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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第九十四章 力天使ヴァーチャ

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第七百十九話 泰然自若(後編)



---三人称視点---



 ニャンドランド城を出立して約四時間半。

 魔王レクサ-や各種族の首脳部は、事前に打ち合わせた通りに、

 それぞれ五百名程の護衛を引き連れて、ニャンニャン湖に到着。


 すると天使側から数名の天使兵てんしへいが派遣されて――


「我々の停戦に応じてくれた事を感謝する。

 会議の場所はあの黒い船――メルカバーの艦内で行うが、

 その祭は最低限の護衛と従者だけお連れ頂きたい」


 という申し出を魔王レクサー達は素直に受け入れた。

 もし天使側が策略を立てるなら、

 こんなまどろっこしい事などせず、

 あの大聖林を破壊した「メギドの炎」で、

 魔王レクサー達を一掃していだろう。


 だがそういう気配もないので、

 ここは相手を信じて要求に素直に従った。

 敵とはいえ、交渉する際には最低限の信頼関係が必要である。

 

 その信頼を感じ取った熾天使してんしガブリエルは、

 メルカバーをニャンニャン湖から少し移動させて、

 船体を湖から少し出した状態で、

 前方部のハッチを開いて、レクサー一行を艦内に招き入れた。


 その超テクノロジーの結晶であるメルカバーの船内を見て、

 魔王レクサーや大賢者ワイズマンも同じ驚きの声を漏らした。


「信じられん。 こんな超テクノロジーが実在するとはな。

 我々の相手が天使だった……という事以上に驚きが隠せん」


「私も魔王陛下と同じ心境です。

 この船一つで使い方によっては、

 このウェルガリアを制圧出来るかもしれません。

 良くもこんな連中を相手に停戦までかこつけたもんだ」


「ボクも魔王陛下や大賢者ワイズマン殿に賛成ニャ。

 これは凄すぎる、凄すぎて言葉が出ないニャ」


「……何としても停戦を結ぶべきですね」


 脳天気なマリウス王弟に対して、

 アーベル国王は真顔でそう漏らした。


「皆様には一端、後部分にあるレストルームまでご案内します。

 そこで小休止してから、

 ミーティングルームで停戦について話し合いたいと思います」


 案内役の銀髪の天使兵がそう言うと、

 レクサーがラサミス達の身を案じた。


「ここに居る人質達は無事かね?」


「ええ、意外と快適に暮らしてますよ。

 彼等の中からも会議に参加させますか?」


「そうだな、ラサミス・カーマイン。

 そして剣聖ヨハンは会議に参加せよ。

 との趣旨を伝えて欲しい」


「了解です。

 ではレストルームまでご案内致します」


 そして歩く事、五分。

 レクサー達はレストルームに到着。


「こちらの部屋がレストルームです。

 食堂、寝室、バス・トイレなどの設備が一通り揃ってます」


「……案内ご苦労。

 では我々は暫しこの場で待機しよう。

 皆の者も楽にするが良い」


 レクサーがそう言うなり、

 他の同行者も少し気を抜いてリラックスした。

 尚、室内には三体の戦闘バイオロイドと三体の通常バイオロイドの姿が見えた。


「喉が少し渇いたな。

 しかしどうやって飲料水を汲むか、分からぬ」


「ええ、何やら変わった装置がありますが、

 使い方が分かりませんな」


「ニャ! ニャらばそこ機械人形に聞くニャン。

 おーい、そこの機械人形さーん、ちょっと来てニャン」


 レクサーとシーネンレムスが戸惑っていると、

 マリウス王弟が大きな声で近くの通常バイオロイドを呼びかけた。


「ハイ、何デショウカ?」


 体長170前後の通常バイオロイドがそう問う。

 二足歩行で手もちゃんと五本ある。

 見た目は大体戦闘バイオロイドとほぼ同じであった。


「ニャー、何か飲み物持って来て頂戴」


「何ガ宜シイデショウカ?」


「ニャーン、ボクはミルクがいいニャン。

 魔王陛下や大賢者ワイズマン殿は何がいいかニャ?」


「……珈琲コーヒーはないよな?」


 と、レクサー。


「アリマスヨ、但シインスタントニナリマスガ……」


「インスタント?」


 聞き慣れぬ言葉に首をかしげるシーネンレムス。


「簡単ニ作レルコーヒーノ事デス」


「そうか、ならば珈琲コーヒーを頼む。

 他の者も珈琲コーヒーで良いな?」


「あ、はい」「はい」


 レクサーの言葉にシーネンレムス。

 そして親衛隊長のミルトバッハも小さく頷いた。


「デハ少々、オ待マチクダサイ」


 待つ事二分余り。

 隣の食堂に引っ込んだ通常バイオロイド三体が、

 トレーの上に幾つかの珈琲コーヒーの入ったマグカップを持って来た。


「砂糖トミルクハ事前二入レテマス。

 カップハ熱イノデ気ヲツケテオ飲ミクダサイ」


「嗚呼、そこのテーブルにトレイを置いてくれ。

 シーネンレムス、ミルトバッハ。

 折角の機会だ、天使達の文明の利器をとんと味わうぞ」


「「御意っ!」」


 レクサーは「ふう」と息を吐き、熱い珈琲コーヒーをすする。

 カップは白い無地のマグカップだった。

 ウェルガリアの世界ではこのようなマグカップはない。


 室内は程よい冷気が近くのエアコンから送風されていた。

 当然、エアコンなどはウェルガリアの世界にはない。


「……これだけ見ても我々と文明レベルが違うな。

 これは早い段階で停戦に応じて正解だったようだな」


「……私もそう思いますよ」


 同じく熱い珈琲コーヒーをすすりながら、

 シーネンレムスが相槌を打った。


 そして休憩する事、約二時間。

 充分な休憩を取ったレクサー達の前に、

 先程の天使兵達が現れて――


「ご休憩は充分でしょうか?」


「嗚呼、おかげでゆっくり休めた」


 と、満足げにそう言うレクサー。


「それは良かったです。

 では早速ですがこれからミーティングルームに案内します。

 安全の為に入室の際には武装解除させて頂きます」


「うむ、それで構わん」


「では私達の後について来てください」


「嗚呼」


 そして再び歩く事、五分。

 レクサー達はミーティングルームの前のドアに到着。

 少し大きなドアの前には、

 身長180前後の体格の良い天使兵が二名立っていた。


「こちらはウェルガリアの首脳部の方々だ。

 既に武装解除は終えている」


「そうか、ならば今からドアを開けよう」


 そう言って体格の良い天使兵がドアの近くのボタンを右手で押す。

 するとドアが開いて、室内が露わになった。


 室内の中央にU字方の長テーブルが縦に置かれており、

 上座に座る熾天使してんしガブリエルの姿が見えた。

 また左側の席にラサミスと剣聖ヨハンの姿も確認出来た。


「どうぞ、ゲストの皆様方。

 お好きな席にはお座りください」


 熾天使してんしガブリエルに従い、

 魔王レクサー達はそれぞれ自由な席に座った。


 ――さて、ここからが本番だ。

 ――とりあえずは様子見でいこう。


 レクサーは内心でそう思いながら、

 少しばかり気を引き締めて、

 ウェルガリアの命運を分ける会議に挑もうとしていた。



次回の更新は2025年12月25日(木)の予定です。


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― 新着の感想 ―
*´Å`)MerryXmas! この章もそろそろラストですかね? ヨハンやレクサーなど色んなキャラの「株」があがった天使軍編。命運をかけた会議でどんな展開になっていくのかドキドキしますね。
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