表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/94

ワールドコネクター(世界をつなぐ者)

えーとまずギリシャ赤絵陶器BC500年頃の発明です。

それと雷紋はこの前後っぽいんですが正確にはわかりません。

あと李柏陽は老子、孔仲尼は孔子のことです。

孔子は、まだ大司空につく前なのでやっぱ下積時代です・・・

だいぶいろいろ出てきましたが、本当に世界中が激動の時代でした。

最後にローマ共和国がようやくこのころ成立してますので、老子が大秦国を尋ねてもまだ皇帝はいなかったと思います。

「俺が、誰かですか?」

ほとんど鸚鵡返しで俺は呟いた。

「そうだ。私は君のような人間を知らない。」

クレイステネスは身じろぎ一つせずこちらを見ている。


 ……


 私は目の前に座る少年を見ていた。

 神が自ら手に染めたような容姿。

 彼を恋人にできるなら、同じ重さの金貨を積むものもいるだろう。

 彼にその気がないのは幸いだが……

 それとデルフォイの神殿から知らせてきた経緯を合わせると、本人は気付いてないが、まさにポリスひとつ分の価値があるといっても良い。


 私は15年前に陶片追放を制定すると、自らを追放させるように市民を誘導した。

 狙いは二つ。


 一つは陶片追放の厳格化による僭主の出現の防止。


 もう一つは自分をアテナイから穏便に引き剥がすためである。


 前者は言うまでもない。

 あのアルクメオン家のクレイステネスですら従わざるを得ない法ということで、法に権威を持たせることができる。


 後者は、あれだけの大規模な改革をした以上、多くの貴族から恨みをかった。

 そのため身の安全を確保するため、長期間アテナイを離れる必要があった。


 それと、そのあいだに外の世界を見てみたかった。


 幸い、民衆の誘導はうまくいって私は追放された。

 その直後の晴れやかな気持ちは、なってみなくては、わからなかったものだろう。


 本当に追放の期間は楽しかった。

 金銭的にはアルクメオン家当主が困るはずもなく、まったく気ままに動き回われた。


 まず、サモスのピタゴラスに会いに行き、数式と天文について語り明かした。

 その時に星座の話になったが、当時のピタゴラス教団では地球を半周すると夏と冬の星座が入れ替わるかどうかが論争になっていた。

 結論から言えば入れ替わらないという推論になっていたが、確かめられたことはなかった。

 ならば、それを確認してくる。そんな軽い理由から、私は東に行ってみることになった。


 ちょうどペルシアではダレイオス1世がペルセポリスを造成していたので、その物資を運びながら東に向かった。

 ペルセポリスについた後も、私の旅はまだまだ続き、ペルシアを通り抜け、属領のガンダーラを越えて、最後には中華に至った。

 そして周の地で李柏陽(老子)に会い、通詞を通じて、彼にヘレネスやその周辺国について教えた、その代わりに守蔵室の書物を講義してもらった。

 その時に一緒に孔仲尼(孔子)が教えを受けていたが、彼からは音楽の手ほどきを受けた。

 ピタゴラスの音楽概念とは違って、理詰めではなく感性と手順を重んじるところに興味を引かれた。


 その後は呉に渡り、その地で灰釉陶器に出会った。

 アテナイと違い、釉で模様を描く技法は新鮮であり、その技術はすぐにアテナイに送らせた。

 今や、それが改良された赤絵陶器となって一世を風靡している。

 また、この地で雷門と呼ばれる模様が使われていたので、赤絵にも採用したがなぜかメアンドロス模様と呼ばれるようになった。

 その由来は私にもわからない。


 そして約束の天文観測をしてピタゴラスの推測を確認したのちに帰途についた。

 その時に多くの穀物や文物を持ってきた。

 それはうまいものが食べられる楽しみを知ったからだ。


 中華ではこちらよりもはるかに食文化が華やかだった。

 それを再現すべく材料の栽培から始めてはいたが、まだわずか5年。

 残念ながらアテナイではまだまだ文化といえるほどの料理はまだ育っていなかった。

 主に美食は肉欲エロスと分類されるため恥ずかしいと感じる感性が邪魔をしているようだ。


 しかし、デルフォイで行われた彼の料理法、油の使い方や味付けはその中華の料理法ですらなかったものだ。おそらくその発展形だろう。

 となると、かれはあの中華より発達した国の出身になる。

 しかしその外観はどう見てもヘレネスのドーリア人の少年。

 

……


 「クレイテネス様……それを答えるのは困難です。」

 クレイステネスの質問は一番困っている質問だった。

 ちょっと前なら日本人で未来から来たと答えられたであろう。

 しかし、今はありもしない日本という想像上の国を設定して、それを信じ込んでいる中二病患者……と考えたほうが収まりが良くなってきている。

 設定が詳しすぎるのを除けば、そのほうがよほどありそうだ。


 老人はしばし目を閉じると重々しく呟いた。

 「断言しよう。君はこの世の存在ではありえない。」

 ……だからクレイステネスの一言は迷いを払ってくれる、救いの言葉に響いた。


 「私は西はジブラルタルの門、東は中華の都に至るまで世界をさまよった人間だ。だから断言できる。君のような知識をもつ人間に出会ったことはないし、ましてや外観がヘレネスということはあり得ない。だから聞こう、君は誰かと?」


 「私は日本人!そして2000年の未来からやってきたものです。」


 「nihon人?なるほど聞いたことのない地の名前だ。そこは中華より遠いのかね?」


 クレイステネスは時間のことよりも地理のほうを気にしていた。


 「中華よりさらに東で、のちに蓬莱と呼ばれた地域です。」


 「蓬莱?……知っているぞ、その名前。李柏陽が教えてくれた書物にあったな。確か仙人の地とか。」


 驚愕させられた。なんでギリシャ人が仙人の話を知ってるんですか?


 というかクレイステネスさんって……どこまで博識なの。


 「ということはあの文化圏か……料理・りょうり……中華の醤について知っているか?」

醤って味噌のことだよね。とりあえず首を縦に振った。


「大豆は用意できたが醤がうまくできない。何か、いい手があれば教えてほしいのだが・・」


……大豆……?


記憶が確かなら欧州にまだ大豆は伝わってないはずだよな……うん……ローマ帝国でもまだ大豆は来てないはず……ということは?なぜか歴史がずれている!?


「他にも米や桑、蚕など、いろいろむこうの作物をもってきている。気候の関係で北アフリカやイベリア半島で育ててみているが……」


ちょっと待て、それって絹や米作を持ち込んだってこと。


「うまい利用法を教えてほしい。」


貪欲な知識欲が招いた結果なのか、それとも神のいたずらか。

クレイステネスさんがやらかしたことは大事おおごとのような、そうでないような……まったく、つかめない。


とりあえず一つだけわかったことがある。


よしご飯が食べれる。


うん、コメに対して細胞が沸き立つのが感じる。やっぱ日本人だ。この感覚が日本人だ。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般知識(公衆衛生)

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(薬草学)ランクE

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクC

特殊技能(乗馬)ランクF

特殊技能(演劇)ランクE

今回は変動なしです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ