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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第九十四章 力天使ヴァーチャ

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第七百十八話 泰然自若(前編)


第百四章 頂上会談


---三人称視点---



「そうか、カーマイン達が敵の親玉と交渉のテーブルについたか。

 そうであるならば余としても彼等を見捨てる事も出来ぬ。

 余は停戦に応じるつもりだが、

 王城に居るマリウス王弟おうていの意思も確認しておこう。

 伝令兵、貴公はそのまま猫族ニャーマンの王城へ向かえっ!」


「御意っ!」


 魔王レクサーに命じられて、

 紫髪の男性魔族は低い声で応じて、

 本陣の天幕を後にすると転移石を使用して、猫族ニャーマンの王城へ跳んだ。


「魔王陛下、このまま停戦に応じるおつもりですか?」


「何だ、シーネンレムス。

 貴公は停戦に反対なのか?」


「いえ、敵の余力は底知れない状況。

 これ以上の戦闘は私も避けるべきと思います。

 ですが……」


「ですが……何だ?」


「敵が約束を反故する可能性もあるので、

 交渉のテーブルにつく際には、

 しっかりと護衛をつけてください」


「何だ、そんな事か?

 まあ余も犬死には御免だ。

 その際には親衛隊長や貴公を同行させるつもりだ」


「御意っ!」


 こうして魔王とその側近は停戦に応じる事を表明した。

 そして数十分後に王城ニャンドランドに、

 先程の紫髪の魔族の伝令兵が到着した。


 魔族の伝令が事のあらましを告げると、

 王城の謁見の間に居たマリウス王弟は――


「ニャン、魔王陛下が停戦に応じるニャら、

 我等、猫族ニャーマンも停戦に応じよう。

 兄う……国王陛下もそれで宜しいでしょうか?」


「嗚呼、私もそれで構わんよ」


 アーベル現国王がそう答える。

 

「とりあえずこの件は巫女ミリアム。

 そして竜人族のアルガス族長にも話を通しておきますニャン」


「うむ、その辺りはマリウスの裁量に任せるよ」


「ニャーン、任されました」


 その後、マリウス王弟は、巫女ミリアムとアルガス族長に伝令兵を送った。

 巫女ミリアムは素直に停戦に応じる事にした。


 ウェルガリア歴1606年9月25日。

 こうしてウェルガリア軍と天使軍の間で停戦協定が結ばれる事となった。


 そして魔王レクサー、アーベル国王とマリウス王弟。

 巫女ミリアム、そしてアーガス族長をニャンドランド城に呼んで、

 このそうそうたる面子で会議を開く事となった。


 尤もアルガス族長の到着には、

 最低でも三、四日を有する事となり、

 その間にメルカバーは、ガルフ砦の北西にあるニャンニャン湖に再び着水して、

 魔王レクサー達の出方を伺っていた。


 尚、人質扱いのラサミス達は、

 メルカバーでの軟禁生活を強いられたが、

 食事や風呂トイレに関しては、

 メルカバー内にキッチンや食堂、超高性能の風呂とトイレが

 設置されていたので、この辺に関しては非常に快適であった。


 とりあえず彼等もこの待遇には概ね満足していた。

 異変が起きたのは二日後の9月27日。


 これまで静観を決め込んでいたヒューマンが

 宰相バロムスを派遣するので、

 和平会談に参加させよ、と魔王に申し出た。


 これにはレクサーだけでなく、

 巫女ミリアム、族長アルガス。

 そして普段は温厚なアーベル国王とマリウス王弟も怒りを爆発させた。


「今まで何もしなかったのに、

 ここでしゃしゃり出て来る神経を疑うわ」


「余も巫女ミリアムと同じ気持ちです。

 正直言って不愉快でございます」


 と、アーベル国王。


「ニャー、ボクも国王陛下と同意見ニャ。

 魔王陛下、当然彼等の要求はツッパねますよね?」


 マリウス王弟の言葉にレクサーが「嗚呼」と頷く。


「今まで何もしないくせに、

 要求だけする厚顔さに余も怒りの念を隠せない。

 兎に角、奴等の要求は無視する。

 会議は魔族、猫族ニャーマン、エルフ族、竜人族。

 この四種族のみで行う、これは魔王命令である」


 レクサーのこの言葉によって、

 ヒューマンの会議の不参加は正式に決定した。


 そして翌日の9月28日の正午過ぎ。

 族長アルガスが護衛にレフ団長とロムス副長を連れて、

 ニャンドランド城に入城した。


 それから五時間の休憩を挟んで、

 夕方の十七時過ぎに、魔王レクサーは各種族の首脳部を交えて、

 ニャンドランド城の二階の作戦会議室で会議を始めた。


 作戦会議室の中央には、前回同様に黒檀の長机が置かれており、

 それ以外の調度品も特に変わらず最低限の物しか置いてなかった。

 部屋の前方にある黒板には、

 同じく大きな世界地図が貼られていた。


 とりあえず左側の席に魔王レクサー、大賢者ワイズマン、ミルトバッハ。

 そして現国王アーベル、マリウス王弟、ニャルドーム大臣の順で座り、

 右側の席に巫女ミリアムとエリアス参謀長。

 族長アルガスとレフ団長と副団長のロムスが座る事となった。


「皆、席に着いたな?

 ならば早速だが我々の今後について語りたいと思う」


「魔王陛下、宜しければわたくしめに会議の進行役を任せて頂けませんか?」


 と、ニャルドーム大臣。


「そうだな、そうするが良い」


「……ありがとうございます」


 自然とこの場に居る者達の視線がニャルドーム大臣に向けられた。

 すると大臣は「コホン」と咳払いしてから、

 大きな声で喋りだした。


「まずはこうしてお集まりになって頂いた事に感謝します。

 ですが悠長に長話をしている暇もありません。

 今もこうしてあの空飛ぶ黒い船に味方が人質として、

 軟禁されてますので、手際よく会議を進めていきましょう」


 ニャルドーム大臣の言葉に周囲の者達が無言で頷く。

 それを見て大臣が新たな問題定義をした。


「皆様は敵――天使の首脳部との会談に賛成との事ですが、

 今一度その意思を確認させてもらいます。

 皆様は天使軍と停戦する、という意思をお持ちですか?」


「当然だ」


「同じく」「ええ」「そうです」


 レクサー、巫女ミリアム、アーベル国王、族長アルガスがそう返事する。

 その姿を見て大臣は満足そうに頷いた。


「話が早くて非常に助かります。

 ではこれらの意思を相手側――天使側に伝えたいと思います。

 停戦交渉の場は、恐らく敵のあの黒い船になるでしょう。

 敵――天使としては自身の身の安全を確保したい筈。

 なので交渉のテーブルにつく際には、

 各種族五百人ほどの護衛を同行させてください」


「嗚呼、それぐらいの人数が妥当であろう。

 あまり多いと向こうも警戒するだろうしな」


 と、魔王レクサー。


「では皆様はしばらくこのニャンドランド城にお泊まりください。

 適当な客室を用意します。

 それでは早速ですが相手に伝令兵を送ります」


 こうしてウェルガリア軍から、

 ニャンニャン湖で待機するメルカバーに伝令兵が送られた。


 その結果、熾天使してんしガブリエルは、

 二日後の9月30日にメルカバーに魔王レクサー達を招き入れて、

 各種族による頂上会談を行うと伝えてきた。


 これに対して魔王レクサー達も反対する事なく、

 ガブリエルの提案を素直に受け入れた。


 そして各種族の首脳部は、

 選抜した五百名の精鋭の護衛を連れて、

 二日後の早朝七時にニャンニャン湖目指して進軍を開始した。


次回の更新は2025年12月23日(火)の予定です。


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