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異世界編 3-25

 

「さて。食事も終わったわけだが……どうしたい?」


カザーネラは俺達にそう問いかけた。

食事中に色々と話をしてわかったこと。この幼j


「剣の。次は呪うぞ」


……何で考えていることがわかるのかは知らないが、とりあえずごめんなさい。

あと、お前達は『いい加減学べよ』という視線を突き刺してこないでくれ。痛いから。


「あ~……もう一度確認していいか?」

「確認することは大切な事だ。構わないぞ」


優しいのか優しくないのかよくわからない。


「とりあえず……初めから神と手を組んだ壮大なヤラセで、ここまで俺達が来るまでに人間を含む生物達がどんな風に物を考え、どのような成長をするのかを見る実験だった?」

「その通りだな。だから向かってきたもの以外は殺していないぞ? 拐って石化してはいるが」

「石……そんな馬鹿なことできるものなの? 今まで拐われた者達の総数は千万を優に越えているはずよ」

「もう少し詳しく言うと、七百億程度が地下室で石化されている。暴れたものは多少部位が欠損していることもあるが、まあその程度だ」

「……化物め」

「よく言われたよ」


カザーネラは特に表情を変えることもなく言ったが、ウィフトは明らかに苦々しい表情をしている。


「それで、戦う気は無いんだよな?」

「ああ。初めからこの場所に誰かが来れたらそこで終わりにする予定だったのでな。予想以上に時間がかかってしまったが……そこでだ。何が欲しい?」

「何って……不老不死以外にあるのか?」


ここでした問いに、カザーネラはため息をついた。


「……私は、私に勝った者が現れたら、私がやってもいいと思った範囲の物を一つだけくれてやる、と言ったんだ。不老もできるし不死もできるが、不老不死は二つだから不可だ」


……まあ、不老不死なんて欲しくはなかったから別にいいけどよ。


「いらないならいらないで構わないが……どうする?」

「もう二度と世界に喧嘩を売ったりしないでくれ」

「この世界に、ということならば、承った」


…………こうして、俺達英雄の長い戦いの日々は終わった。これからは…………どうやって生きていこうか?


「……そう言えば、戦いばっかりで日常の仕事なんてほとんどできないわね」

「畑のこともわからないし……わかるのは戦いのことばかり」

「こんなんじゃあなにもできやしないな!困った困った」

「あーあ。俺は知らないぞーっと」

「…………とりあえず、一から学ぶか傭兵団でも作るか……そのくらいしかできませんねぇ……」


…………困るなぁ……。






フルカネルリだ。これからどうやって暮らしていこうかと悩んでいる英雄達に、ちょっとした仕事の話を持ち込んだ。


その内容は、昔々に拐った竜神王の娘(成長はちゃんとしている。クローン用の様々な細胞はすでに取ってある)を竜神王に返してやってくれという依頼だ。


それが終われば次はここ最近に拐った者達の返却も頼んだ。

……殺していないのかと言われれば、当然だと答えよう。

なぜなら、個人個人の世界を覗くのはなかなか楽しいし、時に素晴らしい拾い物になることもあるからな。研究体的な意味で。


……さて、この世界の終焉はどのような形になるのだろうか。前の世界では覗けなかった分、しっかり観測しよう。


時間はたっぷりあるわけだし、やれることもいくらでもある。できるうちにやれるだけのことをやらねばな。


《頑張ってネー》

『……今回はぁ……失敗しないように………ねぇ……?』


そうだな。気を付けるとしよう。次があると確定しているわけではないのだし。




英雄達を使って事後処理を終わらせ、結界を閉じて光の玉を回収。さらにダンジョンも閉鎖して自作の魔物を産み出す機構を停止する。

……いつかまた使う日が来る可能性が無くもないので、また空間ごと削り取って結界で包んで小さくしてポケットに入れる。結界は便利だな。


そしてあとは隠居と称して研究三昧の日々だ。外に知りたいことがあれば出掛け、それが終われば戻る。


実に私好みの生活だ。二代目魔王の育成も進んでいるし、後のことは周りに任せてしまおう。


約束? 確かに『私は』手を引いたぞ?


《詭弁だネー》


そうだな。詭弁だな。


ちなみに、二代目魔王はあまり外に興味を持っていない。征服しようとすることは無いだろう。


………友好な関係を結ぼうとすることもないだろうが。


さて、それではそろそろ実験に入ろうか。実験の内容は、【世界のドッペルゲンガーは作れるのか】。


《どんどんどんどん、パフー♪》

『……ピ~ヒョロロロ~………♪』


ご苦労。

なお、人間のドッペルゲンガーは製作可能で、本人に認識させなければ接触ギリギリまで近付いてもなにも起きないという実験結果を得ている。これが世界という巨大な生命になればどう変わるのか………実に楽しみだ。

崩壊するのか、合体するのか、統合するのか、消滅するのか、お互いに拒絶しあうのか…………。


……くくくく……どうなることやら?





  実験大好きフルカネルリ。





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