表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アビス・グランブルー 〜クラン追放された最底辺ダイヴァー、わたしはやめたくなかった〜  作者: ロートシルト@アビス・グランブルー、第四章も毎日20時更新!
第4章 居場所

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/90

第79話 銀鉱マリモ

 調査対象マリモの周囲に、私たちは陣取った。


 巨大な球体は、根を張るように鎮座していて、

 表面には岩と藻と鉱物が複雑に絡み合っている。


 その内部から、確かに感じる。


 ――鉱脈の気配。


「よし」


 グレイスさんが、周囲を見渡す。


「私は索敵を続ける。三人は採掘を」


「了解!」


 ホープが元気よく返事をして、

 ニーナさんと私も、それぞれ工具を構える。


(……銀鉱石……)


 意識を集中し、鉱物の流れを探る。


 ほどなくして。


「……あ、あった……」


 銀色に鈍く光る鉱石。


 ――銀鉱石。


 思ったよりも、浅い部分に点在している。


「見つかったよ!」


 ニーナさんの声。


「こっちにもある!」


 ホープも続く。


 作業は、順調──


 ……の、はずだった。


* * *


「……来る!」


 グレイスさんの声が、鋭く響く。


 次の瞬間、岩陰から影が飛び出した。


「オーガ・カサゴ!」


「数は少ない、対処する!」


 採掘を中断し、迎撃。


 すぐに片付ける。


 ……だが。


 間を置かず、別方向から。


「シェード・フィッシュ!」


 また、戦闘。


 採掘再開。


 ……数分後。


「サージ・オッター、中型!」


 再び、中断。


 ――そんな繰り返し。


(……多い……)


 海魔の数も、

 現れる頻度も。


 明らかに、落ち着いて作業できる環境じゃない。


 銀鉱石は、確実に増えていく。


 でも、集中が続かない。


「……これは……」


 ふと、思う。


「……一人だと、来れないね……」


(来ること自体は、出来なくはないと思うけれど……)


 アストラルの声が、静かに返す。


(さすがにこの深さだと海魔の出現が多いわ。一人では危険だし、オススメしないわね)


「……ですよね……」


 納得しかない。


 索敵、迎撃、採掘。


 全部を一人でやるのは、

 流石に無理がある。


* * *


 それでも。


「……魔力は……」


 内側を確認する。


 思ったよりも、余裕がある。


「……減ってはいるけど……大丈夫……」


(ミラージュ・コアと、これまでの訓練の効果ね)


 アストラルが、はっきり言った。


(間違いなく、努力の成果よ)


 胸の奥が、少しだけ温かくなる。


「……えへへ……」


 嬉しさを噛みしめながら、

 私は、再び採掘に戻った。


* * *


 その後も、断続的な戦闘は続いたけれど。


 時間をかけて、

 銀鉱石は一行のカバンを満たした。


 十分すぎる成果。


 ……ただ。


「……白銀鉱……」


 どこにも、見当たらなかった。


 マリモの表層。

 少し深い層。


 それでも。


 “白銀”の輝きは、現れない。


「……今日は、ここまでかな」


 グレイスさんが、そう告げる。


「これ以上は、深度と滞在時間が危険」


「……はい……」


 分かっている。


 分かっているけど。


* * *


 帰路につく。


 ゆっくりと、上昇。


 ……なのに。


 私は、何度も。


 何度も。


 振り返ってしまう。


 調査対象マリモ。


 静かに、そこに在り続ける巨大な球体。


(……次は……)


(……必ず……)


 胸の奥で、

 小さな決意が芽生える。


 この場所は、

 一人で来る場所じゃない。


 でも──


 いつか、必ず。


 白銀鉱を、見つけるために。


 アクア・ヘイヴンへ向かう水路の中で、

 私は、名残惜しそうに最後の一瞥を送った。



──続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ