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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第八十八章 流星光底

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第六百二十五話 流星光底(中編)



---三人称視点---



「――神速多段斬しんそくただんぎりっ!!」


「――ゾディアック・ブレードッ!」


 パワーと剣聖ヨハンが幾度となく切り結ぶが、

 お互いに決定打を欠いた状態だ。


 しかしこの勝負は一騎打ちではない。

 多対一で能天使のうてんしパワーを追い込む。

 それが基本戦術なので、

 ラサミス達は焦る事なく、着実にパワーを追い詰めていく。


「今度は私が攻めるわっ!

 ハアアアッ……アアアッ! 

 ――ドラゴン・ビートッ!!」


 ミネルバが職業能力ジョブ・アビリティ「ドラゴン・ビート」を発動。

 それによって彼女の力と闘気オーラが倍化された。

 だがこれで終わりじゃない。

 ミネルバは再び職業能力ジョブ・アビリティを発動させた。


「お次はこれよっ! ――りゅう鼓動こどうっ!!!」


 職業能力ジョブ・アビリティりゅう鼓動こどう」は、

 耐久力と敏捷、そして耐魔力を大幅に上げる職業能力ジョブ・アビリティだ。


 この二つの職業能力ジョブ・アビリティの重ね掛けで、

 ミネルバの戦闘力は短期間に急増した。


「最後にコレよ! ――龍調教ドラゴン・テイムっ!!」


 彼女がそう叫ぶと、

 上空に待機させたミネルバの愛竜ギルガストが「ガオオン」と吠えた。


 この飛竜ギルガストは、

 先の戦いでミネルバが騎乗した際に、

 相性が良かったので、レフ団長の厚意で、

 ミネルバ専用の飛竜として契約が果たされた。


 マスターである竜騎士ドラグーンと飛竜は、

 魔法で契約を結ぶ事が可能だったので、

 ミネルバはこのギルガストと主従関係を結んだ。


 それによって、

 愛竜ギルガストはミネルバの命令を何よりも優先させる。

 だが今は飛竜に乗る状況ではない。


 まずは接近戦で挑む。

 そう心に刻み、ミネルバは全力で地を蹴った。


「フンッ! 小娘如きに負けるかっ!」


「ならばその小娘の力を思い知れっ!

 せいやぁっ! ――トリプル・スラストッ!」


「甘いっ! ――ナイトメア・スラッシュ」


 ミネルバの三連突きに対して、

 パワーは帝王級の大剣スキルで応戦。

 パワーの持つディバイン・ソードの効果と相まって、

 ミネルバの漆黒の魔槍の突きを易々と防いだ。


「くっ……ならば! ――ペンタ・トゥレラッ!!」


 今度は英雄級の槍術スキルを繰り出すミネルバ。

 魔槍カーミルランスの穂先が高速で前方に突き出される。


 だがパワーも返し突き。

 また華麗な足裁きでこの五連撃を完璧に回避する。


「なっ……」


「――甘いっ!」


 パワーはここで無詠唱で魔法攻撃を仕掛けた。

 すると彼の周囲の地面から、

 複数の石と岩が浮遊して魔力を帯びた。


 そしてパワーが左手を前に突き出すと、

 浮遊した石や岩がミネルバ目掛けて放たれた。


「ミネルバ、無理するな!」


「大丈夫! 何とか躱してみせるわっ!」


 ラサミスの心配を他所に、

 ミネルバは高速でステップを刻み、

 飛び交う石や岩を次々と躱していく。


 そこでパワーは第二射を放つ。

 今度はもっと威力も速度も上げた状態だ。


 ミネルバも上下左右に避けてるが、

 所々で石を身体に当てられて、

 気が付けば、何カ所か痛める事となるが、

 それで気押される事なく――


「――スピニング・ツイスターッ!」


 ミネルバは漆黒の魔槍を手元で風車のように横回転させて、

 飛来して来る石や岩を綺麗に弾き返した。


 ミネルバとて第二次ウェルガリア大戦の生き残り。

 またその後も絶えず特訓を重ねて、

 レベルも戦闘技術も向上させていたが、

 相手は大天使、当然一筋縄でがいかない。


「――地形変化テレイン・チェンジっ!」


 今度はミネルバの周囲の地面を泥沼化させた。

 だがミネルバもこの時に備えて対策を打っていた。


「――ハイジャンプッ!

 ギルガスト、来てっ!!」


「ガオオオンッ!」


 ミネルバは咄嗟に職業能力ジョブ・アビリティ「ハイジャンプ」で

 泥沼化する地面から上空に高く飛び上がった。

 それを待ち受けていたように、

 愛竜ギルガストがミネルバに近づく。

 ミネルバが上手い具合にギルガストの鞍に乗り込んだ。


「良し、このままアイツに目掛けて突撃よっ!」


 あるじの言葉に従い、

 ギルガストは急降下して、パワーに迫った。


「たかが竜如きに怯む俺ではないっ!」


 再び左手を前に突き出すパワー。

 間を置かずして、浮遊した石と岩がミネルバ目掛けて放射される。

 

「そう来るのは百も承知よっ!

 ――宙返り(サマーソルト)ッ!!


 ミネルバが短縮詠唱で英雄級の風魔法を唱える。

 するとギルガストは、両翼を羽ばたかせて上昇して、

 綺麗な宙返りを華麗に決めて、

 パワーが放った石と岩を見事に回避。


「なっ……!?」


「貰ったぁ! ――ブラスト・ジャベリン」


 ミネルバが右手に持った漆黒の魔槍を投擲。

 闇の闘気オーラを宿らせて魔槍は、

 パワーの鎧の隙間の左足の大腿部に命中。


「ぐはぁっ! お、おのれっ!!!」


「――リバースッ!」


 パワーが呻く中、

 ミネルバは念動力サイコキネシスで、

 パワーに突き刺さった魔槍を手元に手繰り寄せた。


「私はこのまま上空に待機するから、

 後の事は下に居る皆に任せたわ」


 見事なヒット&アウェイを決めて、

 上空に逃げ込むミネルバ。

 

「くっ……この程度の傷などっ!

 ――ディバイン・ヒールッ!」


 パワーは左手を左足の大腿部に当てて、

 回復魔法を唱えて、傷を癒やそうとするが……。


「がはあぁぁぁっ!!」


 次の瞬間、パワーの鎧の隙間の腹部から赤い鮮血が吹き出した。

 中列から火薬の匂いが漂ってきた。

 思わず後ろに振り返るラサミス。

 すると背後に膝撃ち状態のマリベーレの姿が見えた。


「今使ったのは、氷と風の合成弾だよ。

 腹部に命中したから、例え回復魔法を使っても、

 完全に治癒する事は無理だよ!」


「そうか、マリベーレ!

 ありがとうな、良しっ……ならばこのチャンスを生かすぜ!」

 ――疾走スプリントッ!!」


 ラサミスはそう言って、

 疾走スプリントを発動して、

 左手に吸収の盾(サクション・シールド)

 右手で聖刀・顎門あぎとの柄を握りながら、

 身を低くして、パワー目掛けて突貫した。



次回の更新は2025年5月20日(火)の予定です。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 ミネルバ大活躍。 マリベーレも活躍してますし、レイドバトルでは色々なキャラが活躍できるのがいいですよね。 パワーの方は一方的に押されてばかりで可哀想な気もしますが。 ですがまだ、…
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