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凶禍の呪術師VS神聖魔術師④

評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

 エーメリッヒの一言で、闘技場の誰もが驚きを隠せずにいた。

 "大英雄レギナ"は――それほどまでに、彼らにとって大きな存在だったのだ。 



「降参してください、エーメリッヒさん。もはや貴方に勝機は万に一つすらない」


 極めて静かに、そう言い放つルミラ。

 その背後には、最強の神魔達を勢揃いさせながらだ。


 切り札の"神の番人(ザフキエル)"は、あっけなくやられてしまった。

 加えて相手の身に纏う魔力は、こちらの比ではないほどに膨大だ。

 さらに、相手には最強の神魔が、それも七体も背後についている。



 もはや、誰の目にも勝敗は明らかだった。

 完全にエーメリッヒには、勝機などなかったのだが――



「ただのエーメリッヒとしてなら……その提案を受け入れていただろうな……」


 対するエーメリッヒはふっと笑みを浮かべた後、感慨深くそう言葉にした。


「――だが私はッ!」


 その瞬間、エーメリッヒは気合いを入れ直して声を上げる。

 「まだ私は戦えるぞ」と言わんばかりに、己に残る全ての魔力を解放する――

 


 そして再度、凄まじい魔力を纏ったエーメリッヒは、ざっと素早く、百戦錬磨の構えをとり――



「ベルスタルージュ帝国の最高宮廷魔術師ッ! エーメリッヒ=ハルンツェルトなのだッ!! よって私が屈するということはすなわちッ!!!」



 ――ダンッ!!!



「帝国の敗北を意味すると言っても、過言ではないのだよッ!!!」



 "幻想展開(ファンタズム)"を己に施して、猛獣のようにルミラへと襲いかかった。


「うおおおおおおおおおおおおッ!!!」


 絶対に勝ち目のない相手に挑んでいるとは思えないほどの、鬼気迫るエーメリッヒの姿はあまりに美しく、逞しく、それでいて気高く、勇ましかった。


「エ……エーメリッヒ様……ッ!」


 そのため、観衆はエーメリッヒの雄姿に感動する。

 やはり――やはり彼は誇り高き最高宮廷魔術師であり、この国の至宝だと、観衆は号泣しながら見守った。


 そして――



 それは対峙するルミラも、決して例外ではなかったのだ。



「本当に、素晴らしい心掛けです」



xxx



「はあああああああああッ!!!」



 ――ドガガガガガガッ!!!


 

 エーメリッヒから無数に繰り出される、ひとつひとつが必殺の一撃。

 一撃でも喰らってしまえば、並の術師相手ならば一溜りもなかっただろう。


 だが――



「な……何だと……ッ!」



 肝心の相手が、絶望的に悪かったのだ。

 

 驚くことにルミラは、エーメリッヒの猛撃を微動だにせず、防御態勢もとらないままだった。


 にもかかわらず、ルミラにダメージは全くなかった。


 それどころかエーメリッヒは、ルミラをぴくりとも動かすことさえできなかったのだ。


 単純に――()()()()()()()()()()()()


「ぐぅ……ッ! もはや……もはや、私では傷一つすら付けられんのか……ッ!」


 エーメリッヒは、悔しそうに言葉にした。


「あのエーメリッヒ様が……全く歯が立たないなんて……」


「あの【呪術師】は本当に……何者なんだ……?」


 あまりの実力差に、観衆は一人残らず呆然としてしまう。


「貴方が――」


 そして――


「貴方がこの国で最高峰の宮廷魔術師であり、負けられないのと同じく――」


 ついに、勝敗は決するのだ。



「俺は"大英雄レギナ"の生まれ変わりとして、この国を守るために負けられないんです」



xxx



 ルミラは言葉と共に"煉獄の凶刃(パーガトリーブレイド)"を解除する。



 ――ザッ!



「――――ッ!!!」


 そこから素早く、低姿勢でエーメリッヒの懐へと潜り込む。


「――はぁッ!?」


「決まりです」


 ――ズパァァァァアンッ!!!


 そして驚くエーメリッヒに顎に向けて、恐るべき速さで右の掌底を叩きこんだ。

 


 その瞬間――ついに、エーメリッヒが首から下げていた"精霊加護のペンダント"は、音を立てて粉々に砕け散ってしまったのだ。



xxx



「なっ……!」


 あまりに素早い決着で、観衆は唖然としてしまう。

 そして、その中の一人の言葉があまりにまずかった。


「じゅっ……【呪術師】如きに、なんて情けない男だ! 最高宮廷魔術師の名折れだ!! そうだろう、皆ッ!?」


 せっかく楽しみにしていた"特別権限"試合が一方的すぎてつまらなかったと、不満の声を上げたのだ。

 そして、周囲の人間は男を諌めようとしたのだが――


 その瞬間の出来事だった。


「――あ?」


 

 男は神魔で最強を誇る、()()の逆鱗に触れてしまったのだ。



xxx



「――ッ!?」


 

 突如ルミラの背後にいたルシファーが、瞬間移動したように男の前に現れる。

 その顔には、激しい怒りの形相を浮かべながらだ。


「なっ……なん……ぐぁ……ッ!」


 そしてルシファーは、右手で男の首を掴み上げる。

 男はなんとか逃れようとするが、ルシファーの力の前にはびくともしなかった。


「では、男の誇りを汚すお前はなんじゃ? 薄汚い、畜生にも劣るドブネズミか? それとも糞に群がり散らす蛆虫か?」


 あまりの怒りに、このまま絶命させてやろうかとも考えていたルシファーだったが――


「ルシファー」


 しかし――主人であるルミラの諌めを受けて、渋々ルシファーは手をはなした。


 ――ドサッ!


「がッ……はぁッ……、はぁッ……!」


「フン……」


 それからばさっと美しい黒翼を開いて、再度ルミラの元へとルシファーは戻った。

 ルシファーが戻るのを確認して、ルミラは近くにいた試験官へと目を向けた。


「試験官さん。勝敗のコールを」


「あ……あぁ、わかった……」


 そして、衝撃的な一連の流れについていけず、上の空だった試験官はようやく我に返ったのだった。

 


「勝者、ルミラ=アルカディア! "特別権限"試合の勝者は、ルミラ=アルカディアだ!!」




 そうして高らかな声と共に、熾烈な戦いはようやく終わりを迎えたのだった。

次回、彼女との感動の再会……ッ!

次回は明日9/11中にアップします!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

【作者の励み】【モチベーションアップ】になりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[一言] ランキングでこの作品を見つけて一気に読んでしまいました 続きが楽しみです
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