第55話 深層へ17
コメント欄が一気に加速する。
「おいひかるんいいのか……!? 亜人だってバレちゃってる……!」
「いいんですにゃん。どうせそのうちバレてましたにゃん。それよりも……今はこいつを倒さないと!」
「そ、そうだな……」
亜人症がばれたことで、ひかるんがまた奇異の目にさらされるのを心配してしまう。
だけど、確かに今はそれを気にしている場合じゃないな。
それよりも、この悪魔を倒さないと。
「ハヤテさん、私に命令してほしいにゃん……! そのほうが戦える気がするにゃん! 今ならなんでもできる気がするにゃん!」
「よし、ひかるん、悪魔に攻撃だ……! 猫ぱーんち!!!!!」
「にゃああああああああああ! 猫ぱーんち!!!!!」
するとひかるんはこぶしをいっぱいに、悪魔をぶんなぐった。
「グモオオオオ……!!!!」
悪魔はすごい勢いで吹き飛ばされて、壁にぶつかった。
そして、そのまま動かなくなった。
「よしゃあああああ! 悪魔倒したぞ……!!!!」
「にゃあああああああああああん!!!」
あ、かわいい。
『うおおおおおおおおおおおおおお』
『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
『まじでやりやがった!!!!』
『深層クリアとかやべええええ!』
『世界初だぞ!!!!』
『すげえええええ歴史的瞬間!』
すでに視聴者数は、30万人を超えていた。
俺のチャンネル登録者も、ついさっき100万人を超えたようだ。
はは……すげえや……。
マジで、すげえ。
「やったなひかるん」
「ハヤテさんのおかげですにゃ」
「はは……いつまでその口調なんだよ」
「あ。は、恥ずかしいですにゃ……」
少しして、ひかるんはもとの姿に戻った。
さて、じゃあこの先に進むか……。
この先に、ひかるんの亜人症についての秘密があるかもしれない。
「じゃあ、深層クリアということで、深層のその先へ……いってみようか」
「そうですね。手がかりが……あるといいんですけど……」
「あるさ、きっと。なにかが」
「そう、ですね」
俺たちは、ボス部屋の扉を開けて、先に進んだ。
すると、そこは――。
「なんだ……? ここは……」
そこには、大草原が広がっていた。
そして広がるばかりの青空。
「は…………? 外……?」
ダンジョンの中に、こんな景色はないはずだ。
じゃあ、ここは外ということになる。
ダンジョンを出てしまったのか?
ダンジョンの向こうは外……?
でも、東京に……いや、日本にこんな延々広い草原なんかないよな……?
どこなんだここは……?
俺が困惑していると、ひかるんが上を指さした。
「ハヤテさん……みてください」
「おいおい……マジかよ……」
そこには、太陽が2個あった。
そして。空を行きかうドラゴンの影。
「まさかここって…………」
「もしかして…………」
「――――異世界?」
これにて第一部完結です。
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