第七百二十九話 自己研鑽(後編)
---ラサミス視点---
「第三番目の独創的技だって?
どんな技にするつもりなんだ?」
「それについては既に考えているが、
ミネルバ達の意見も聞かせて欲しい」
オレはそう言って、仲間の助力を請うた。
するとミネルバ達も会話に加わってくれた。
「それは別に構わないけど、
新しい技は体術スキル?
それとも得意の刀を使ったスキルかしら?」
「刀を使ったスキルだよ」
「ほう、面白そうじゃん。
ウチの団長がどんな独創的技を習得するか。
これは色々と見応えがありそうだぜ」
と、ジウバルトも興味を示した。
「いやそんな大層な技ではないよ。
むしろ単純明快の使いやすい技だよ」
「でも独創的技に関してはそれで正解と思いますよ。
モーションが複雑な技は実戦では殆ど使えませんし……」
と、ジュリー。
「お前さんの仲間が言うとおりさ。
まあ論より証拠だ、とりあえずその技を放ってみろよ」
「分った、ならば木剣を貸してくれ。
今日は自分の愛刀を持ってくるのを忘れたからな」
「嗚呼、それなら構わんよ。 ちょっと待ってろ」
バルバーンはそう言って奥へ引っ込んだ。
それから手頃な木剣を探してきて、
それをオレに手渡してくれた。
木剣は軽くて、長さも堅さも充分な代物だ。
オレは両手で木剣の柄を握りしめた。
「……行くぜっ! うおおおぉっ!!!」
オレは掛け声を上げて、
手にした木剣で渾身の突きを繰り出した。
だが一撃で終わらず、二撃、そして三撃目を繰り出した。
……自分で言うのアレだが、一応は様になってたと思う。
そう、最後の独創的技は、
怒濤の三段突きというのが、オレが出した結論だ。
勿論、まだ実戦で完璧に使えるレベルではないが、
この三段突きは、二番目の独創的技。
「乱火風光剣」とも相性が良い。
その事にバルバーンやミネルバ達もいち早く気付いた。
「ほう、成る程。 三段突きか。 悪くないな」
と、バルバーン。
「そうね、これなら最初に三段突き。
他の刀術スキルを使用した後に三段突きという風に、
攻撃のバリエーションが増えるわね」
「ミネルバさんの言うとおりだな。
シンプルイズベスト、単純明快だが使い勝手が良い技。
オレは良いアイデアと思うよ」
「私もジウバルトくんと同じ意見です。
技の多い団長としては、
攻撃の幅が出て、色んな選択肢が増えると思います」
ミネルバ、ジウ、ジュリーも賛成してくれた。
まあ自分でも良い選択肢と思っていたが、
こうして他人に褒められるとやはり嬉しいものだな。
「お前さんのお仲間が言うとおりさ。
オレもこの三段突きを推すよ。
それで技名は考えているのか?」
「嗚呼、無明三段にしようと思う。
今はまだ攻撃のモーションが遅いが、
ここから鍛錬して、一度の踏込、
一拍子で三度の突きを繰り出せるように精進するよ」
「無明三段か、悪くねえ技名だな」
「私も良いと思うわ」
「オレも悪くねえと思うぜ」
「私も良い技名と思います」
バルバーン、ミネルバ、ジウ、ジュリーも賛成してくれた。
前に乱火風光剣の名前を告げたら、
なんか微妙な反応されたので、これはなんか嬉しいな。
「良し、じゃあ後で冒険者ギルドに立ち寄って、
正式に自分の独創的技として登録しておけよ。
それと忘れる前に、
残ったスキルポイントをパッシブ・スキルに振っておけよ」
「あ、嗚呼。 それもそうだな」
そしてオレは自分の冒険者の証を指で触りながら、
スキルポイント50を黄金の手のパッシブ・スキル『黄金の力』の項目に割り振った。
すると30ポイントで『全職業で防御+50 』を習得。
50ポイントで『全職業で素早さ+50 』を習得。
……悪くないな。
これで全体的な能力値も底上げされたぜ。
「とりあえず全部振ってみたよ。
二つほど、パッシブ・スキルで能力値が強化されたよ」
「そうか、ならばオレの出番はこれで終わりだな。
ここで鍛錬をするなら、ギルド内の機材は自由に使っていいぜ」
「う~ん、皆はどうしたい?」
「私はラサミスのやりたい事に付き合うわ。
あ、でも私も冒険者ギルドや職業ギルドへ行きたいかも?」
「オレも、オレも、またレベルも上がったな」
「へえ、ジウバルトはレベルいくつになったんだ?」
「オレは46になったよ」
「私はレベル70のままね。
流石にこれ以上は簡単に上がらないでしょう」
「わたしはレベル51ですね」
ミネルバは据え置き、ジュリーは一上がった模様。
「そうだな、皆もスキルポイントを割り振りや
習得したい技や能力もあるだろうから、
とりあえず冒険者ギルドへ行こうぜ。
バルバーン、色々アドバイスありがとうな」
「良いって事さ。 ラサミス!」
「バルバーン、何だよ?」
「絶対に生き残って帰って来いよ」
バルバーンが良い笑顔でそう言った。
「嗚呼、勿論さ!
オレも妻子を残して早死にする気はねえよ!」
「ええ、私もまだ死ぬ気はないわ」
「オレもさ」
「私もです」
ミネルバ達も力強くそう言い切った。
そう、オレ達は天界へ行くが、必ず生き残って帰って来る。
勿論、仲間は誰も死なせねえ。
その上でミカエル達を説き伏せて、
このウェルガリアの平和を勝ち取ってみせるぜ。
次回の更新は2026年1月18日(日)の予定です。
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