表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/87

第18話 あはは……お邪魔してますー



 そんな感じで、しばらく雑談をつづけた。

 我ながら、初配信のわりにかなりいい感じに話せたのではないかと思う。

 いつのまにやら、同時接続人数が5000人を超えていた。

 スパチャの合計額も、かなりすごそうだ。

 あまりにもスパチャをもらってしまって、もうしわけないような……。

 ここはなにかお礼をしたいところだ。

 視聴者サービスってやつだな。


「みなさん、本当にありがとうございます。ここで、ちょっとお礼も兼ねて、だいふくのご飯の時間なので、ごはんをあげる配信をしたいと思います」


 俺はビーフジャーキーを手にとった。


『おお! 来ました!』

『wktk』

『生だいふく!』

『いいねぇ!』

『サービスありがたい!』


 やはり視聴者はみんな、おもちとだいふくを目当てにやってきてくれているからな。

 俺が雑談ばかりしているよりも、おもちとだいふくを映したほうが喜ばれるだろう。

 俺はビーフジャーキーとボールを手に持った。

 実はこういうときのために、だいふくにはちょっとした芸を仕込んであるのだ。


「よしだいふく、これができたら、ビーフジャーキー食べれるからな」

「がうがう♪」


 俺はボールを手に持って、部屋の隅に向かって放り投げた。


「それ! とってこい!」

「がうがう!」


 だいふくはボールめがけて一直線。

 ボールをくわえて、すぐに俺のもとへ戻ってきた。

 俺はだいふくからボールを受け取り、頭をわしわしと撫でてやる。


「ようし、偉いぞだいふく!」


 コメント欄も盛り上がる。


『おお! さすがはだいふく!』

『かしこい!』

『えらい!』

『うちの馬鹿犬より賢い』

『はえーすっごい』

『ちゃんとしつけられてるな』

『ご褒美ご褒美!』


 俺はだいふくに、ビーフジャーキーを渡してやる。


「えらいぞー。ご褒美にこれ食べていいからな!」

「がうがうー♪」


『だいふくはおいしそうにたべるなぁ』

『かわいい』


 そうこうしているうちに、あっというまに配信開始から1時間が経とうとしていた。

 そろそろ切り上げるか、と思ったときだった。

 ふとコメント欄を見て、俺は驚いた。


『だいふくちゃんかわいい!』


 その何気ないコメント。

 そのコメントのアカウント名は――。


「ひかるん……!?」


 そう、俺が以前助けたという、あの有名配信者のひかるんが、俺の配信にコメントしてきたのである。

 突然のひかるんの登場に、コメント欄もざわつき始める。


『ひかるん……!?』

『まって、これ本物!?』

『これ本物だ!』

『ひかるん降臨キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』

『ひかるんこれでおじさんにお礼言えるな』

『ひかるんとのコラボくるか!?』

『初接近!』

『盛り上がってまいりました!』


 まじか……このひかるん本物なのか……。

 ひかるんと言えば、俺が偶然イレギュラーから助けてしまった有名アイドルダンチューバーだ。

 そのせいで、俺はこうしてバズりちらかしているんだけど……。

 そのひかるんが俺のコメント欄なんかに現れて、いったいなんのようなのだろうか。


『ひかる:あはは……お邪魔してますー』


 コメント欄の反応に、ひかるんはそんな反応を返す。

 さすがにひかるんの影響力すごいな。

 一瞬でコメント欄がひかるん色だ。


『うおおおお! マジでひかるんだ!』

『神降臨!』

『ひかるんが他人の配信にコメするとかめちゃくちゃ珍しくないか?』

『だよな。あのひかるんが……』

『しかも男と絡むとか、ひかるんのファン発狂しそう』


 どうやらコメント欄の感じからしても、ひかるんがこうして他人の配信に現れたりするのはレアなようだ。

 しかも、ひかるんはアイドル性で売っているから、男性ダンチューバーともめったに絡まない。

 そんなひかるんが、わざわざ俺の配信に……。


『ひかる:あの、どうしてもお礼言いたくて。この前は、ありがとうございました』


 律儀な子だなぁ。

 俺は別にそんなに助けたつもりもないんだけどな……。


「いえいえ、あれくらい。気にしないでください。いつもやってることですから」


 ヒールなんて減るもんでもないし、俺は気が向いたときにはいつも辻ヒールしていた。

 それがたまたま、今回はひかるんだったってだけのことだ。

 俺は普通にそう答えただけなのだが、なぜかコメント欄がまた盛り上がり始める。


『かっけえw』

『さすがは辻おじ』

『いつもやってるところがすごいんだよなぁ』

『ぐう聖人』

『謙虚だなぁ』

『普通はあそこまで他人にヒールできないw』

『だよなぁ魔力切れとか気にするよなぁ』


 魔力切れか……そういえば気にしたことなかったな。

 俺は上層で雑魚モンスターと戯れているだけだし、そもそもそこまで魔力を使わないからなぁ。

 だから傷ついている人がいたら、気兼ねなく辻ヒールをしていたのだ。


『ひかる:とにかく、どうしてもそれだけ言いたかったんです。ありがとうございました。本当に。では、あまり長くお邪魔してもアレなので……。配信たのしかったです!がんばってください!』


 ひかるんはそれだけ残して、配信から去っていった。

 ほんとうにいい子だったなぁ。

 コメント欄も、ひかるんのことを名残惜しそうに見送る。

 ひかるんも去ったことだし、そろそろ俺も本当に配信を切り上げるかな。


「えーっとじゃあ、そろそろ配信を終わります。見てくださってありがとうございました。またよろしくお願いします」


『おつー!』

『楽しかった! ありがとう!』

『またやってね!』

『スパチャもっと投げさせろ!』

『ひかるんも見れたし、神配信だったな』

『次の動画も楽しみにしてる!』


 あたたかいコメント欄に見送られながら、俺は配信終了のボタンを押した。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

《連載版はじめました▼》
  転生したら世界樹だった件
ぜひ応援よろしくお願いしますね!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ