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第60話 魔女さんは何でも知ってますから


 ひかるんは亜人症で20歳までしか生きられない。

 だが、目の前にいる獣人たちは20をはるかに超えているという。

 これはいったいどういうことなのだろうか。

 俺はさらに獣人たちに話をきく。


「なあ、獣人の寿命が20歳までなんてことは、ないんだよな?」

「なんですか?それ、ありえないです……そんなことは」

「だよなぁ……」


 なにか彼女たちが手掛かりになるかと思ったのだが……。

 もっと深く探りを入れるために、俺はある程度正直に話してみることにした。

 俺たちが異世界からきたというのは話さずに、ひかるんの寿命のことだけを話す。


「実は……俺たちの故郷では、亜人の寿命は20歳までと言われていてね……。それを解決する方法を探しているんだが……なにか知らないか?」

「そうですねぇ……そんな話、きいたこともないですけど……。あ、魔女さんならなにかわかるかもしれません」

「魔女……?」


 獣人たちは、みな、口をそろえて魔女を頼れと言ってきた。

 魔女とは、いったいなんなのだろうか。


「その魔女っていうのは……?」

「なんでも知っている人です。魔女さんなら、そういったことに詳しいですので」

「なるほど、その魔女にはどこに行けば会える?」

「さあ……知りません」

「えぇ……? 君たちはあったことあるんじゃないの?」

「いえ、魔女さんにはあったことありません。魔女さんはどこにいるのかも、誰も知りません」

「えぇ……じゃあ、なんで魔女に会えばいいってわかるんだ?」

「魔女さんは何でも知ってますから」

「うーん」


 獣人からきいてわかったことは、それだけだった。

 魔女というのがどこかにいるということ。

 魔女にあえば、なにかわかるだろうということ。

 うーん、結局なんにもわからないのと同じじゃないか……。


 すると、商人のハモンドが話をきいていたのか、話に入ってきた。


「ハヤテさん、その魔女というの、俺も知っていますよ。話にだけきいたことはあるんですけどね……。商人のあいだでも伝説の人物として語られています」

「そうなのか」

「まあ、謎の多い人物なんですよ。いろいろ尾ひれのついた噂もありますしね。大昔に戦争を一人でおさめたとか」


 俺とひかるんはいろいろと話しあって、その魔女を探してみようという話になった。

 他になんの手がかりもないのだ。

 だがやみくもに情報を集めるより、魔女を探すことに的をしぼったほうがやりやすいだろう。


「よし、じゃあその魔女とやらを探してみよう」

「魔女を探すのであれば、街へ出るのがいいですね。冒険者ギルドなどを頼れば、なにか情報がみつかるかもしれません。よかったら、俺が送っていきましょうか?」

「ああ、頼む」


 ハモンドは商人としての仕事で、また街へ戻るという。

 なのでそれにのせてもらって、街まで出ることにした。

 ちなみに、盗賊たちは街からやってきた騎士団に引き渡したようだ。

 獣人たちの何人かは、そのまま村で暮らすことを決めたようだ。

 残りの何人かの獣人は、俺たちと一緒に街へ連れていってもらい、街で仕事を探すつもりらしい。

 ということで、俺たちは馬車に乗せてもらって、町へ。


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