表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/87

第46話 深層へ8


 とりあえず玄関で長話もなんなので、ひかるんの家にお邪魔することにした。

 ひかるんはハーブティーを出してくれた。


「俺も行く。ひかるんが深層に行くっていうんなら、俺がいっていざというときは治療する」

「ハヤテさん……どうしてそこまで……」

「心配だからだ。決まってるだろ」

「やさしいですね」

「ていうかそもそも、なんでそこまでして深層踏破なんて言い出したんだ? 深層の攻略なんて、高校生のひかるんがやらなくても、攻略組がそのうちやるだろ。配信でもなんでもみればいい」


 俺がそういうが、ひかるんは暗い顔をする。

 どうやら別に深層が見たいとかってわけじゃないらしい。


「それじゃ意味ないんです。時間がたりない……。できれば、20歳までには深層に到達しないといけない……」

「どういうことだ……?」


 話がいっこうに見えなかった。

 ひかるんが深層にこだわるのは、単純な興味ではなく、なにか特別な理由がありそうだ。

  

「亜人症の子供の寿命って、20歳なんです」

「え…………」


 俺は、血の気が引いていくような感じがした。

 そんな……つまり、ひかるんは20歳までしか生きられないということか……?

 目の前の、少し困ったところのある、お転婆で、可憐で活発な、この少女が。

 それは、どれほどの思いだろうか。

 それなのに、親にあんな扱いを受けて……。


「深層に行けば、ダンジョンをクリアすれば亜人症についてなにかわかる気がするんです。私の出自について。それがわかれば、治療法もわかるかもしれない。だから、私は深層を目指さないといけないんです」


 ひかるんの必死の思いをきいて、俺はようやく納得した。

 そうか、ひかるんは自分の命のために、亜人症の謎を解明するために、深層を目指そうというのだ。


「わかった……。そういうことか。なら、なおさら俺も行く。俺も、ひかるんの力になりたい。俺が、絶対にひかるんを死なせない」

「もう……ハヤテさん、これを言えば絶対にそう言うと思ってたから、言えなかったんですよ。やさしすぎます」

「あたりまえだろ。ひかるんを死なせてたまるか。もっと早く行ってくれ」

「もう、全部ハヤテさんにバレちゃいましたね……。耳のことも、もっと隠しておくつもりだったんですけど……」

「まあ、もう今更だな。一蓮托生。俺にまかせておけ」


 20歳の寿命、それは高校生が背負うには、あまりにも辛い物語だ。

 それを克服するために、グレートオーガにも立ち向かうなんて、なんだか泣けてくる。

 俺がひかるんの歳に、そんな覚悟の決まったことできただろうか。

 そう考えると、この子はすごいな……となんだか親心のようなものまで芽生えてくる。

 俺が、絶対に死なせはしない。

 俺がひかるんを絶対に、救ってみせる……!


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

《連載版はじめました▼》
  転生したら世界樹だった件
ぜひ応援よろしくお願いしますね!
― 新着の感想 ―
[一言] これが親がひかるんを雑に扱った原因? 普通の親子関係なら子供の寿命二十年とか耐えられんだろうな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ