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第28話 まあ、今回はなんとかなったけどよ


 例の炎上の件についてだが……。

 滝川アソレ=例のキモイコメントの男だということが某ハッカーによって暴露され、一気に沈静化することとなった。

 滝川アソレのもとには誹謗中傷のコメントが大量に届いて、滝川アソレ信者でさえも愛想をつかしたようだった。

 これまであくまで社会的な制裁を加える、正義の味方として活動してきた滝川アソレが、今回は私怨でひかるんを炎上させようとしたのだ。

 しかも自作自演のコメントまでして。

 当然、その火の粉はアソレ自身に降りかかる。


 アソレは誹謗中傷のコメントに耐え兼ねたのか、自分が炎上することには耐えれなかったのか、そのアカウントを消して敗走した。

 それによって、みんなこの話題からは手を引いたようだった。

 事件がひと段落して、俺のもとにはファンからのあたたかいコメントが多数届いた。


『みんなおじさんのこと信用してます!』

『おじさん今回のことは気にするな!』

『ひかるんの厄介ファンが暴走しただけだからな』

『これからも応援しています!』

『アソレに目をつけられたのは気の毒でしたね』

『気にしないでくださいね!』

『おじさんはなにも悪くないですからね!』


 一方で、ひかるんのほうのリプライ欄にも、あたたかいコメントが見られた。


『ひかるんはなにも悪くないよ!』

『ただお礼したかっただけだもんね』

『お礼できてよかったね!』

『今回のはアソレがアホなだけ』

『アソレが自作自演して自爆しただけだったな』

『一部のキモイガチ勢は黙れよ?』

『本当にひかるんのこと思うならいちいちこんなことで発狂するのはファン失格』

『これからも応援してるからね!』


 まあ、ひかるんの方はまだガチ恋勢がいろいろ言ってそうだけど……。

 ということで、俺は対策を考えた。

 ユウジにも言われていたのだ。

 事が済んでから、ユウジからまた電話がかかってきた――。


「まあ、今回はなんとかなったけどよ。気をつけろよ?」

「なにをだ……?」

「ひかるんのガチ恋勢たちにだよ。あいつら、すぐに騒ぐからな。お前にその気がなくても、ひかるんと関わるのはおすすめしない。また炎上させられかねないぞ」

「あーたしかにまあ……そうだな……俺も迂闊だった」


 だが、そうはいってもな。

 ひかるんのほうは俺にお礼したいといってきたり、向こうは交流したがってくれているんだ。

 コラボしようともいわれている。

 それをこちらから遠ざけたり、冷たくするのも違うよな。


「でもなぁ。だからといって、ひかるんを無視しろってのか?」

「いや、そうじゃないけど……。とにかく、身の振り方には気を付けねえと。ダンチューバーのファンっていろいろ厄介なのもいるからな」

「まあ、たしかに……」


 今回の件で、俺にじゃなくてひかるんに発狂していた女性ファンもいるらしい。

 辻ヒールおじさんとデートするのは許せない!とかっていっている俺の女性ファンが何人かいたのだとか……。

 いったいこんなおじさんのどこに需要があるのかはわからないが……。

 とにかく、ダンチューバーとしてやっていくというのは、そういったファンからの目線も気にしないといけないってことだ。

 これまでみたいに、好き勝手にコラボしたりできる身分じゃないってことだ。

 人気者ってのはそういうことらしい。


「まあ、有名税っていう奴だな。異性のダンチューバーとのコラボは、特に気を付けたほうがいい」

「ああ、まあ覚えておく」

「今のうちに、なにか手をうったほうがいいぜ? また炎上したら、今度はどうなるかわからねえからな」

「ああ、そうだな……」


 俺は電話を切った。

 俺は、考えた。

 なにか身を守る手段を……と。

 そこで、思いついたのだった――。


「よし……! カレンとコラボしよう……!」

「で……なんで私が呼ばれたんですか……?」


 俺は後輩でダンチューバーの駆動区カレンを呼び出した。


「ひかるんとばかり絡むと、また妙な噂をたてられかねない。だが、ひかるん以上に仲良くしている異性のダンチューバーがいれば……? カレンとあらかじめ絡んでおいたら、ガチ恋勢たちからのヘイトも薄まるんじゃないかと思ってな」

「なるほど……ようは私が隠れ蓑ってことですか。まあ、いいですけどね……。先輩にはお世話になってますし。それに、先輩といっしょにいられるのは……その……うれしいですしね……」


 カレンはなぜだかもじもじと赤くなる。


「でも、いいんですか? 今度は私との噂を立てられますよ……?」


 と、カレンがきいてくる。


「は……? なんでだ……?」

「え……だって、私だって一応女のダンチューバーなんですよ!? それに、私にだってガチ恋してる人くらいいるんですからね!」

「あーまあ……そうか? でもなあ、俺たちは元職場の同僚だろ? それに、元々友達なんだし。大丈夫だろ。俺たちに異性の仲とかないって」

「……むー。はいはい、そうですね。先輩とはそういう仲にはなりませんよね」

「ああ、そうだろ?」


 なんだかカレンは怒っているような気がするけど、なんでだろう……?

 まあ、いいか。

 これからは前以上に積極的にカレンとコラボしていこう。

 カレンと一番仲良くしてさえおけば、ひかるんとの妙な噂も立てられずにすむだろう。


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