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第七百七話 熾天使(してんし)ウリエル(前編)

第百二章 熾天使してんしウリエル


---三人称視点---



「小賢しい連中だが、それなりの腕は立つようだな。

 ならばここは強化能力きょうかアビリティを使うっ!

 ――ディバイン・フォースゥッ!!」


 熾天使してんしウリエルは強化能力きょうかアビリティを発動させる。

 その結果、ウリエルの魔力と闘気オーラが急上昇した。

 更には能力値ステータスも一気に跳ね上がった。


「我は汝。 汝は我。 我は熾天使してんしウリエル。 

 時をつかさどる時の神クロノよ! 我に力を与えたまえ! 

 ――クロノ・ドライバーッ!!」


 今度は時魔法クロノ・ドライバーを発動。

 これによってウリエルの体感速度やスピード、反射神経が更に強化された。


 だがここまでは過去の大天使と同じ。

 これ以上の強化魔法や強化能力きょうかアビリティがあると見るべきだが、

 ウリエルはこれ以上、強化する事はなく、

 右手に持った神剣しんけんアストロダームを構えて、

 背中の二枚一対の純白の翼を羽ばたかせて、宙に浮いていた。


「まだ奥の手があると見るべきだが、

 敵はこれ以上、強化魔法や強化能力きょうかアビリティを使用しないつもりのようだ」


「ヨハン団長、そのようですね。

 こちらを舐めているのか、力を温存しているのか」


「ラサミスくん、恐らくその両方かもしれん」


「舐められたもね。

 でもその判断が間違いと思い知らせてやりましょう」


 と、ミネルバ。


「オレも同感だね、ああいったすかした奴には気に食わん」


 と、ジウバルト。


「とりあえずオレとヨハン団長とミネルバでウリエルを迎え撃つ。

 ジウバルトは中衛の皆と連携して、

 奴の周囲に居る天使兵てんしへい機械兵きかいへいを確実に倒してくれ」


「地味な作業だが、確かに重要な役割だ。

 それにオレの力じゃ熾天使してんし相手に渡り合うのもキツそうだ。

 だからラサミス……団長、言われた通りに戦うぜ」


「嗚呼、雑魚を減らしたら、

 お前にもウリエルと戦ってもらう」


「了解っ!!」


 その後、ラサミスとヨハン、ミネルバは、

 三対一でウリエルに挑みつつも、

 無理な交戦はせず、周囲の味方に的確に指示を出して、

 ウリエルの周囲の天使兵を一体、機械兵を一体づつ確実に撃破して、

 3対10という数的状況を作り出した。


 これならば圧倒的に有利になる。

 と最初は思ったが、ウリエルはまるで動揺する事なく、

 あくまで威風堂々とした姿でラサミス達を迎え撃った。


「くっ……諸手突きっ!」


「遅いっ! ピアシング・ブレードッ!」


 突きに対して、突きで返すウリエル。

 そして勢いで上回り、斬撃の衝撃でラサミスを後退させた。

 それと入れ替わるように、ミネルバが果敢に前へ出る。


「――ペンタ・トゥレラッ!」


「甘い! ――トリプル・ストライクッ!!」


 ミネルバは、英雄級の槍術スキルを放つが、

 ウリエルは咄嗟に三連撃を繰り出して、

 ミネルバの漆黒の魔槍まそうをいとも簡単に弾き返した。


「くっ……初級から上級レベルの剣技ソード・スキルしか

 使ってないけど、とんでもないレベルのパワーと精度ね。

 今の私の槍術スキルをまるで苦にしてないわ」


「いや竜人族の女よ、なかなかのレベルの攻撃だぞ。

 私以外の大天使なら充分に通用したであろうさ。

 だがここに居るのは私だ、運がなかったな」


「……これまた随分と舐められたわね」


「ミネルバくん、ここは一端下がって落ち着きたまえっ!

 次はこのボクが行くよっ!」


「ヨハン団長、了解です」


 ヨハンの指示に従い、一度下がるミネルバ。

 それと入れ替わる形でヨハンが前へ出た。


「これならどうだっ! ――ゾディアック・ブレードッ!」


「――クレセント・ストライクッ!」


 ウリエルも咄嗟に剣技ソード・スキルで、迎え討つが、

 相手は剣聖ヨハン。 更には固有剣技ユニーク・ソード・スキル


 流石にラサミスやミネルバをいなしたようにはいかず、

 ウリエルの斬撃は綺麗に弾き返されて、

 その上半身に斜線の剣傷を刻み込まれた。


「くっ……この私の一撃を弾き返すとはな。

 やはり金髪の小僧、貴様は油断出来ない相手のようだ」


 何とかウリエルにダメージを与える事が出来た。

 確かにウリエルは強い。

 今までの大天使とは、一味も二味も違う。


 基本的な能力や剣術が想像以上の高水準を保っている。

 だがまるで勝負にならない。

 という程、力の差がある訳でもなかった。


 勿論、ウリエルがまだ奥の手や余力を残している可能性は高いが、

 この状況ならば、こちらも力を温存せず全力を出すべきだ。

 ラサミスは咄嗟にそう判断して、

 今まで温存していた能力アビリティスキルを使う事にした。


「大丈夫だ、確かにウリエルは強い。

 他の大天使や過去の魔族の幹部よりも強いだろう。

 だがまるで歯が立たないという訳でもない。

 だからここは力を温存せず、オレも全力で攻めるっ!

 ――明鏡止水めいきょうしすいっ!」


 ラサミスはここで奥の手の明鏡止水めいきょうしすいを発動。

 これによってラサミスの全身に力が漲り、能力値ステタースも倍加された。


 ここで明鏡止水めいきょうしすいを使うのは、

 やや先走っているように見えたが、

 ラサミスにはまだ職業能力ジョブ・アビリティ黄金時間ゴールデン・タイム」が残されていた。


 この能力アビリティがあれば、

 一度だけなら蓄積時間チャージ・タイムを零にする事が可能だ。

 ならばここで猛攻撃を掛けても、お釣りが来る。


 一瞬でそう判断したラサミスは――


「――黄金の息吹(ゴールデン・ブレス)!」


 ここで職業能力ジョブ・アビリティ黄金の息吹(ゴールデン・ブレス)」を発動させた。


 ラサミスはここで全体の三割の魔力を聖刀を握った右手に蓄積チャージさせた。

 そしてそこでおもむろに叫んだ。


「――雷神剣らいじんけんっ!!」


次回の更新は2025年11月27日(木)の予定です。


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