5-22 戦闘後処理
少し休憩を挟み、『ナック』へと帰還する。通路に押し込み無理やり引きずってきた『テンタクル』の表皮を片手に戻った際はそれなりの騒ぎになった。
ナコナコ達がやってきたので簡単に事の顛末を伝える。水中に没した都市跡、見えたドーム状の建物の特徴を告げると少し悲しそうな表情を見せた。
「そこは、きっと『アルカ・キレハ』・・・獣人の首都だった場所だよ」
「故郷か?」
「うん、そうだよ旦那。覚悟はしていたんだけどね・・・」
「そうか」
だが、それはそれとして少し遅れてきたナイトと今後について話し合うこととする。滅びた都市も死んだヒトもそれはすでに過去のものに他ならない、未来は勝手にやってくるが身構えていなければ前より迫る牙に噛み殺される・・・立ち止まる暇もありはしない。
そしてフィアのレーダーが反応せず、宝具が首都には無かった事も分かっている。これはモンスターに襲われた際に宝具をもって住人である獣人が脱出した可能性もある。その気は無かったがこの意見は僅かながらナコナコに対する慰めになったようだ。
話し合いの結果、ドリルワーム及びアーススターの脅威は大いに減じたと判断し『ヒージーエ交易都市』並びに周囲の町村に眠るヒトビトの救出、そしてその倉庫等にある食糧などの輸送を『ナック』を拠点として行うこととなった。結局のところ概ね当初の予定通りだ。
30日程かけてヒトビトの救助、通路の補強、残敵の掃討、倉庫等の扉の破壊などの作業を終わらせる。どうにも退屈な作業ばかりであったが仕方が無い。後は荷物の運搬なり探索なり勝手にナイト達がやってくれるだろう。100人以上の生存者が救出された、この生存者達の世話をしたり組織に組み込んだりする手間は随分とかかりそうだがそれは此方の仕事では無いのだ。
ただ無為に長い時間を待っていたわけではない。この時間を活かし新しい装備の製作を不眠不休で鍛冶師達に作らせていた。
地上においてもただ漫然と時間を喰っていた訳ではないらしい、少々感心する。というのも、生存者や学園に残された資料、クリスタルに埋もれていた当時の植物や鉱物などを活用することによって皮のなめし技術、硬化処理に関して大きく発展が見られたのだ。いや、昔の技術が復旧したと言う方が正しいのかもしれないが。単純なタンニンなめしというよりも薬品を使ったものに近い形となっているようだ。ただし、それらの素材は現在補充が利くものではないらしく随分とこちらの方を気にかけているのが分かる。
原材料である皮、これは『テンタクル』のものを使用した。軽く、耐衝撃性に優れ難燃性。これをさらになめしたりワックスによる硬化処理を行うことにより鈍く光を反射する強固な素材となった。これを利用した手甲、脚甲、兜その他防具の数々により今まで使ってきた我流のなんちゃってなめし革による防具と比べると耐久性も重量も遥かに改善されている。部位によっては何枚も厚く革が重ねられており動きの邪魔にならないようにも考えられて作られている。
破損し使い物にならなくなった牛角さんの頭蓋で作られていた胸当て、これに変わるのが半分に割れた蒼い宝玉を中心に配置した物となる。練習したところ問題無く霧と冷気の魔法も発動した、使いどころは限られてくるだろうが防具だけとして見ても以前よりは強固と成っている。
―――さて、フィアが示す宝具のありかは地底湖よりもさらに下、深淵の先に存在するようだ。防具の新調という理由はあったにしろ随分と退屈な時間を過ごしてしまった。そろそろ、先を目指すとしよう。




