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伝説のシャベル  作者: KY
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第五章 地底樹海編 5-1 シルキーヴェール


 掘る、ひたすら掘る。『ナック』からしばらくは特筆すべき事項があまりなかった。あえて言うとすれば、この地底を貫かんとする大きな滝の流れが『ナック』からしばらく進んだところでそれなりの本数に分岐しており滝に沿って不透明だが軟弱なクリスタルの層を掘り進めて行くのに困難を要したことだった。下手に掘り抜いて足を滑らせ滝の流れに飲まれたとしたら、それは随分と簡単に素早く地底の底まで連れて行ってくれることだろう―――チケットは自分の命となるが。溺死、圧死、墜落死、どの終わり方をするかは分からないがその終わり方は許せない。


 よって今は掘り難くとも強固で透明なクリスタルの層を進んでいく。側面から見れば水の流れ、その周囲の劣化したクリスタルは植物の根のようにも見える。複雑に絡み合い、それでいて美しかった。身体能力は膨大な数のゴブリンの命を代償に以前よりもさらに向上しているため進行スピードはそこまで落ちることは無かった。現在は進路をフィアの額の宝具が示す方向に取って進んでいる。後ろから続く後続集団、ムラやマチと遭遇しない最近は必要性について考えることも多いが、やつらの食い扶持は上から運ばれてきているため特には気にしていない。いや、しかし―――



「あばばばばばば・・・」

「ひゃあっ!旦那、そこもうちょっと優しく・・・」


 今は小休止中。右手でフィアを握りつつ左手でナコナコの頭部を弄る。娯楽といえるものは存在しなかったが最近はこれが習慣づいてしまっていた。微妙な顔でロッカーやら元王女やら兵士やらが見てくるが止める気は無い。本気で抵抗するのであれば、まあ考えるがどんな気の変化かは知らないが嫌がる素振りは形だけだった。


 かつての事を、思い出す。そういえばマッサージが上手だと言われたこともあったし、犬や猫を撫で回す事もあった。犬の場合は撫でるのを止めると吠え出すので毛の絨毯が出来かねないほどずっと撫でていたこともあったか。思い返したくは無いかつての自分ではあるが、その全てが悲惨なものであったわけではない。とは言っても、最終的な結末があんなものであれば総合的に見て底辺の人生だったのだろう。


 パーンッ!


 弾ける様な、何かを叩いた音。その方向を見ればキグルミが両手で自分の頬を叩いていた。ニヤリとした笑みを浮かべながら。


 パーンッ!パーンッ!


 表情を変えずに自身の大きな顔を叩くキグルミ、実に不気味だ。が、その意図は分かる。しかし、だからといって相手の望むままに動くのも癪だ。いや、それ自体はいいのであるがまず優先すべきは自分の欲求でありエゴであるべきだ。パンパンという音を無視しながらも右手と左手の感触を堪能、満足したところでぐったりとしたフィアを頭の上に、息の荒いナコナコを開放した。


 そこでようやく頬を赤くしたキグルミを手招きで呼ぶ。奇妙にコミカルな動きでにじり寄ってくるキグルミ、顔が近い。すこし距離をとり、こちらと比べても大きな顔であるキグルミの頬に両手を沿え挟み揉み上げる。


 モッチリとしていてそれでいてスベスベ、弾力と重量がある。この感触もまた、極上のものだ。プニプニ、モフモフとは異なるモノで表現するとしたらモチモチだろうか。どうにもキグルミは奇特にもこう触られるのが好きらしく他の二人を弄っていると寄ってくるのだった。幼児の体をそのまま大きくしたようなキグルミは四肢や腹部もこれまた柔らかいのであるが、頬の柔らかさは異常であった・・・ちなみに、自分自身の体はもはや腹筋は8つに割れ、四肢の筋肉は盛り上がっている。いや、筋肉自体は力を入れなければ存外に柔らかくはあるのだが、自分自身の体を弄っても面白くは無い。


 しばらく揉み上げていると満足したように口角を吊り上げたので手を離す。最近の休憩時間によくある光景である。ちなみに、ロッカーは一定距離に近づいてくることは無く、元王女は何に興味を持ったのかは分からないが意を決した様子で近づいてきたので少し触ってみたのであるが、どうにも並程度の触り心地であったためそれ以降は触ってはいない。好き好んで寄ってくるのは一人仲間はずれにになりたくないという集団意識が働いたためなのか、だとすればそれは下らない事だ。




 10日程掘り進んでいると、どうにも周囲の透明度が下がりクリスタル自体も脆くなってきたような気がした。それは少し上まで戻って確認したところ確信に変わった。いや、それ以上のことが判明する。


 ここから先、というか下。見渡す限りの透明度の低いクリスタルが見渡す限りに広がっている。ただ無心に掘っているときは極めて緩やかなグラデーションのようであり気がつかなかったのだ。ただ、島があるにしてはその領域は扁平すぎるし広すぎる。周囲の様子が見えない領域、注意深く進んでいく必要があるだろう。光を乱反射し白く見える劣化したクリスタルの広大な領域、ミルキーフォグと名付けた。




登場人物のキグルミは例えればペ○ちゃん人形とか、ミク○゛ヨーみたいな感じです。

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