表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/87

第36話 なんでお嫁さんなんですか……


 俺は小さな狐モンスターに回復魔法を放った。

 すると、すぐに狐モンスターは元気になった。


「キュルキュル!」


 狐は俺のもとにすり寄ってきて、感謝を伝える。

 もふもふしていて、黄金の毛並みが気持ちいい。


『おおおー!』

『さすがは辻おじ』

『やさしい』

『またもふもふ拾ったね』


 狐を抱っこして、抱え上げる。

 しかしそうこうしているうちに、オークが目の前までやってきた。

 オークは狐をにらみつけると、こちらに向かってくる。


「サリナさん……!」

「ええ、ハヤテくん。倒しましょう!」


 俺たちは狐をかばい、オークと対峙する。

 俺がオークを敵と認めると、だいふくとおもちが大きく進化した。


「きゅいきゅいー!」

「がるるるる……!」


 オークが俺たちを敵と認識し、攻撃してくる。

 オークは手に持った木の武器で、こちらを攻撃してくる。

 それを、おもちがぷるぷるのスライムボディで受け止める。

 オークの武器はおもちの身体に吸い込まれていった。


「グモ……!?」


 オークがひるんだすきに、だいふくが噛みつく!


「がるるるる……!」

「グモオオオオオ!!!!」


 だいふくがオークを捕らえたその直後、サリナさんが剣でオークの心臓を貫いた!


「てい!」

「グモオオオオオ!」


 オークは断末魔の悲鳴をあげ、その場に倒れた。


『おおおおおお!』

『倒した!』

『オークを瞬殺、やるな!』

『さすがはさりーにゃ!』

『ナイスコンボ!』


 俺はサリナさんとハイタッチ。


「やったね、サリナさん。さすがだ」

「そうね。なんとかなったわね……。とりあえず、その子どうする?」


 サリナさんは俺の腕に抱かれている狐を撫でながら、言う。


「そうだな……。この子拾っちゃったし、一回帰ろうか」

「そうね。またイレギュラーにでも襲われたらたまらないし……」


 狐をその場に離しても、どこにもいく気配がなく、そのままおもちとだいふくについてきたので、俺は狐を連れて帰ることにした。

 狐には、とりあえずいなりと名付けておいた。

 さすがに安直すぎただろうか。



 ◇



 家に戻ってきた。

 なんか流れでサリナさんを家にあげてしまった。


「お腹空いたね……」

「そう……ね」


 俺もサリナさんも、身体を動かして、お腹が空いていた。

 ということで、ご飯を食べることに。

 俺の家の冷蔵庫から、適当に俺が料理する。


 いや、普段はひとりだから料理をしないけど、一応できるんだ。

 サリナさんがいるから、変なものを出すわけにはいかない。

 俺は腕によりをかけて、とびきりの料理を作った。


「できた……! オムライスです……!」

「おいしそう……! ハヤテくん、料理もできるんだねぇ」

「ま、まあね……」

「これはいいお嫁さんになれるねぇ」

「なんでお嫁さんなんですか……」


 サリナさんはよくわからないことを言う。

 とろとろのオムライスを、サリナさんはスプーンで口に運ぶ。

 

「うーんおいしい、うちにお嫁にこない?」

「えぇ…………だからなんでお嫁さんなの……」


 サリナさん、もしかしてそれはプロポーズ!?

 俺は少し動揺するが、とりあえず冗談だろうと流す。


「私、けっこう本気で言ってるかもよ? ハヤテくんのこと、嫌いじゃないし……」

「じょ、冗談でしょ……さすがに……。いや、俺もサリナさんのことは好きですけど……」

「ふふ……、まあ、そのうち考えといてよ」


 もしかして、これ告白とかすれば付き合えたりするのだろうか。

 なんて邪なことを考える。

 でも、俺にそんな勇気はなかった。

 なんだろう……どうしたらいいんだ。

 この歳で、全然異性への耐性がないから、こんなことを言われてもどうすればいいかわからない。


「と、とりあえず……食べましょう……」


 俺は急いでオムライスをかきこんだ。


 俺たちのご飯が済んで、次はおもちたちのごはんだ。

 おもちにはいつも通り、俺と同じオムライスを食べさせる。

 おもちはスライムだから、なんでも食べる。

 だからいつも同じものをあげている。


 いや、スライムに味覚があるのかはよくわからない。

 でも、基本なにを食べさせてもおもちはきゅいきゅい言ってよろこんでいるので、よしとしている。


 だいふくには、肉料理とドッグフードだ。

 だいふくはお肉がとにかく好きだった。

 ドッグフードも高級なやつを与えている。


 そして、問題は新しいメンバーの狐ちゃんだ。

 いなり、こいつはなにを食べるんだろうか……?


「とりあえず、これ食うか?」


 俺は冷蔵庫から、いなり揚げを取り出した。

 狐だからいなり揚げが好物ってのは、少し安直だろうか?

 しかし、俺がいなり揚げを見せると、

 その瞬間、いなりはいなり揚げに飛びついた。


「キュルキュルー!!!!」


「お……!」


 いなりは夢中でいなり揚げをほおばった。

 やはり、狐だからいなり揚げで正解だったようだ。

 これからいなり揚げを常備しておこう。


「いなりちゃん、可愛いねぇ……」


 サリナさんはいなりを撫でながら、言う。


「これで3匹目かぁ……大丈夫かなぁ……」

「なにが……?」

「いや、モンスター飼ってるなんてただでさえ珍しいのに、3匹もなんて……俺、面倒みれるかなぁと思ってさ」

「ハヤテくんなら大丈夫。みんなハヤテくんが大好きで、こんなに懐いているんだから。いっしょにいてあげて。ハヤテくんは優しいから、そのままでいいんだよ」

「そっかなぁ……。ありがとう、サリナさん」


 なんだかそう言われると照れるな。

 はじめて人にこんなふうに認められたかもしれない。

 サリナさんは本当に、いい友達だ。


「それで……今日は私、泊っていってもいいのかな?」


 サリナさんはまた冗談ぽくそんなことを言う。


「な……!? い、いいいいいわけないじゃない……!」

「あはは……そんな驚かなくても。冗談だって。いなりちゃんたちもいるしね」


 俺は、からかわれているのだろうか……?

 ていうかたしかに、おもちたちがいるから、俺の部屋に誰かを泊めたりできないな。

 俺、女の子連れ込んだりできないじゃん……!?

 もしかしてこのまま、俺はずっと一人なのかぁ……!?


 まあいいか。

 おもちにだいふくに、いなりまでいるんだからな。

 俺の毎日は、幸せでいっぱいだ。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

《連載版はじめました▼》
  転生したら世界樹だった件
ぜひ応援よろしくお願いしますね!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ