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第48話 深層へ10


 ひかるんの寿命を延ばすため、俺たちは深層へ向かうことに。

 だがその前に、いろいろと戦略を練る必要がある。


「ということで、俺たちは深層を目指そうと思います」


 美寄(みより)教授には話しておこう。なにかあったときに、またお世話になるかもしれない。


「まあ、そうなりますよね……。くれぐれも、お二人とも気をつけてくださいね」

「それで、なにか戦力を増強する方法とかってありませんかね」


 正直、今のままの戦力じゃ心もとない。

 ひかるん単体だと、グレートオーガを倒せるくらい。つまりは下層で通用するレベル――ではあるのだが……。

 それでも、深層は下層とは比べ物にならないほど、さらなる危険が待ち受けている。


 俺自身の魔力は、S級探索者も顔負けの力がある。

 だが、俺自身はこれまで浅瀬でちゃぷちゃぷ遊んでいた素人だ。

 いくら巨大な力があっても、使いこなせなきゃ意味がない。

 俺は魔力だけは無駄にあるが、正直いって自信がなかった。

 下層で戦えるほど、身体の動きがついていかないというのが正直なところだ。

 それに、俺ももう歳だしな。なかなかハードな戦闘はきつい。

 もっと若ければ、ひかるんと一緒に最前線で戦えたんだが……。

 そこだけはこの年齢が悔やまれる……。


 あとはペットたちだが……。

 正直、ペットたちは戦力として当てにしていない。

 彼らに任せてしまうには、あまりに危険だからだ。

 自分たちで身体をはらずに、ペット任せにするにはあまりに無責任だと思うのだ。

 もちろん、だいふくたちはかなり強い、強いし、これからも一緒に戦ってもらうつもりだ。

 だがそれはあくまでサポート役。

 前線で命を張るのは、当事者である俺たちだけにしたい。

 もしペットが死ぬなんてことがあってはならない。


「そうだねぇ。もっとモンスターをテイムするとかかなぁ……。そうすれば、辻風さんの魔力もさらに上がるし、モンスターを進化させてさらなる戦力になる。一石二鳥だね」

「なるほど……モンスターをテイムですか……」


 でも、そもそもこれまでだって、こちらから能動的にテイムできたことなんてない。

 どれも偶然の出会いによって、たまたまテイムという形になっただけだ。

 そもそもテイムってどうやってやるのだろうか。

 どうなったらテイム?

 わからない。


「あ…………」


 急に美寄教授が素っ頓狂な声を上げた。


「どうしたんですか……?」

「あ……いやぁ……ちょっと思いついちゃってね……君たちが強くなる方法」


「え……! なんですか! 教えてください!」


 そんな方法があるなら、渡りに船だ。


「その、さ……。テイムしてもらったら……?」

「え…………?」


 美寄教授は、ひかるんに対してそんなことを言い出した。


「どういうことですか……?」


「だから、辻風さんが、ひかるんをテイムするんですよ」

「はぁ……?」


「ひかるん、獣系の亜人だから、ワンチャンいけるんじゃないかなって。思いまして。思いついちゃいました……って、ダメですよね……あはは……」


 美寄教授は、冗談めかして笑う。

 当然、そんなのダメだろう。

 亜人とはいえ、人をテイムするなんて、倫理的にどうなんだ?

 そもそもテイムのしかただってわからないんだし。


「美寄教授……さすがにそれはひかるんにも失礼ですよ……。だめです。絶対に」

「ですよねえ。辻風さんならそういうと思ってました」


 まあ、思いついちゃったのだろう。

 だが、それは単なる思い付きにとどめておいてもらいたい。

 俺と美寄教授の中で、この案は没にしたところだったのだが。

 なんと、ひかるんが変なことを言い出した。


「私、やります……! ハヤテさん、私をテイムしてください……!」

「はい…………?」





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