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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第九十四章 力天使ヴァーチャ

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第七百二十話 頂上会談(前編)



---三人称視点---



 室内にはシートベルトのついた椅子が並び、

 無重力下を想定した作りとなっていた。


 尤も今はウェルガリアの重力圏内。

 故に椅子に座ってもシートベルトを装着する者は居なかった。

 マリウス王弟おうていに関しては、

 何故椅子にシートベルトがついているか、

 とても不思議そうな顔をしていた。


 全員がそれぞれの席に座り、

 U字方の長テーブルの上座に熾天使してんしガブリエルが座り、

 その両隣に護衛役の二名の天使兵てんしへいが座っている。


 左側の席にラサミス、剣聖ヨハンが先に席を取っていたので、

 その右隣の席に魔王レクサー、大賢者ワイズマンシーネンレムス、親衛隊長ミトバッハ。

 アーベル国王、マリウス王弟おうてい、ニャルドーム大臣が座っていた。


 右側の席には、巫女ミリアム、エリアス参謀長。

 族長アルガスに竜騎士団のレフ団長と副団長ロムスという並び。

 合せて合計十六名で、この会議が行われる事となった。


 全員が揃った所で熾天使してんしガブリエルが話し始めた。


「ようこそ天空の方舟はこぶねメルカバーへ。

 こうして皆に集まってもらった理由は言うまでもない。

 私達――天使とアナタ達――ウェルガリアの民の今後に

 ついて語り合いたいと思っている次第よ。

 では通常バイオロイドに各自好きな飲み物を注文して頂戴。

 この会議は恐らく長丁場になるでしょうからね」


 そこで各自、通常バイオロイドに好きな飲み物を注文した。

 大抵の者が紅茶か、珈琲コーヒー

 またミルク(マリウス王弟)、オレンジジュースなどが注文された。


「では早速会議を始めるわよ。

 まずは私――熾天使してんしガブリエルから問うわ。

 アナタ達は、私達――天使との停戦協定に応じる。

 そう思って良いのかしら?」


「嗚呼、そのつもりでこの会議に挑んでいる」


 魔王レクサーが凜とした声で答える。

 すると周囲の各種族の首脳部も「はい」や「ええ」と相槌を打つ。


「そう、それならば話は早いわ。

 ではここにて天使軍とウェルガリア軍の停戦協定を締結するわ」


「……随分と早急だな?

 というか貴公に……」


「魔王レクサー、私の名は熾天使してんしガブリエルです」



熾天使してんしガブリエル……殿の一声で停戦が成立するのか?」


「ええ、私は天使長ミカエルにアナタ方の仲裁役を務めるように、

 言付けされたわ。 よってこの会議においては、

 私の言葉は、天使側の言葉、主張と思って頂いて結構よ」


「そうか、その言葉を信じて良いんだな?」


「ええ、魔王レクサー。

 熾天使してんしの名において約束するわ」


「そうか、では今後しばらくの間は、

 天使軍がウェルガリアに侵攻する事はないんだな?」


 まずは一番重要な事を訊く魔王レクサー。

 するとガブリエルも「ええ」と頷く。


「ならば天使軍はもう二度とボク達と戦う気はニャい。

 と思ってもいいのかニャ?」


 今度はマリウス王弟が発言するが、

 ガブリエルはこの言葉を「いいえ」と一蹴した。

 そしてその形の良い唇から美声を発した。


「確かに停戦協定は今、締結されたけど、

 これで私達の戦いが終わった訳ではないわ。

 むしろ新たな戦いの幕開け、と言うべきでしょう」


「……それはどういう意味でしょうか?」


 と、巫女ミリアム。


「そうね、このウェルガリアにおける戦いは終わったけど、

 天使とアナタ方との戦いは終わった訳ではない。

 という事ね」


「その話、詳しく聞かせてもらいたい」


 皆の意見を代表して、族長アルガスがそう言う。

 するとガブリエルは、微笑みを浮かべてその美声で言葉を紡ぐ。

 その声はとても心地よいが、語られる内容は些か衝撃的であった。


「天使長ミカエルは、今回のウェルガリア侵攻に、

 我等、天使にも落ち度があると認めたわ。

 でも我々にも立場があるので、安易にそれを認められない。

 そして彼は対話による解決を求めてない。

 アナタ方がこの世界の安泰を望むのであれば、

 力を持って、天使を説き伏せてみよ。

 それが天使長、そして私を含めた大天使の総意よ」


「それはアナタ方が新たなる戦場を設定して、

 我等はその戦いに挑め、という事ですか?」


 アーベル国王がそう言うと、

 ガブリエルはまた美声で「そうよ」と答えた。


「要するに小休止した後に、

 また我々と天使が戦う舞台を用意する。

 という事か?」


 むっつりとした表情で胸の前で両腕を組む魔王レクサー。

 だが相変わらずガブリエルは微笑んでいた。


「そうよ」


「その舞台は何処だ?」


「……私達、天使の世界――天界エリシオンよ」


「なっ……」


 予想外の言葉にレクサーも思わず言葉を詰まらせる。

 またレクサー以外の者も目を瞬かせていた。


「ニャー、天界っていうけど、

 どうやってその天界に行くのかニャ?」


 こういう風に思ったまま言えるのが猫族ニャーマンの美点の一つだ。

 マリウス王弟の発言は、無邪気な子供のような言葉だが、

 猫族ニャーマンが言うと、周囲の場を和ませる効果もあった。


「それはこのメルカバーを使えば問題ないわ。

 このメルカバーには、

 時空を超える時空転移装置というものがあるわ。

 これを使えばこのウェルガリアから、

 天界もあっという間に着くわ。

 そしてアナタ方には、天界に遠征する遠征メンバーを

 選抜して欲しいのよ、ちなみに拒否権はないわ。

 少なくともこの場に居る四種族には、

 この天界遠征の為の人員を確保してもらうわ。

 そして力を持って、我等天使に挑みなさい。

 その結果、勝利を収めたら、

 我々、天使はこの世界に干渉する事を止めるわ」


「……」


 ガブリエルの声は真剣そのものだ。

 そして魔王レクサー達も彼女の言葉に真剣に耳を傾けていた。


 だがこれ程、重大な決定事項を直ぐには決められる筈もなく、

 彼等は何度も顔を見合わせながら、

 口を噤み、首を横に振るということを繰り返していた。

 

次回の更新は2025年12月28日(日)の予定です。


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