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第86話 エピローグ

 

 あれからしばらくしてもカレンから連絡がなかったので、俺はカレンの家に行ってみることにした。

 家のチャイムを鳴らす。

 しばらくして、カレンが出てきた。


「せん……ぱい……?」

「おう、カレン、どうしてるんだ……?」


 俺が挨拶した瞬間だった。

 カレンはいきなりドアを閉めようとした。

 俺はあわてて、ドアを抑える。


「ちょっと……! なんだよ」

「はなしてください。先輩とは会いたくありません」

「な、なんでだよ……」

「だって、だって……」


 ふと見ると、カレンは寝巻のままだった。

 しかも、長い間着替えてもいない感じだ。

 家の中はものすごい異臭がしている。


「お、お前……ほんとうに大丈夫か……?」

「先輩のせいです……」

「と、とりあえず。中に入れてくれ。話をしよう。俺が悪いのならあやまるから」

「……先輩は悪くないです……。私が全部バカなんです……うええええん」

「どっちなんだよ……」


 カレンはその場にしゃがみ込んで泣きだしてしまった。

 俺はドアを開けて玄関に入る。

 するとカレンの部屋がめちゃくちゃ汚れていることに気づいた。

 ゴミは捨てられてないし、異臭がすごい。

 なんだこれ……。


「お前……いったいいつから風呂にはいってないんだ……」

「さあ……わかりません。先輩のスキャンダルが出た日からです」

「一週間か……。いいから、お前はいまから風呂に入れ」

「え……ちょっと……」


 俺はカレンを抱えて、風呂場に連れていく。


「お前が風呂に入ってるあいだ。俺は今から部屋を片付ける。全部俺のせいなんだろ? だったら俺にまかせておけ」

「え、ちょっと先輩……!」


 俺はカレンの部屋を片付けはじめた。

 急いでやって、カレンが風呂からあがるころには、だいたい片付け終えた。

 さて、そろそろカレンが戻ってくるころかな。

 そのときだった。

 なんと風呂場から、カレンがバスタオル一枚で現れたのだ。


「な……! おい、ちゃんと服きろよ」

「嫌です……」


 すると、カレンは俺に抱き着いてきた。

 バスタオル一枚だから、身体が密着してやばい感じになっている。


「ちょ……おい、なにしてんだ」

「だってこうでもしないと、先輩鈍感だから、気づかないじゃないですか」

「はぁ…………?」

「ねえ先輩、今から私と浮気しましょう? そしたら、許してあげます」

「馬鹿いうな。そんなことできるか」

「……そう……ですよね……。先輩は私になんか興味ないですよね……」


 俺は、そこでようやく気付いた。

 そうか、カレンは俺のこと……。

 だけど、こんなやり方は間違っている。


「いいか、カレン。もっと自分を大事にしろよ。こんなことやってもだめだ。俺は色仕掛けで落ちるような男じゃない。お前に興味がないわけじゃない……」

「じゃあ……」

「だけど、俺はもうサリナと付き合っている。だから、すまん。お前の気持ちにこたえることはできない」

「そうですよね……」

「ごめんな……」

「いえ、私こそ、もっとはやくに行動するべきでした。もし、もしもですよ? もしサリナさんより前にアタックしていれば、チャンスはありましたか?」

「そうだな……あったかもな……」


 カレンが落ち着くのを待って、俺はカレンの家をあとにした。

 カレンは今でも大事な後輩だ。だけど、その気持ちに答えることはできない。

 中途半端はよくないから、俺はきっぱりと断った。

 悪いとは思うが、他にどうしようもない。


 ◆


 それから、連絡のないひかるんの家にもいくことにした。


「なあ、ひかるん。どうしてる……? 大丈夫か……?」

「ハヤテさん……?」


 すると、中から干物みたいになったひかるんが現れた。

 またしても部屋は異臭をはなっている。

 お前もか……。


「なあ、ひかるん、なにしてるんだ……?」

「知りませんよ。ハヤテさんのばか」

「えぇ……?」

「サリナさんとよろしくやってんじゃないですか?」

「あのなぁ……」


 俺はひかるんの家に入る。


「何日風呂に入ってないんだ?」

「一週間です……」

「お前も風呂に入れ」


 俺はひかるんを抱えて風呂場まで連れていく。


「掃除と、昼ごはんつくっておくから、風呂に入ってこい」

「はい……」


 俺はカレンのときと同じように、ひかるんの部屋を掃除する。

 すると、ひかるんは、なんと全裸で風呂場から出てきた。


「ちょ……なにしてんだ……!」

「ハヤテさん。だって、ハヤテさん鈍感だから、このくらいしないと気づかないじゃないですか」

「はぁ……!? だからってお前……!」


 それに、ひかるんは高校生だぞ……!?

 こんなとこ見られたらつかまってしまう。


「ハヤテさん、好きです。一生一緒にいてください」

「ちょ、ちょっと待て」


 ひかるんは高校生だ。俺とは年がはなれすぎている。

 その気持ちに答えるわけにはいかない。

 俺の理性、がんばれ。


「ハヤテさんは初めて信頼できると思った大人なんです。それが、サリナさんにとられたような気がして。もう会えなくなるんじゃないかって思って。私だけのハヤテさんでいてほしいんです。お願いします。いっしょにいるという証をください……!」


 ん……?

 それって……。


「まて、ひかるん。ひかるんのそれは、恋愛感情じゃないんじゃないか……?」

「え…………?」

「ただ君は、父親がいなくて、それを俺に求めているだけなんじゃないか?」

「そう……なのかもしれません……。でも、とにかくハヤテさんと一緒にいたいんです。サリナさんにとられて、お別れなんていやです!」

「まてまて。大丈夫だ。俺はどこにもいかない。俺は君を、大人として守るときめたんだ。だから君がのぞむかぎり、ずっといっしょにいるよ」

「ほんとですか……?」

「ああ、だから服を着てくれ」


 ひかるんはきっと、父親がほしかっただけなのだ。

 俺はそれにつけこんで、高校生を抱くこともできた。

 だがそれは大人としてやってはいけない。

 俺の理性が本能に勝ったのだ。

 それに俺には、サリナとう人がいる。


「なあ、ひかるん。そういうことなら、正式に俺の養子にならないか?」

「え……? 養子ですか?」

「ああ、俺はこんど、引っ越しを考えているんだ。今の家はマスコミにもバレているし、狭いしな。ドラゴンを飼うには狭いだろ? 金もあることだから、今度は、ちょうでかい家に引っ越そうと思っててな。しかも、牧場つきの家だ。そこなら、おもちやだいふくも遊べるだろ? みんな放し飼いにしてさ。モンスターももっと増やそうと思うんだ」

「いいですね」

「だろ? そしてサリナと結婚してそこにいっしょに住もうという話になっているんだ。だから。君もいっしょに暮さないか? 俺とサリナの養子として」

「わかりました……。うれしいです。私、ハヤテさんの養子になります!」


 ということで、ひかるんを正式に養子として迎えることにした。



 ◆



 それから、俺たちは三人で暮らすことになった。

 サリナと結婚し、子供もできて幸せに暮らした。

 大きな家で、牧場もあって、モンスターたちも幸せそうだった。


 




 

【あとがき】


これ以上続けるのも蛇足かと思いますので、締めとします。

さいご駆け足でしたが、一応完結とします。

最後までお読みいただきありがとうございました。


よろしければ最後に☆評価をよろしくお願いいたします。


また新連載をはじめました。

ぜひ読みに来てください!

ランキング入りしてます。

下の方にリンクもあります。


転生したら世界樹だった件

https://book1.adouzi.eu.org/n2257ji/

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《連載版はじめました▼》
  転生したら世界樹だった件
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― 新着の感想 ―
うわあw 何か色々盛りだくさんでお得感がありますね。 面白かったです、良い物語をありがとうございました。
[一言] 完結おめでとうございます。ハーレム期待してましたが一人に決めましたか。幸せならいいです。カレンにも幸福があることを祈ってます。
[一言] 第一章完結おめでとうございます(≧▽≦) ん?完結済みになってますが、続きは名前変わります?(´゜д゜`)
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