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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第四十一章 大猫島の大決戦(だいけっせん)

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第二百三十九話 教会へ向かえ!(前編)


---ラサミス視点---



「進め、進め、勝利を掴み取れっ!」


「引くな! 奴等に魔族兵の意地を見せてやれ!」


 後衛隊の後ろで、魔王軍の隊長らしき魔族がそう叫びながら魔族旗まぞくきを翻す。

 オレ達はひたすら連戦に次ぐ連戦を重ね、立ちはだかる帝国軍を次々と打ち破り、十時方向に進んだ。 もう随分と進んだが、まだ敵の幹部らしき敵の姿は見えない。 少し余裕も出てきたから、リリアさんにまた魔力探査マナ・スキャンやってもらおう。


「……リリアさん、もう一度、魔力探査マナ・スキャンをやってもらえないか?

 ここからなら、かなり正確に敵の位置が分かると思うんだが……」


「それもそうだな、よし……リリア。 魔力探査マナ・スキャンを頼む」


 アレ? なんかナース隊長が会話に割り込んだよ。

 もしかしてオレが直にリリアさんに指示した事に怒ってる?

 まあそうだな、彼はリリアさんの上官だからな。

 だからここは様子を見よう。


「了解しました、三十秒程時間をください。 ――魔力探査マナ・スキャン開始!』


 リリアさんは両眼を瞑り、眉間に力を籠めながら、魔力探査マナ・スキャンを開始する。

 オレ達は息を潜めて、リリアの魔力探査マナ・スキャンを待つ。


「ん……うう……ううっ……。 ここから少し先にある大きな建物から、非常に強い魔力反応があります。恐らくこれが敵の幹部だと思われます。 それ以外にも十個くらい強い反応がありますね。 多分、敵の幹部の警護部隊の類いと思われます……」


「そうか、やはりこの先に敵の幹部が居るのか。 

 そしてここから少し先にある大きな建物と云えば、アレだな」


 ナース隊長はそう云いながら、左手の人差し指で遠くを指差した。

 その指差した方向には、丘の上の大きな教会らしき建物が建っていた。

 成る程、奴等、教会を拠点の一つにしたのか。

 それ自体は悪くない考えだが、魔族が教会に陣取るとはな。

 何の冗句じょうくだ、と少しばかり思わなくもない。


「とりあえずあの丘の上にある教会を目指そう。

 だがどんな罠が仕掛けられているか、分からんから用心するんだ!」


「はい」「了解」


 と、オレ達はナース隊長の言葉に頷いた。

 あの教会まではまだ距離があるな、となるとここから先は敵の防衛部隊が潜んでいそうだ。

 と思った矢先に、前方に大量の怪しい人影が湧き出た。

 その数は軽く見積もっても数十体以上はあった。 


「クッ……まだあんなに敵が残ってるのか」


 と、軽く舌打ちするナース隊長。

 だがドラガンが眼装ニャーグルを両眼に装着しながら、落ち着いた口調で次のように伝えた。


「ナース隊長、アレはゴーレムの集団です」


「何故分かるんですかね?」と、ナース隊長。


「この眼装ゴーグルをかけて周囲を見れば、魔力数値などを測れる魔道具なんです。

 先方の集団からは、魔力反応はありますが、アニマはありません。 よって連中はゴーレムの類いでしょう」


「そうか、ならばここは焦らず確実に倒して行くべきだな」


「アタシもそれに同意だね。 ゴーレム相手なら、錬金術師アルケミストが居れば楽勝でしょ!」


 そう云ったのは錬金術師アルケミスト女竜人おんなりゅうじんだ。

 確か彼女は「ヴァンキッシュ」の団員だ。 名前は……え~と確かクロエだ。


「随分と自信満々だが、何か策はあるのかね?」


 と、レビン団長が問う。

 すると錬金術師アルケミストのクロエはややドヤ顔気味で答えた。


「ええ、このアタシが錬金術師アルケミスト職業能力ジョブ・アビリティ地形変化テレイン・チェンジ』を使って、ゴーレム共が居る地形の属性を氷上に変えるわ。 そしたら魔法部隊が氷属性から風邪属性の魔法をぶっ放せば、魔力反応『分解』が発生するでしょ? 後はこれを延々と繰り返すだけよ。 理解したかしら?」


「ああ、ニャルほど。 クルレーベの時に使った戦法だナ!

 この戦法ならゴーレム共を虐殺ジェノサイドできるナ!」


 そう云ったのは、あの少し変な猫族ニャーマン銃士ガンナーのラモン。

 するとアイラやミネルバ、エリス、メイリンも「そうね」と同調した。


「了解、了解。 じゃあアタシが今から地形変化テレイン・チェンジを使うから、

 魔法部隊の皆は打ち合わせ通りにお願いね!」


「了解よ」「了解ッス」


 クロエの言葉にリリアさんとメイリンがそう返事する。

 するとクロエは両手で素早く印を結んだ。


「――地形変化テレイン・チェンジ開始っ!」


 クロエがそう叫ぶと、前方のゴーレム部隊の足下の床や地面が綺麗に凍り付いた。


「――今よ!」


 と、クロエがメイリン達に指示を出す。


「――分かってるわ! 我は汝。 汝は我。 我が名はリリア。 ウェルガリアに集う水の精霊よ。 我に力を与えたまえ! せいっ! 『シューティング・ブリザード』ッ!」


「我は汝。 汝は我。 我が名はメイリン。 ウェルガリアに集う水の精霊よ。 我に力を与えたまえ! 『シューティング・ブリザード』ッ!」


 二人の魔導士ソーサレスが狙い通りに上級氷魔法を詠唱。

 するとメイリン達の周囲の大気がビリビリと震えて、手にした杖の先端の魔石が眩く光り、大冷気が放出された。 大冷気に呑まれてた前方のゴーレム軍団は瞬く間に氷結した。 そして間髪入れず、第二射が放たれた。



「我は汝、汝は我。 我が名はリリア。 ウェルガリアに集う風の精霊よ、

 我に力を与えたまえ! 消え去れっ……『アーク・テンペスト』!!」


「我は汝、汝は我。 我が名はメイリン。 ウェルガリアに集う風の精霊よ、

 我に力を与えたまえ! ……『アーク・テンペスト』!!」


 激しい旋風が、凍り付いたゴーレム達の身体に渦巻いた。 

 すると魔力反応『分解』が発生して、凍り付いたゴーレムの身体に放射状に皹が入り、粉々に砕け散った。 同じような光景が何度も繰り返される。 そして何体もの、何十体ものゴーレムが同様に綺麗に砕け散った。


「ヒューッ、コイツはなかなか見物だぜ!」


 と、銃士ガンナーラモンが軽く口笛を鳴らした。


「油断するな、ラモン! これで終わりじゃない!」


 レビン団長がラモンを軽く叱責した。

 するとラモンは両肩を竦めて「オーケー、ボス」と返す。


「その通りよ、ゴーレムを倒しても敵からすれば大した痛手じゃないわ!

 このままの要領でゴーレムを撃破しながら、敵の術士じゅつしを倒すべきよ!」


 クロエの云う事は尤もだ。

 皆もそれを理解していたので、彼女の言葉に素直に従った。

 

 その後も同じ要領でゴーレムを撃破しながら、

 銃士ガンナーラモンと魔法銃士マジック・ガンナーのマリベーレが職業能力ジョブ・アビリティ『ホークアイ』を発動させて、中距離射撃、遠距離射撃で建物や物陰に潜んだ敵の術士を射殺して行く。



「よし、このまま突き進むぞ!

 目的地はあの丘の上にある大きな教会だ。

 これから先は敵も強くなると思うから、絶対に油断するな!」


 ナース隊長が鋭利な声でそう指示を飛ばす。

 するとオレを含めた周囲の仲間達も「はい!」と大きな声で返事して、気を引き締めた。

 さて、あの教会に居る敵の幹部は誰だ?


 あの女吸血鬼ヴァンパイアか。

 それともあのクールそうな女魔族か。

 まあいい、もう少しで自分の目で確かめられる。

 どのみち誰が来ても苦戦は必至だ。

 ならばオレとしても全力を尽すまでさ。

 そしてオレ達は丘の上の教会を目指して、全力で地を蹴った。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 ラサミスの視点になりましたね。ヨハンの戦いに夢中になってたけど、忘れていないよ主人公!! アルケミストの職業能力は凄いですよね。地形を変えるって単純に優位になる。 ………
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