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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第四十一章 大猫島の大決戦(だいけっせん)

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第二百三十三話 二の舞を演じる


---三人称視点---



「――喰らえ! 『太刀たち』」


 ラサミスはそう技名コールをしながら、手にした『雪風』で二の字を書くように刀を水平に振るった。 初立ちで眼前の魔族兵の両眼を切り裂き、二の太刀でその喉笛を綺麗に切り裂いた。

 

「――よし、これで十人斬り達成!」


『ラサミス、油断しないで! 前方からまた敵が来たわ!』


 と、ミネルバが耳錠の魔道具(イヤリング・デバイス)を使って、念話テレパシーで危機を告げた。

 

「小僧、調子に乗るなァ!!」


 そう云って眼前の巨漢の魔族兵が鋼鉄製のメイスを力任せに水平に振るう。

 しかしラサミスは左側にサイドステップして、華麗に攻撃を躱す。

 そこから左拳で巨漢の魔族兵の右脇腹を強打。


「がはっ!?」


「ついでにこれも喰らいなぁっ!!」


 ラサミスは反り返るように反転しながら、右足を大きく蹴り上げた。 

 体術スキルの固有ユニークスキル・サマーソルトキックが巨漢の魔族兵の顎に命中。

 

「うぐああああぁぁぁぁ――――」


 今の一撃で顎を割られて、堪らず悲鳴を上げる巨漢の魔族兵。

 そしてラサミスは高速で相手の懐に入り、得意の『徹し』で胸部を強打した。

 その衝撃で巨漢の魔族兵が後方に10メーレル(約10メートル)程、吹っ飛んだ。


『やるじゃん、ラサミス』


『うん、今のは凄かったわよ!』


『うん、うん、とてもカッコ良かった!』


『あ、アタシもそう思う!』


 と、耳錠の魔道具越しにミネルバ、メイリン、エリス、マリベーレの声が聞こえてきた。 だがラサミスはそれで調子に乗る事無く、冷静な声でドラガンとライルに指示を飛ばした。


『団長、兄貴! 今のうちに敵を蹴散らそう!』


『ああ』


 と、声を揃えて応えるドラガンとライル。

 

「うおおお……行くぜえええぇっ!!」


 ラサミスは凄まじい叫び声をあげながら、眼前の敵に対して苛烈な攻撃を仕掛けた。 攻める、守る、進む、後退する、といった一連の動作が繰り返される。 ラサミスが日本刀にぽんとう『雪風』を縦横にふるいながら、次々と敵を切り捨てた。


 弟に負けじとライルも手にした白刃の宝剣で敵と斬撃を繰り返す。

 アイラとミネルバも片手剣と戦槍ハルバードを全力で振った。

 ドラガンが高速回転の突きで敵兵の喉下を串刺しにする。

 すると前線で踏ん張っていた魔王軍の前衛部隊の動きがやや鈍くなり始めた。


 それに加えて、数の上でも連合軍が圧倒的に勝っている。

 そして後方からも、味方部隊が次々とこの大猫島に入ってきた。

 これで勝負は決まった。



 と、誰もが思ったところで異変が起きた。

 闇色に染まった夜空に異変が起きった。 夜空がより一層暗くなり、瞬く間に惣闇色に変貌して、大猫島が巨大なドーム状の大結界で覆われた。



「こ、これはあの時と同じだ!!」


 と、ラサミスは思わず叫んだ。


「ああ……クルレーベの時と同じだな」


 と、ライルが落ち着いた声で同調する。


「だがあの時とは少し状況が違う。 今回はあの時と違い、既に陸戦部隊の大半が上陸した状態だ。だから慌てず、敵を確実に倒していけば、必ず敵の幹部のもとにたどり着ける筈だ」


 山猫騎士団オセロット・ナイツの騎士団長レビンが周囲を鼓舞するように叫んだ。

 すると周囲の味方も次第に落ち着きを取り戻して、手にした武器を構え直した。

 


---------


 一方、上空で敵の飛行部隊と交戦していた竜騎士団の騎士団長レフ・ラヴィンもこの異変にいち早く気が付いた。

 

「……これはあの時と同じだ。 ――アクセル・ドライブ」


 レフは中級風魔法を唱えながら、大猫島を覆う巨大なドーム状の結界に近づいた。

 そしてレフは島を覆う漆黒の結界に近寄り、左手で触れてみた。

 すると左手に鈍い痛みが走り、手が弾かれる。


「……やはりあの時と同じのようだな」


「団長、これってクルレーベの時と同じ状況ですか!?」


 カチュアは青い飛竜を操り、レフに近くなりそう言った。。


「ああ、恐らく敵が港町クルレーベの時のように、この大猫島全体に大結界を張ったようだ。 だがあの時よりは結界の強度が弱い気がする」


「……そうなんですか?」


「ああ、俺の長年の勘がそう言っている」


「……それでどうするつもりですか?」


「そうだな、今回に限ってはそこまで焦る必要はないだろう」


「……何故ですか?」


「既に味方の大半が大猫島に上陸したからな。 こちらの兵数は軽く見て5000以上。 対する敵は精々2000から3000くらいだろう。 ならばこの場は上陸部隊より、海上の艦隊を護るべきだ」


「確かにそうですね。 この状態だと艦隊は海の上を彷徨さまよう形になりますからね」


 レフはカチュアの言葉に「ああ」と頷いた。


「そう、この場合は陸の事は陸戦部隊に任せて、オレ達はこのまま敵の飛行部隊と交戦するぞ。

 なあに、披露がきたら海上の味方艦隊で休ませてもらえばいいのさ」


「……分かりました。 この場は団長の指示に従います」


「ああ、この戦いの勝敗によって、今後の戦局が大きく変わる。 だからどのみち敵味方問わず多くの血が流されるのは明白だ。 その中で俺達の出来る仕事を、任務を全うすればいいのさ」


「了解です、ではアタシもこのまま戦います」


「ああ、カチュア。 死ぬなよ?」


「ええ、団長も共に生き残りましょう」


「……そうだな」


 そう言ってレフは僅かに微笑んだ。

 そして手綱を取って、黄金の飛竜を再び操り敵の飛行部隊に向かって行くのであった。



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