表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/87

第76話 もっとひどい目に合わせようぜ


 ひかるんの母は、警察に捕まった。

 そしてこれから裁判にかけられ、罪状がいいわたされることになる。

 ひかるんの母の罪状は、懲役15年だった。

 だが、この判決に、ネット上は荒れた。

 普通の殺人未遂であれば、妥当な刑期だが、ひかるんの母が刺したのは世界の英雄でもある辻ヒーラーおじさんだ。

 ネット上の辻おじファンたちは、ひかるんの母にもっとひどい罪を与えろと、怒り狂った。


 

 ◇



 822: 名無しのダンチューバー

 おいこんなんおかしいだろ

 なんで死刑じゃねんだよ


 823: 名無しのダンチューバー

 クソババア、死ねよ


 824: 名無しのダンチューバー

 死ぬべきだろ

 ダンジョンに置き去りにしろ


 825: 名無しのダンチューバー

 こんなんじゃ許せないよ

 ひかるんのために死んでくれ


 826: 名無しのダンチューバー

 ひかるん傷つけて

 辻おじ刺して

 死刑じゃないなんて


 827: 名無しのダンチューバー

 死刑じゃすまされない

 もっとひどい目に合わせようぜ


 828: 名無しのダンチューバー

 これもう私刑するしかねえぜ


 829: 名無しのダンチューバー

 警察に任せてられねえ


 830: 名無しのダンチューバー

 よし、俺に任せろ


 831: 名無しのダンチューバー

 ひかるんの母攫ってダンジョンに置き去りにしてくるわw


 832: 名無しのダンチューバー

 おいマジかよw

 さすがにその書き込みはやばいだろ……


 833: 名無しのダンチューバー

 いや、俺マジでやるから


 834: 名無しのダンチューバー

 捕まるぞ


 835: 名無しのダンチューバー

 俺はひかるんのためにババアを殺すぜ



 ◇



 最後にそう書き込んだのは、滝川アソレこと、関口俊太郎だった。

 彼はあれからも、ひかるんの熱心なファンであり続けた。

 今回のこと、ひかるんの母がひかるんにしたこと、関口はそれがどうしても許せなかった。


「ひかるんは僕が守るんだ……! あのババアを裁くのは僕にしかできない……! 待っててねひかるん!」


 関口は、裁判所まで車を飛ばした。

 

 裁判所から、ひかるんの母が、連行されるそのとき。

 一瞬の隙を、関口は狙った。

 連行する警察たちに、攻撃魔法を飛ばす。

 そして一瞬のうちに、ひかるんの母を攫い、自分の車に乗せたのだ。


「な、なんなのあなたは……!?」

「僕はひかるんのファンだ。ひかるんの代わりに、あんたを殺す……!」

「ひぃ……!? あ、頭がおかしいわ……」


 関口は、車を飛ばしてダンジョンにやってきた。

 そして、ダンジョンをどんどんと進んでいく。

 ダンジョンの下層について、関口はひかるん母の手をようやく放した。


「じゃあな、二度とこっから戻ってくるな。ひかるんのために、死んでくれ」

「な、なにをいっているの。バカなことはやめて……!」

「うるさい! 馬鹿はお前だろ! ひかるんを傷つけやがって! 許せない……!」


 関口は、ダンジョンにぽっかりと開いた穴に、ひかるんの母を突き落とした。


「きゃああああああああああああ!!!!」

「はっはっは、ざまぁみろ! 地獄で後悔するんだな!」


 そのときだった。

 関口を追いかけてきた警官隊に、関口は後ろから羽交い絞めにされる。


「拘束しろ……!」

「ふん……僕の目的はもう達成した。もう遅い!」



 ◇



 その日の夕方、ニュースが流れた。

 

「滝川アソレこと、関口俊太郎容疑者が、殺害容疑で逮捕されました。関口容疑者は、人気ダンチューバーひかるんの母親、錦木野楓さんをダンジョンの奥地に連れ出し、突き落したとの罪でつかまっています。関口容疑者は、これがひかるんのためだとかなんだとか、わけのわからない供述を繰り返しており……」

 


 ◇


 

 121: 名無しのダンチューバー

 おいニュース観たか?

 

 122: 名無しのダンチューバー

 あれ滝川アソレだったのかよw


 123: 名無しのダンチューバー

 あいつマジでやりやがったのか……


 124: 名無しのダンチューバー

 アホだな


 125: 名無しのダンチューバー

 でもナイス

 正直せいせいした


 126: 名無しのダンチューバー

 わかる

 ひかるんの母とか死ねばいいしな


 127: 名無しのダンチューバー

 ちゃんと死んでくれてラッキーだわ


 128: 名無しのダンチューバー

 おいお前ら、不謹慎だぞ

 さすがにないわ


 129: 名無しのダンチューバー

 は?あんなババア死んで当然だろ


 130: 名無しのダンチューバー

 ついでにアソレもつかまってくれてラッキーだわw

 あいつ嫌いw


 131: 名無しのダンチューバー

 どっちも地獄に落ちろ



 ◇


 

「きゃあああああああああああああ……!!!!」


 ひかるんの母、楓は、ダンジョンの大穴を真っ逆さまに落ちていった。

 そして、ぽよん、なにかにぶち当たり、地面に倒れる。

 ぶつかったのは、大きなスライムの身体だった。

 スライムのおかげで、なんとか一命は採り遂げたのだ。


「な、なんとかなったわ……ここはどこ……? くそ、なんてこと……! 最悪な目にあったわ……。それもこれも、全部あの子のせいよ。もとはといえば、こんな忌々しいダンジョンなんかが世界に出来たせいよ」


 そのときだった。

 スライムの後ろから、巨大な熊のモンスター、ブラッディベアが顔を出した。

 お腹を空かせたベアは、楓にとびかかった。


「きゃあ……!?」

「ぐるああああああ!!!!」

「いやああああああああ!!!!」


 ベアは楓の腹を一気に引き裂いた。

 そして、生きたまま肉を喰らい始める。


「いやあああああ! 痛い痛い! やめてええええええええ!!!!」


 ダンジョンに、断末魔の悲鳴がこだまする。


「いやよ! 絶対嫌! こんな獣に食われて死ぬのなんて、嫌ああああああああ!!!!」


 そして、楓の意識はゆっくりと、痛みの中で途絶えていった。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

《連載版はじめました▼》
  転生したら世界樹だった件
ぜひ応援よろしくお願いしますね!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 皆すごい簡単に下層まで行くなぁw
[気になる点] 罪状は罪を犯した状況(この小説の場合辻おじを指した時の状況)の事なので、この場合は判決が正しいですよ。
[一言] 完結になってるよ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ