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第59話 よもぎ、かえんほうしゃ


 盗賊のアジトには、たくさんの獣人が奴隷としてとらえられていた。

 まずは彼女たちを解放しよう。


 俺はひかるんとともにしゃがみ込んで、隠密で見張りの盗賊に近づく。

 檻の見張りをしているのは二人の盗賊だった。

 ひかるんとせーので、後ろから盗賊の首を絞める。

 そして盗賊を気絶させる。


「よし。解放しよう」


 檻の中の獣人たちは、不安そうな目をこちらに向けてくる。

 しかしひかるんが帽子を脱いで自分の耳を見せると、獣人たちは安心した顔つきになった。

 どうやら仲間だと思ってもらえたようだ。

 

 俺は奴隷の檻に向かって、炎魔法を放つ。

 檻の鍵は簡単に外れた。


「みんな、助けにきたぞ。ここから逃げるんだ……!」


 俺は獣人たちを外に出す。

 そしてだいふくといなりに護衛してもらって、村まで先導してもらう。

 とりあえず獣人たちを村まで送り届けよう。

 そうこうしていると、さすがに他の盗賊に見つかってしまう。

 洞窟から出てきた男が俺たちを見つけて叫ぶ。


「あ、おい! 獣人が逃げてるぞ! なんだお前らは……!」


 男の声に反応するように、他の盗賊も洞窟内からぞろぞろと出てきた。

 全部で15人くらいだろうか。

 中にもまだボスがいるのだろうか。

 とりあえず、獣人さえ逃がしたから、あとはボコボコにするだけだ。


「村に行った連中が戻らねえと思ったら……てめえらのしわざか!」

「さあね」


 盗賊たちは武器を抜いて、俺たちに向かってくる。

 だが、そんなの全然怖くない。

 俺は空中を見て、命令する。


「っは! 戦いの途中に、どこをよそ見してやがるんだ! 上になにがあるっていうんだ――って、……なんだこりゃあああ……!?」


「よもぎ、かえんほうしゃ」


 すると、空中から盗賊たちの足元に向けてよもぎのドラゴンブレスが炸裂する。


「ぎやああああああああ!!!!」


 さすがに盗賊を殺すつもりはないので、足元に向けて牽制だ。

 盗賊たちは足元を焦がされ、その場にしりもちをつく。


「ようし、おもち! たいあたりだ!」

「きゅいー!」


 しりもちをついた盗賊たちに、すかさずおもちがゴロゴロと、雪玉のように転がっていく。

 進化して巨大化したおもちが、ゴロゴロと向かっていく!

 そのようすは、すさまじかった。


「な、なんだこのスライムはああああああ! ぎゃあああやめてくれええええええ!」

「きゅいきゅい!」


 おもちのボディにからめとられるようにして、盗賊たちを一網打尽。

 ゴロゴロ転がるおもちにからめとられて、盗賊たちはまるでひとつの団子のように、かたまった。

 そのまま、おもちは岩壁に激突!

 盗賊たちは団子になって、岩壁に打ち付けられるような形になった。

 だがまだ、盗賊たちの意識は健在である。

 盗賊たちは岩壁に押し付けられて、その場で山になっている。


 あとはとどめを刺すだけだ。

 いやまあ、殺しはしないけどね?

 だが、多少は痛い目にあってもらおう。

 なに、手足の一本や二本折れたところで、俺の回復魔法でなんとかなる。

 俺はひかるんに命令を出す。


「ひかるん、進化だ! そして、猫パンチ!」

「はい!」


 ひかるんは獣人の姿に進化し、猫パンチを繰り出した。

 団子状になっている盗賊たちは、猫パンチで一網打尽。

 そのまま、岩壁に穴が空いて、盗賊たちは気絶した。


「やった! 盗賊たちを壊滅させた!」

「やりましたね、ハヤテさん!」


 俺たちはハイタッチだ。

 すかさず、一緒についてきていた村人たちが、盗賊たちを縛り上げる。

 そして、盗賊たちのアジトに入って、奪われたものを取り返す。

 盗賊たちが他にも集めていたものなども、戦利品として村に持ち帰ろう。


 コメント欄も盛り上がる。


『うおおおおお! やったぜ!』

『いいことしたね』

『戦利品楽しみ』

『マジで異世界って感じだな』

『盗賊壊滅! これで村は平和になったね』

 

 さて、それじゃあ村に戻ろうか。

 

 ということで、俺たちは村に戻ってきた。

 獣人さんたちは、怯えた感じで村の広場に座っている。


『うおおおお獣人まじでいるんだ……!』

『ひかるんより獣感がすごい』

『もふもふしてぇ……』

『けもみみ! けもみみ!』

『獣人さんかわええ……』


 コメント欄も盛り上がる。

 

 中には怪我をしている子もいる。

 俺は近づいてヒールをしてやった。

 すると、獣人たちから警戒の色が消えていった。


「大丈夫だったか……?」

「あの……ありがとうございます。助けていただいて。このお礼はどうしたらいいか……」

「お礼なんかいらないさ。あ……ただ、情報は欲しいかな……」


 獣人についての情報は、仕入れておきたい。

 ひかるんのこともあるしな。

 そもそも彼女たちが何故つかまっていたのかとか、いろいろ聞きたいことはある。


 ふと、獣人たちを見渡すと、明らかに歳のいったものがいることに気づいた。

 ひかるんの話では、亜人症の子供は20歳までしか生きられないはずだ。

 だが、獣人さんの中には、40くらいの年齢のものもいるように感じる。

 多くは10代20代だが、30、40代の獣人も含まれていた。

 これは、どういうことなんだ……?


「なあ、君たちは何歳だ?」

「私ですか……? 私は34歳です……けど?」

「そうか……その、変なことをきくんだけど、獣人の寿命って何歳くらいなのかな?」


 俺がそう尋ねると、獣人さんは不思議そうに答えた。


「だいたい、300歳とかそこらですかね? まあ、普通の人間よりは長い気ですケド……。エルフなんかに比べると、短いですかね。それが、どうしたんですか……?」

「いや……なんでもない……」


 これは、どういうことなのだろうか。

 亜人症と獣人にはなんの関係もないのか?

 とにかく、わからないことだらけだ。

 獣人たちにきけば、亜人症の解決方法がわかるかと思ったが……そうもいかないみたいだ。

 また、振り出しに戻された。


お読みいただき、ありがとうございました!


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《連載版はじめました▼》
  転生したら世界樹だった件
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― 新着の感想 ―
[一言] さて問題ですそっちの世界にあってこっちの世界に循環されてない物なーんだ? 大気中の魔力です魔力衰退症で亡くなる人が多いのかも、、、、多分
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