第七百二十三話 帰還(前編)
第百五章 一大決心
---ラサミス視点---
「何だ、ラサミスくん。 もう帰るのかい?」
「嗚呼、マリウス王弟殿下。
そしてアーベル国王陛下、オレ達を泊めて頂き感謝します」
昨夜、泥のように眠ったオレ達は、
大体朝の十時から正午ぐらいに起きて、
王城の食堂で軽い昼食を摂った。
でも相変わらず猫族の飯はイマイチだった。
決して不味くはないんだが、
味付けが少し薄味なんだよなあ。
まあそれはさておき、
こうして出立前にまでマリウス王弟とアーベル国王に挨拶に来た。
「いやいやそんニャ事は別にいいよ。
でもラサミスくん、天界遠征に関しては、
皆とよく話し合って決めるニャン。
そりゃーボクとしても君達には是非参戦して欲しいけど、
この件に関しては、非常に重要な問題だからね~。
だからよくよく考えると良いニャ」
「はい、皆で話し合って決めます」
「そうか、じゃあまた会おうね! バイバイニャーン!」
き、緊張感のない挨拶だな。
でもこれがマリウス王弟の良いところでもあるけどな。
「じゃあ皆、行くぞ!」
そしてオレ達は、ニャンドランド城を後にした。
「どうする? このまま瞬間移動場へ行くか?
それとも馬車でゆっくり帰るか?」
とりあえずオレは皆の意見を聞く事にした。
するとメイリンが胸の前で両腕を組みながら――
「う~ん、馬車でゆっくり帰るのも悪くないけど、
あたし個人としては、直ぐにリアーナに戻りたいわ」
「アタシもメイリンと同じ意見ね。
正直、あの黒い船の軟禁生活に疲れてるしね」
「成る程、メイリンとミネルバはそういう感じか?
ジウバルトやマリベーレ達はどうだ?」
「オレはどっちでもいいよ」
「あたしはすぐにリアーナに帰りたいかな……」
「そっか、ジュリーとバルデロンは?」
「わたしは皆さんに合せますよ」
「自分も同じく皆様に合せます」
「そっか」
まあ多数決ではリアーナ直帰派が多いな。
オレとしてもすぐにリアーナへ帰って、
エリスやラミレスに会いたいところだ。
「良し、じゃあ瞬間移動場へ行くぞ。
リアーナに着いたら、まずは拠点へ行こう。
そこで軽くミーティングしてから、解散という流れでいいか?」
オレの提案にほぼ全員が「うん」や「はい」と答えたので、
オレ達は王都ニャンドランドの冒険者区の瞬間移動場から、
リアーナへひとっ飛びした。
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「おお、久しぶりのリアーナだわっ!
リアーナよ、わたしは帰って来たぞぉぉぉっ!」
メイリンがどっかで聞いたのような台詞を吐いていた。
尚、全員、特に転移酔いの類いはないようだ。
なのでオレ達はその足で連合の拠点へ向かった。
十数分後、無事に拠点に到着。
すると玄関に着くなり、ドラガンがオレ達を迎えてくれた。
「おおっ! お前等、全員無事ニャのか!!
良かった、良かった、とりあえず荷物を置いたら、
一階の談話室に来い! 色々と話を聞きたいからニャ」
「あ、ああ……じゃあ皆、各自それぞれ自分の部屋へ行け」
こういう風に露骨に心配されるとはな。
というかよく見るとドラガンもなんか老けた感じがする。
考えれてみればドラガンも十歳を越えた老猫だからな。
それから十分程の小休止を挟んで、
オレ達はそれぞれ自分の部屋へ向かった。
尚、オレの部屋に関してだが、
オレとエリスは結婚して拠点を出たが、
オレ達の使っていた部屋は、そのまんまにしてくれたようだ。
この辺の気遣いは正直有り難いね。
オレはとりあえず武装解除して、
外套や上着のコートも脱いで、
上は黒の半袖シャツ、下は青いズボンとラフな格好になった。
そして近くのベッドに腰掛けて、天を仰いだ。
ほんの数前まではこの拠点に住んでたんだが、
今ではそんなオレが所帯持ちだからな。
人生なんかどうなるか分からないぜ。
その時、部屋のドアが「コン、コン」とノックされた。
「はい、誰だよ?」
「アタシよ、ミネルバよ」
「おお、ミネルバ。 どうかしたか?」
「ドラガンがそろそろ下の談話室に集まれだってさ」
「了解、了解、すぐ行くよ」
「じゃあアタシは先に行ってるわ」
「おうよ」
意外と早く呼び出されたな。
まあドラガンとしてもオレ達の話を聞きたいだろうしな。
んじゃオレも談話室へ行くかね。
そして約一分後。
一階の談話室には既に全員が集まっていた。
そして部屋の奥のソファにドラガンが腰掛けていたが、
オレの顔を見るなり、立ち上がってこちらへやって来た。
「おう、ラサミス。 来たか。
積もる話もあるだろうが、
まずは天使達の戦いの結末に関して教えて欲しいニャ」
「そうだな、まずは全員で情報を共有すべきだな。
んじゃとりあえず順を追って説明しておくよ」
「ウム、頼む」
とはいえ何から話したものか。
この数ヶ月の間に色んな事があったからな。
まあここは無難に順序だって説明していくか。
「えーと……実は――」
次回の更新は2026年1月4日(日)の予定です。
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