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五十万アクセス記念外伝

 


これは昔々の話。まだまだナイアが幼くて、物事をあんまり深く考えなかった頃の話。






「クトゥグア。とりあえず死ね」

「いきなりなんだこのやうぉっあぶねっ!?」


ちょっとクトゥグアを二十回くらい殺そうと殴ったのだけれど、かわされてしまった。ちっ。


「お前に何があったんだ!?」

「ん? 昨日の夢にクトゥグアが原因の悪夢を見た。八つ当たりだと理解しているけれど辞められない止まらない。だからおとなしくボクに殺されろ」

「んな理不尽な!?」


ちょっと頭をかち割ってやろうとしただけなのに、見事にかわされてしまった。ちっ。


「だ、駄目だよナイアくん!」


そう言いながらボクの前に出てきたのは、水色の髪と瞳を持った女。


「……なんだ、クトゥルフか」

「なんだじゃないよナイアくん!クトゥグアくんをいきなり殺そうとしちゃ駄目だってば!」


そう言いながら涙目になっているクトゥルフ。こいつは力はボクやクトゥグアとタメをはれるくらい強いくせに、妙に弱気で真面目なやつだ。

ちなみにアブホースとは違う真面目で、正義感ではなくただひたすらに純粋なだけだ。

そのせいかとても子供っぽく、よく甘いものでつられる姿を見かける。


「今回の事を見ていないことにしてくれるなら、ミ=ゴーのパフェを奢ってやろう」

「ミ=ゴーのパフェ!?」


……ほら、つれた。


「そうそう、予約を入れてもなかなか出てこないことで有名な、ある意味伝説のパフェを奢ってあげる」


何しろあれは、店長の気分次第で出るかでないかが決まるので、予約すら受け付け手もらえないときもあれば予約をしても出てこないとき、相当運がよければなにもしていないのにサービスで出てくるときもある。そんなある意味伝説のパフェなのだから、甘味好きには堪らないだろう。

因みに、その店長はおかーさんの弟子であるとか。


……かーさんは一体何をしてたんだろうネー?


「……う……うぅ………餡蜜もつけてくれる?」

「そのくらいだったら良いヨー」


買収成功。これよりクトゥグアの殲滅戦に入る。


「……でも、なんでナイアくんはそんなに怒ってるの?」


ぎしっ、とボクの体が固まった。




――思い出すのは昨日の夢。ボクが当然のように主婦をしていて、エプロンなんかつけて楽しそうに料理をしている。


――足元に何かを感じ、視線を落とすとそこには二人の子供。どこかクトちゃんととボクに似ている。


――誰かが来た。クトゥグアだった。ボクは笑顔でクトゥグアを迎えている。クトゥグアも、とても嬉しそうだ。


――食事をして、子供たちを寝かせてから布団にはいる。するとボクの隣にはクトゥグアがいて、ボクに顔を近付けて来る。


――ボクも、満更でもなさそうに近付けていって――――




「……うん、やっぱり殺そう。そして海に沈めよう」

「水嫌いのクトゥグアくんに何てひどい拷問を!?」


クトゥルフが何か言っているけれど、全く何も聞こえない。理解できない理解しない理解なんてしたくない。とりあえずクトゥグアはぶっ殺そう。




ジャシニカ日記帳。なまえ、ないあるらとほてぷ



きょうは、たくさんたくさんくとぅぐあのばかをころしました。

なんとあのばかは、あろうことかぼくのゆめをあくむにかえてしまったからです。

そのないようをくとねりしかさんにいったら、にがわらいをしてしかたないとゆるしてくれました。くとねりしかさんがだいすきなみ=ごーのぷりんをおみやげにもっていったのがきいたのかもしれません。

くとちゃんには、くとぅぐあのことをくとぅぐあさんとよぶようにおねがいしたら、けっこうかんたんにおねがいをきいてくれてよかったとおもいます。おれいにかすたーどぷりんをあげました。

それと、あぶほーすに、これからくとぅぐあがせいしんてきにおいつめられるから、そのときにやさしいことばをかけてやればかんたんにおちるかもよー? といっておいたらかおをまっかにしていました。

そしてそれをかんがえ、じぶんのよくぼうとたたかっているようでした。そのすがたは、みていてとってもおもしろかったです。いつもこうやってからかえればいいのに。

まあ、それもそれで面白そうだけドー、今のままってのが一番かナー?


そんなことを日記に書きながら、ボクは日に日に憔悴していくだろうクトゥグアのことを思い浮かべて笑った。



  ナイア、八つ当たりぎみにぶちきれる。




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