宮廷魔術師採用試験①
第二章です!
ここから三人称視点に切り替わります!
――三年後ベルスタルージュ帝国、帝都ドルムント
「さぁさぁ! ベルスタルージュ帝国宮廷魔術師の採用試験会場はこちらだよ! 急がないと、締め切っちゃうよー!」
快活そうな女性の掛け声と共に、さぁっと爽やかな風が周辺の木々を駆け抜ける。
それと同時に、数百人ほどの大規模な受験生達が一斉に受付に急いだ。
今日はベルスタルージュ帝国で年に一度開催される、宮廷魔術師採用試験日だ。
そのため、魔術学院で優秀な成績を修めた者、ギルドに所属して華々しい戦果を上げた者、はたまた腕自慢の者や、貴族出身で独自の修練を受けてきた者など、出自は様々だが多くの人々が集まったのだ。
それもそのはずだった。
宮廷魔術師に採用されれば、相応の富と名声が約束されるからだ。
どんな者にも帝国から禄と住まいが約束されるし、試験の成績に応じて、第七階級位から第九階級位までの、宮廷での官位が約束される。
しかも、受験には一切の制限が設けられておらず、一代にしてのし上がろうとする者にとっても絶好の機会なのだ。
「はいはい! じゃあ名前と出自と、認定されたスキルを教えてね!」
先ほど合図を発した女性はてきぱきと、ぞろぞろと集まった受験生の受付を済ませてゆく。
その作業の見事さは目を見張るものがあった。
「よーし! それじゃ次! 貴方で最後ね?」
そしてあっという間に、最後の受験生の番になったのだ。
「ふふっ! あははっ、貴方……!」
――が。
受付嬢のマイは、最後の受験生の、いかにもな服装で少し吹き出してしまう。
それもそのはずだった。
その受験生は深く全身真っ黒のローブを被り、顔を隠していたからだ。
「まぁ、何事も形からっていうし?」と彼女は自己完結して、気を取り直して受付を進めていった。
「ルミラ=アルカディアです。出自は隣国のロスタリフィーエ帝国です」
「はいはい、おっけーよ! ふふっ、それで? 認定されたスキルは……その姿だと【呪術師】か【闇魔術師】といったところかしら?」
――が。
その後、男からでた言葉にマイは耳を疑い、思わず手を止めてしまうのだ。
「俺のスキルは――【凶禍の呪術師】です」
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「……………………は?」
(なっ……何を言っているの、この子は……? 仰々しい格好だけならまだしも、言うに事欠いて"大英雄レギナ"様と同じ【凶禍の呪術師】……? 困るのよね、スキルを偽る受験生って……。いや、いくらなんでも、スキルの詐称は失格だということ位、知っているはず……。とすると……!)
「あぁ! 今日から【呪術師】ってことね! ごめんごめん、お姉さん聴き間違いしちゃったみたい!」
そこまで考えたマイは、またもや自己完結してしまったのだ。
「いや……違」
「15歳にしては大人びた声の感じだけど! それにしても、スキル認定を受けたばかりで最難関の宮廷魔術師採用試験に挑むだなんて、勇気あるわね貴方! まぁ、試験中は祝福済みの"精霊加護のペンダント"があるから、死ぬことはないから安心しなさい! ささっ、もう試験は始まるわよ、はやくはやくっ!」
そして話も聴かず、最後の受験生を会場まで押し込んでゆくのだが――
まさか彼こそが、伝説の再来――否、圧倒的にそれ以上の存在であることなど、当然に知らなかったのだ。
【追記】
すいません……日付変わって少ししたらアップに遅れます!
楽しみにしていてくださる方々には申し訳ないですが、今しばらくお待ちください!
次回は9/4今夜にアップ予定です!
皆様からの応援お待ちしています!
ここまでお読みいただきありがとうございます!
作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!




