異世界編 2-1
お待たせしました。……待っててくれた人なんているのかな? 真暇です。
帰ってきました。そしてようやく落ち着いたので投稿再開しようと思います。
…………ただし、ブランクのせいか指が動いてくれないので、ゆっくりですが。
フルカネルリだ。この世界に来て始めに目に入ったのは―――
「海だな」
《海だネー》
『……海、ねぇ……』
そう、海だった。ちなみに見える方向は下。
《……落ちてるネー》
まあ、何とかするさ。
久々に着た白衣のポケットから半重力発生装置を取り出し、電源を入れる。
ふわりと加速が止み、空気抵抗で徐々に速度が落ちて行く。
それに合わせて霊気と妖気の混合術式を組み、海面に叩きつけられる少し前に停止するように飛行する。
……ところで、この世界に来たときから私に悪意と呪いをぶつけてきているのは何だ?
《……ンー、この世界の神、かナー?》
『……フフフ……いい度胸よねぇ……?』
そうか。
呪いを弾きながらこの世界の神の元へと進む。この世界とは僅かに異なる場所に居るようだが、この程度ならば私でも同じことが出来る。
まして、すでに一度以上開かれている世界に足を踏み入れるなど、研究の片手間で十分だ。
……流石に、ナイアのように遠い遠い異世界に行けと言われると困るが、今回は異界と言うか、多少の世界間移動だ。できないはずもない。
ちなみにどの程度違うかと言われれば、ナイアの真似をするのを日本から歩きと遠泳でアメリカまで移動する程度だとすると、今やっているものは二条通りから三条道りへ歩いて移動する程度のものだ。
《ずいぶん差があるネー》
そうだな。
途中で小さな小さな存在が私にぶつかってきたが、軽く霊気を含ませた声で命じてやっただけで動きを止めた。
……ところで、こうする前から私を襲おうとする小さな者の気配は決まっていたようだが、どうしたのだろうな?
《大地と炎に関連しない精霊だけが襲ってきてるんだヨー。ボクとクトちゃん達の加護は結構強いからネー》
……つまり、創造主よりも強い神からの加護があるから私を襲わない訳だな?
《そうなるネー》
そうか。
《……ちなみにアザギは世界の構成に関係無い邪魔な奴をみんな一手に引き受けてくれてるヨー》
そうなのか? ならば、後で労ってやらねばな。
……だが、今は私の邪魔をするモノを、なんとかするのが先だ。それに、私が考えていた人工神を認めさせるには丁度良い。
……待っていろよ? まだ見ぬこの世界の神よ。
《……黒いナー。ボクもだけドー》
邪魔者を振り払い、障害物を撃ち砕き、私はこの世界の創造神の前に立っている。
それはナイアと違い、形を取るのに相手の思う神の姿しかとれないという三流神だった。
私がただの人間だった頃ならば畏怖していただろう気配を持っているが、今の私には親の胎内から出てきたばかりの鶏程度の圧迫感しか感じない。
《……親の胎内から出てきたばかりの鶏ってサー……卵だよネー?》
その通りだが?
《…………卵に圧迫感なんテー……感じるノー?》
いや全く。
《……あっソー》
うむ。つまりはその程度と言うことだ。
目の前の形の定まらない神に目をやる。
「それで、弁明は?」
やれやれ。無駄にプライドだけが高すぎるモノの相手をするのは疲れるな。
まあ、中々手に入らない神のサンプルが手に入ったのだ。少し位は多目に見よう。
さあ、研究だ。それが終わったら神の信仰と力を別の存在に受け継がせるための術式を組もう。無論、実験台は用意した。
《……ひどいネー》
『……それでこそ、瑠璃よぉ……♪』
そうだな。
トリップ早々その世界の神に喧嘩を売られ、買った上に勝っちゃったという話。




