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春花秋月  作者: きさらぎ
12/26

彼と彼女 ~好きになったのは俺3~

「ありがとう」


 マンションの前まで来ると、彼女がお礼を言ってくれた。


「それじゃ、明日ね」


 マンションの中に入っていこうとする彼女を呼び止める。


「玄関まで送る」


「えっ? もう家に着いたから、ここでいいよ」


 そうかもしれないけど、俺が離れたくなかった。もう少し、話をしていたい。


「いいから、いいから」


 俺はちょっと強引にマンションの中へと入っていく。


「白河くんが遅くなっちゃうよ。だから、いいのに」


 エレベーターを待っている間、心配そうに気遣う彼女の姿。


「俺は男だし、少しぐらい遅くなっても大丈夫だし、それに送っていくからには、責任もって、玄関まで送り届けなきゃね」


「白河くんって、けっこう心配性?」


「そ、友達に関してはね。だから、あきらめて送らせて?」


 俺は、少し身をかがめて、陽菜の顔を覗き込んだ。

 すると、彼女はちょっと困ったような顔をしたけれど、やがて、ふっと表情を緩めた。


「仕方ないな。だったら、送らせてあげる」


 茶目っ気のある表情で微笑んでくれた。


「ありがとう。これで俺も今夜は安心して眠れるな」


 俺の言葉に、不意にくすくすと陽菜が笑い出した。

 それにつられて、俺も笑う。


 やっぱり、陽菜はかわいい。

 ちょっとした会話も表情も、俺の心を捉えてしまう。

 


 エレベーターが来なければいい。二人きりの時間がずっと、続けばいいなと思っていたら。



 自動ドアが開く気配がした。


 誰かが入ってきた。


 これで二人の時間は終わりかとがっかりしているところへ、声がした。



「よっ! 陽菜、久しぶり」


 親しげに彼女を呼ぶ男の声。


 振り向いた陽菜の表情が変わる。

 親しみを込めた声で男の名前を口にした。


理玖りく


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