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伝説のシャベル  作者: KY
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5-9 衣食足りて・・・

「確かに信じ難いな、ここが地下深くであるとは。しかし、この状況を見るとそうも言ってられないな。それで、貴方は今から私のようなヒトビトを助けて周るのだろう?」


「そこが問題だ」


「いったい何が問題なのだ?こうしている間にも新たな犠牲者が・・・」


「多すぎる。いや、助けるのは余裕だがその後がな」


 かなりの人数がこの交易都市には生き残っている、それはいい、それはいいのだが助けたところでその後の衣食住をどうするのかが問題となる。とりあえず衣と住は兎に角、食がなければ生きていけない。いくら『ナック』や地上で食糧を生産しているとはいえこれだけの人数を無計画に増やして共倒れになったら元も子もない。最悪、間引くことにもなるだろう。それもまた面倒だ。


 さらに、見回った際に食料庫等はすでにアーススターに蹂躙されていたことが判った。『ハロイド』に残った倉庫から今も運び出されているであろう食糧がどれだけあるかも不明だった。


「ではこのまま見殺しにするというのか!?」


「一応はこの都市のモンスターは駆除するが後は知らん、無い袖は振れん。それだけだ」


 だが、しかしと言っていた女エルフもぐぬぬと唸って苦虫を噛み潰したような顔をしている。人数に関して受け入れられるか否かはクイーンの判断によるだろう、その辺りはシビアで情に流された判断をしないだろう。


 頭の上にフィアが戻ってくる。


「もういいのか?」


「ンー、そんなに話すことも無いからネー」


「そうか」


 都市内のアーススターを駆除していく、多少の地面にもぐって逃げた奴等もいたが大地は終わった。その死体は後で燻製にでもしたいところだ、このセカイのヒトもモンスターを喰えれば大分食糧事情もマシになるだろうが・・・そうは言っても始まらない。モンスターの肉を大量に食べても、常に土木作業をしているためか筋肉はついていくが太ることは無い。良く喰らい、良く働く、これが健康の秘訣だろうか?基本では有る。


 助けた女エルフと赤妖精をつれて侵入地点にまで戻る。キグルミが気づいて大げさな動作で手を振ってくる。


「あれは・・何なんだ?」

「ボクに言われても・・・」


「ドワーフだ、少々大きいが」


「わ、私の知っているドワーフと少し違うな。いや、今ではこれが常識なのか?」





「戻った」


「ああ、おかえり旦那・・・妖精様っ!?あの、こちらの方々は?」


「拾った」


「そんな物みたいに言うことも無かろうに・・・私はミレイ、旅のエルフだ。こちらは契約している妖精のルヴィだ」

「よろしく!」


「ガラット学園都市で教職をしていたナコナコという者だ、こちらこそよろしく頼むよ」


「あの学園都市で!?色々ご教授願いたいものだ」


「・・・そんなに凄いのか?」


「当たり前だろう?かなりの狭き門で特に優秀な人材でなければ採用されないと聞いている」


「ははっ、そう言われると照れるね・・・ま、今はあまり役に立たないけどね」


「いや、多少は役に立っているぞ」


 大まかであれ、周辺の地理がわかるというのは助かるものだ。しかもこの3次元的にねじれた地下空間でも情報があれば大体の予測地点を割り出せるのは賞賛に値する。


「にゃっ!?だ、旦那に褒められるなんて思いもしなかったよ」


 失礼な事だ、ただ自分は正直に役に立つものを褒め、敵対したり足を引っ張ったりするものを唾棄するだけに過ぎない。こんな『セ』カイで世辞など、笑わせてくれる。モンスターならば話しているうちに襲い掛かってくるだろう。


 現状をキグルミとナコナコにも伝え、一度クイーンの回答を得ることを提案した。それ自体には反対は無かったようだが、ナコナコは幾つかの地点を指差す。それらは交易都市周辺にあるそこそこの規模のマチやムラを割り出した方向らしい。輸送の中継地点や食糧の集積地になっていた所が多少はあるそうだ、ヒューマンの領域では農作業が盛んで食料品も多く別の種族の地に運んでいたらしいので、未だ強固なクリスタルに覆われていればまとまった規模の食糧が手に入るかもしれない。


 二手に分かれることにする。キグルミとナコナコはミルキーフォグ手前で連絡員や運搬係の接触を待ち事情を伝える為に道を戻っていく。女エルフは付いてきたいとの事だったので身の安全は保障しかねることに同意してもらい、あとは自由にさせた。穴を掘る様子や周囲の状況を興味深そうに観察していた。確かに、最初は珍しかったが皆すぐに慣れることになる。




 幾つかのムラやマチは食糧もヒトも食い荒らされていたが、それでもナコナコの読み通り無事なヒトや食料庫を発見することが出来た。それでも安易にヒトビトを助けることは出来ない、発見された量とこれからの食糧生産の計画が関わって来るだろう。


 ただ、クリスタルを掘っていて気がついた奇妙な事柄がある。おそらく、ドリルワームが掘った穴なのではあろうがナコナコが示した方向いがいにもトンネルが伸びている箇所があった。しかもそれは一本ではなく複数存在している。今からは一度ナックまで引き返し十分な休息と睡眠をとろうと考えているが、近いうちに調査する必要があるだろう。


  

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