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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第八十五章 能天使パワー

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第六百四話 波状攻撃(前編)



---三人称視点---



 デュークハルトの機転によって、

 能天使のうてんしパワーは、少なからずのダメージを負った。


 そしてこの好機を逃すまいと、

 剣聖ヨハンとラサミスは波状攻撃を仕掛けた。


「兎に角、少しでも相手を弱らせるっ!

 ――敏捷性アジリティ吸収アブソープション!!」


 ヨハンは強化戦士エンハンス・セイバー職業能力ジョブ・アビリティ能力吸収のうりょくきゅうしゅう』を発動させた。 

 それによってヨハンは、パワーから敏捷性を奪って、自分の敏捷性も強化させた。


 これで一時的とはいえ、

 パワーの敏捷性、スピードを下げる事に成功。

 そしてこの状況でラサミスが更なる追い打ちをかけた。


「――零の波動(ウェイブオブゼロ)!!」


 ラサミスは咄嗟に左手を前にかざして、

 職業能力ジョブ・アビリティ零の波動(ウェイブオブゼロ)」を発動させる。


 次の瞬間、ラサミスの左手から白い波動が迸り、

 前方の能天使のうてんしパワーの身体に見事に命中した。


「な、なっ!?」


 自分でも力や魔力が下がった事を痛感するパワー。

 これでパワーにかかっていた支援魔法。

 強化能力きょうかアビリティは無慈悲にも強制解除された。


 それに加えてラサミスは「明鏡止水めいきょうしすい」で、

 能力値ステータスが倍化された状態。


 この状態で攻めなくていつ攻める。

 それを実現するべく、ラサミスが果敢に攻撃を仕掛けた。


「――諸手突きっ!」


「舐めるなぁっ! ――クレセント・ストライクッ!」


 ラサミスとパワーの聖刀と青い大剣が激しく衝突するが、

 能力値ステータスが倍化されたラサミスにとっては、

 これぐらいの攻撃なら問題なく受け止められた。


「くっ……この俺の一撃を受け止めるとはっ!!」


「何を驚いているんだ?

 この程度の攻撃で止まるオレじゃねえよ。

 オレはこう見えて魔族の幹部や魔王とも死闘を演じてきたんだ。

 お前等、大天使は確かに強いが、

 魔族と比べて圧倒的に強いという訳でもねえ。

 アーク・エンジェルもプリンシパティもこのオレが倒した。

 トロトロしていると、お前もっちゃうぜ?」


「……」


 ラサミスの言葉に押し黙るパワー。

 だが彼は別におののいた訳ではない。

 

 彼自身、まだまだ闘志も戦意もあった。

 だがこの状況下でこの特異点と金髪のヒューマンの相手は厳しい。

 ここは頃合いを見て、逃走すべきだ。


 と、頭の中で高速で算盤そろばんを弾くパワー。

 だが彼にも大天使としての意地はある。

 何の手土産も無しに撤退する。

 そんな恥知らずの真似は出来ない。


 パワーはそう胸に刻みながら、

 左手を前へ突き出して、

 無詠唱で土属性魔法を発動させた。


「くっ……ここで無詠唱魔法攻撃か!」


「ラサミスくん、慌てるなっ!

 この程度なら対魔結界で防げる。

 ――ライト・ウォールッ!」


「了解です、ヨハンさんっ!

 ハアァア……アァァァッ! ライト・ウォールッ!」


 ラサミスとヨハンも咄嗟に光属性の対魔結界を張った。

 パワーが放った石や岩石が彼等の張った対魔結界に命中。

 だが対魔結界を撃ち破るまでには至らない。


「おい、パワーさんよ。

 オレ様の事も忘れんなよっ! ――サンダーボルトッ!」


 またしても不意を突く形で、

 デュークハルトが素早く呪文を紡ぎ、

 その左椀から電撃魔法を放出した。


「くっ! う、うおおおっ!」


 思わず仰け反るパワー。

 デュークハルトの電撃魔法は、

 パワーの左椀に見事に命中して、

 電撃によって、その皮膚を焦がした。


「――パワー殿!

 ――ディバイン・ヒールッ!」


 近くに居た天使兵てんしへいが我が身を顧みず、

 パワーに近づいて、上級回復魔法を唱えた。


「余計な真似はするなっ!

 ――ゾディアック・ブレードッ!」


「ぎ、ぎゃあぁぁぁっ……!!!」


 ヨハンの聖剣が容赦なく、天使兵を切り裂いた。

 聖剣に加えて固有剣技ユニーク・ソードスキル

 その強烈なコンボで一撃で天使兵を再起不能へ追いやった。


「ちっ……またあの金色狼きんいろおおかみか。

 油断ならぬ奴だ、だが今ので俺の左椀は回復した。

 もう二度と不意打ちは喰らわぬっ!」


「はいはい、んじゃオレはまた中衛に下がるぜ。

 カーマイン、剣聖さんよ。

 コイツの料理は任せたぜっ!」


「「嗚呼っ!!」」


 良い感じに不意を突くデュークハルト。

 彼のこの行動でラサミスとヨハンも俄に士気が増した。


「それじゃここからは怒濤の波状攻撃で攻めるぜっ!

 くたばりやがれっ! ――五月雨突きっ!」


「舐めるなっ! 神速多段斬しんそくただんぎりっ!!」


 ラサミスのラッシュに対して、

 パワーも帝王級の大剣たいけんスキルで応酬する。


 聖刀・顎門あぎとと青い大剣――ディバイン・ソードは、

 何度も切り結んでも、折れることがなく、

 力の限り真正面から衝突した。


 だがパワーは強制解除された状態。

 対するラサミスは能力値ステータスが倍化された状態。


 武器も剣技ソード・スキルもほぼ互角であったが、

 能力値ステータスで勝るラサミスが力で押し切った。


「ぐっ……力の差で押されたっ!!」


「せいやぁぁぁっ! 居合抜きっ!!!」


 瞬時に腰を落として、

 ラサミスは聖刀の刃でパワーの喉笛を水平に切り裂いた。


「ぐ、ぐはあぁぁぁっ!!!」


 次の瞬間、パワーの喉笛から鮮血が吹き出して、周囲に飛び散った。

 僅かに後ろに下がった為、

 致命傷にはならなかったが、決して軽傷ではなかった。


 だがパワーは強靱な意志で耐え抜き。

 左手を傷口に当てて、短縮詠唱で回復魔法を唱えた。


「ア、ア……ーク……ヒールゥゥゥッ!!!」


 パワーが呪文を唱えるなり、

 彼の喉笛の切り傷が急速に癒えていった。


「……良し、傷は癒えたっ!」


 切り裂かれた喉笛も元に戻り、

 ちゃんと肉声で喋れる事を確認すると、

 パワーは背中の二枚一対の純白の翼を羽ばたかせて、

 空を飛んで、距離を保とうとしたが――


「逃がすかぁっ! ――雷炎剣らいえんけんっ!!!」


 ラサミスは勝負を決めるべく、

 神帝級の刀術スキル「雷炎剣らいえんけん」を放った。


 ラサミスの聖刀に紅蓮の炎が宿り、

 照準をパワーに合わせて、その聖刀を振った。

 すると紅蓮の炎がパワー目掛けて放たれた。


「くたばれっ!!!」


 ラサミスの言葉通りに、

 紅蓮の炎がうねりを生じて、パワーに急速に迫るが――



次回の更新は2025年4月3日(木)の予定です。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 零の波動、使われるたびに思いますがあまりにも強すぎますね。 逆に言えば、敵にも似たような能力を持っている奴が出てくる可能性があるということ。 あまり油断はできませんね。 そして…
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