はついてから、ほら!手っ!」
もちろん、このオーガニゼーションの団員はほとんどが信じられない状態。そのため、ここで詳しいことを説明している暇はなかった。
「え、え!?」
「ワーップ!」
◆
「っ、、眩しい。…ここが、、クルパドック!」
「ねえ、サンダーランド!早く質問に答えてよ!どういうこと?」
気付くと、高い丘の上に俺たちはワープをしていた。丘から見える景色は、稀に見る絶景で、下にはたくさんの建物があって、その上に巨大な城が聳え立っていた。
「うわー…綺麗な城下町!」
ケラーが目を輝かせて喋った。
「城下町?ここの町を城下町って言うの?」
「うん、まさか知らないの?城の下の町を城下町って言うんだよ?」
「ふーん、、、あ!っていうか、」
「そんなことどうでもいいよ!早く説明して、ここはどこ?何のために私をここに連れてきたの?」
「ケラーに協力してもらいたいことがあるんだ!運営本部に繋がるドアを一緒に探して欲しい!」
「運営本部っ?!サンダーランド、それ本当に言ってる?まさか、この町のどこかがそこに繋がってるっていうの?」
「うん、そうだよ。それと、ここはクルパドックという王国!いいね?」
「わかった。ありがと。」
ブンッ
データベースが音を立て、トニーとミリアの声を流し始めた。
「今、どこ?2人!」
「こっちは、丘の上。」
「丘…わかった!すぐそっちに向かう!」
「わかった。それで、扉は見つけた?」
走る音に合わせて息がどんどん荒くなっていく、喋りづらそうにトニーが、「ま、、だ!」と話したのをなんとか聞き取って、俺は相槌をゆっくり打った。
「おい、ミリア!……ミリア?」
「どうした?トニー?」
走る音が突然止んで、トニーが必死に走るその足に急ブレーキをかけたのがわかった。
「いや、それがな。いねえんだよ…さっきまでついてきてた、ミリアが。」
「は?」
「サンダーランド、トニー!それ、敵だよ、敵が…近くにいる!!」
「ファイアーイフリート」




