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フルカネルリだ。５月と言えばゴールデンウィーク、と白兎は言っていたが、ゴールデンウィークだろうがなんだろうが私の休みの日にやることは一切変わらないということに気が付いた。さて、研究だ。

《若いもんがやることじゃないよネー》

今日の研究はナイアの体について調べようか。さあナイア、そこの台の上に寝てくれ。

《怖いこと言わないでヨー！やだヨー！？》

そうか。かなり本気で残念だ。

ナイアが嫌がったので、仕方無く先送りにしていたナイアの涙(律儀にもフラスコに入れてとってあった)の解析することにした。

……そうだな。ゲームのアイテム風に記録しておこうか。

【ナイアルラトホテプの涙】

道具。所有しているとその涙に込められた悲哀の念により、病にかかりやすくなる。ただしこれはナイアルラトホテプに加護を受けていれば無効化される。

等量の水と混ぜれば大幅なステータスアップが見込める薬が出来る。

道具として使用すると不死の呪いを受ける。ただし、不死であるだけなので老いもするし飢えも乾きもする。たとえ体が細胞の欠片になろうが灰になろうが生き続ける。

それと同時に猛毒状態になり、毎秒残りHPの七割のダメージを受ける。

更に全身が麻痺して動けなくなり、ゾナハ病に似た症状を見せる。治療法は一度体を粉砕されること。

【邪神の妙薬(地)】

ナイアルラトホテプの涙と水を混ぜて作られた薬。使うと大幅なステータスアップが見込めるが、使用前の精神力が800000以上なければ発狂する。また、使用前のHPと素の防御の数値が合計1800000以上無ければ副作用で全身が焼け爛れ腐り落ちて蒸発する。

ちなみに、世界にもよるが基本的にレベル100の人間の精神力は高くても800程度。HPもその程度。防御は素だと300ほど。人間が使用するのはおすすめできない。

《おすすめできないってレベルの話じゃないんだけどネー》

『……瑠璃ならぁ………平気そうな気がするわぁ……？』

いや、流石にこれは無理だな。精神力の数値がいくつあるかは知らないし、同時にHPと素の防御がどの程度あるかも知らない。

それでも、これはまずいな。飲んだら確実に私の呪いをすり抜ける。

《すり抜けるけど大丈夫だヨー。ボクの加護と共鳴して負の効果が消し飛ぶシー、第一フルカネルリのステータスなら大丈夫サー》

……おすすめできないってレベルの話じゃないと言っていなかったか？

《人間にはネー。フルカネルリはもうそろそろ神になれるヨー。どうすルー？　なってみルー？》

やめておこう。私は人間のまま限界に挑んで見せよう。そして人間の限界を悟ったならば、その時にでもなってみるさ。

フルカネルリにお願いされて、そのために泣かせたりする必要はないけどチャンスがあったら他の邪神達の涙をとってきてほしいと言われた。

暇だし早々ないことだし気楽にOKしたんだけど………なんでこんなときに限ってアブホースが飲み屋で泣きながら愚痴ってるかナー。

なんでこういうときに限ってクトゥグアとクトちゃんがフランダースの犬を見て泣いてるかナー。

なんでこういうときに限ってハスターが間違えて邪神用催涙ガスをぶちまけてるかナー。

なんでこういうときに限ってクトゥルフが指先を針で刺して泣いてるかナー。

……まあ、フルカネルリの運は豪運だシー。ある意味じゃあ当たり前なのかもネー。

そして集めてきたそれを使って、フルカネルリは同じように薬を作った。

効果はほとんど同じのその薬。一本だけは回復薬(回復しすぎてHPの最大値と現在値の差が500000以上無ければ確実に死ぬ。ちなみに500000あっても死ぬときは死ぬ。確実に生き残りたいなら10000000は欲しいところ)だけドー、結局普通の人間には使えないって事はわかった。

……フルカネルリは本当に人間なのかナー？　下級の神であっても、あれを持ってるだけで精神を削られて発狂したっておかしくないんだけドー……。

……まあ、フルカネルリだったらある意味当然かナー。よくよく考えてみれば元々発狂してるに等しい思考回路をしてるわけだしネー。

発狂したモノを更に発狂させることはできない。もしできたとしたら、それは元々は発狂していなかったというだけの話。

まあ、発狂してようがしてなかろうが、フルカネルリはフルカネルリな訳だシー……特に何かが変わるってこともないしネー。

　　研究大好きフルカネルリさん。