表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第三部【天界】編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

745/745

第七百四十話 後継者指名


---三人称視点---



 翌日のウェルガリア歴1607年3月8日。

 魔族の居城アストンガレフ城。 


 その謁見の間にて、魔王と魔族の幹部が集結していた。 

 魔王レクサーは玉座に腰掛けて、

 その左隣に大賢者ワイズマンシーネンレムス。

 右隣に親衛隊長ミルトバッハが立っている。


 そして玉座の少し手前で、

 横一列に、魔将軍グリファム、エンドラ。

 マーネス、キャスパー、レストマイヤー、アグネシャールが並んでた。


 魔王とその幹部八人。

 これだけの面子が一室に集結すると、

 否が応でもある種の緊張感が室内に走った。


 魔王レクサーは、玉座の上で足を組み、

 その双眸を細めて、目の前の幹部達を見据えた。

 そしてそのその形の良い唇から、言葉を紡ぐ。


「皆の者、よく集まってくれた。

 貴公等も知っている通り、約十三日後に猫族ニャーマンの王都で、

 天界へ行く人員を決める会議が行われる。

 貴公等のうちの大半の者にも同行してもらう予定だ。

 だがその前に決めておかねばならん事がある」


「……それは何でしょうか?」


 と、魔将軍グリファム。


「私は大体見当がつくけどね。

 でもここは魔王様の口から直接聞きましょう」


 と、エンドラが魔王に発言をうながした。

 すると魔王レクサーは、微笑を浮かべて、新たに言葉を紡いだ。


「前置きは置いておこう。

 余も天界遠征に参加するつもりだが、

 最悪、戦死する可能性もある。

 だからここで余が死んだ際に、

 次なる魔王になる者を後継者として指名しておく」


 魔王のこの言葉に、

 玉座の前で一列に並んだ幹部達も思わずどよめいた。

 

 魔王の後継者指名。

 これは滅多にある事の無い魔族の重要な儀式。

 

 というかレクサーを含めて、

 この場に居る全員が初めて経験する出来事であった。

 その結果、幹部達も緊張の色が濃い表情で魔王の言葉を待った。


「次なる魔王に……魔将軍グリファムを指名する!」


 魔王のこの唐突の後継者指名には、

 当事者であるグリファムは当然として、

 周囲の幹部達も驚きの声を上げた。


「あら~、大胆な人事。

 に見えて実は正しい人選ですわね」


 エンドラはいつものように、

 黒いチューブトップに黒いショートパンツ。

 その両足にヒールの高い黒のブーツという姿。


「でも自分も正しい人選と思います」


 と、情報隊長のマーネス。


「……私自身は正直戸惑っております。

 魔王陛下の代役を務める自信はありません」


 当事者であるグリファムは、自分の気持ちを正直に打ち明けた。

 だがレクサーとて、グリファムがこう言うのは想定内だ。

 そしてレクサーは、ゆっくりとグリファムを諭す。


「いや別に余の代役を務める必要はないぞ。

 だが今回の天界遠征には、余や他の幹部も参加するが、

 その間に魔大陸の護りが甘くなっては元も子もない。

 そこでグリファム、貴公にはこの魔大陸に残留して、

 余や幹部が居ない隙に、造反する者を取り締まって欲しいのだ」


「その任務自体は、引き受けても構いません。

 我等、魔族も一枚岩ではありません。

 魔王陛下や幹部が居ない隙に造反や反乱を起こす者が

 出る可能性は低くはないでしょう。

 それを制圧する、という任務は承ります。

 ですが私には次期魔王という大役は、

 荷が重すぎます」


 ――うむ、やはり此奴こやつは真面目だな。

 ――それでいて信用がおける。


 レクサーは内心でそう思いつつ、

 グリファムを説得するべく、言葉を並び立てる。


「そう難しく考える必要はない。

 貴公を次期魔王に指名したのは、

 あくまで最悪の事態を想定しての話だ。

 余は当然、天界の戦いでも生き残った上で、

 勝利をおさめる事しか頭にない。

 だが天界とは未知の領域。

 敵の親玉を倒した途端、

 何かイレギュラーな事態が起こるかもしれん。

 そういう状況を想定しての後継者指名だ」


「では魔王陛下が無事にご帰還されたのであれば、

 この後継者指名は無効になるのでしょうか?」


「嗚呼、そう思ってもらって構わん。

 その時はまた余は魔王としてこの魔大陸に君臨するまでだ」


「そうですか、それを聞いて安心しました。

 では魔王陛下達が天界へ侵攻している間は。

 私は魔大陸に残り、魔族を統率したいと思います。

 ですがこれらは全て魔王の代行任務に過ぎません。

 私は魔王陛下が必ず無事に帰還なされる事を信じてますよ」


 グリファムの言葉にレクサーが「嗚呼」と頷く。


 ――やはりこの男なら信用出来る。

 ――今回の天界遠征は、最悪オレや他の幹部が全滅する。

 ――という可能性もなきにしもあらず。


 ――だから最悪の事態を想定して、

 ――このグリファムを次期魔王に指名しておく。


 ――この男ならそう悪い魔王にはならんだろう。

 ――まあオレはまだ死ぬ気はないし、

 ――まだまだ長生きするつもりだがな。


「これにて次期魔王指名を終了とする。

 だが殆どの幹部は余と共に天界へ同行せよ

 但し情報隊長のマーネスは魔大陸に残り、

 グリファムをサポートせよ」


「分かりました」


 魔王の言葉に他の幹部達も「はい」や「御意」と返事する。

 こうしてグリファムとマーネスを除いた残りの幹部全員が

 天界遠征に参加する事となった。


「では本日は貴公等もゆっくりと休むが良い。

 明日からは余と幹部とその護衛、そして従者のみを連れて、

 転移魔方陣を駆使して、一気にハドレス半島へ飛ぶ。

 そしてハドレス半島からは、

 念の為に猫族海賊ニャーマン・パイレーツの連中に

 一度大猫島に寄港してから、猫族ニャーマン領へ入る。

 貴公等は余の護衛が少ないと反論するかもしれんが、

 貴公等――幹部六人が居れば、間違いは起こらんであろう。

 そういう事だ、では以上で解散する」


 こうして魔王と幹部による重大会議は終わり、

 魔王は皇后の待つ魔王の私室に、

 他の幹部は最後の休暇の為に、

 自分の私室、あるいは食堂や娯楽室へ向かい、

 各々(おのおの)が自由な時間を謳歌した。

 


次回の更新は2026年2月15日(日)の予定です。


ブックマーク、感想や評価はとても励みになるので、

お気に召したらポチっとお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ