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春花秋月  作者: きさらぎ
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彼と彼女 ~わたしだって好きなの~

親友の彼女に見送られて、わたしたちは駅までの道のりを歩いていく。


彼との何度目かの二人きりの帰り道。

クラスのこと、部活のこと、彼女のこと。

たわいのない話題に、時には笑って、時には真剣に。


今、彼のとなりにいるのは、わたし。


好きなの。

ずっと、好きだったの。


彼女に会いに来る彼を見た時から、ずっと。


彼が彼女の名前を呼ぶたびに、

彼女に向ける笑顔がうらやましくて。

彼と話せる彼女がうらやましくて。


彼のことは友達だといっていたから、彼女に思い切って告白したのよ。


彼と話をしたかったから、


「彼が好き」


って。


彼にわたしを見てほしかったから、


「紹介して」


 って。 



そして――

彼はわたしのものになったの。



 好きなの。大好きなの。

 きっと、これからも、ずっと。


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