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アビス・グランブルー 〜クラン追放された最底辺ダイヴァー、わたしはやめたくなかった〜  作者: ロートシルト@アビス・グランブルー、第四章も毎日20時更新!
第4章 居場所

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第68話 精算とお祝い

 カウンターに荷物を広げると、

 ブレイカー副長は一つ一つ、手慣れた動きで確認していった。


「まずは鉱石だな」


 採取カバンから出された鉱石は、

 淡く銀を帯び、ずっしりとした存在感がある。


「……ずいぶん採ってきたな」

「助かる。最近この辺、需要が高くてな」


 ナナミは、少しだけ胸を張った。


「鉱石の依頼報酬は──」

「金貨2枚、銀貨5枚だ」


 カウンターに、硬貨が置かれる。


 ちゃり、と心地よい音。


「わあ……!ありがとうございます……」


「次は海晶核だ」


 ブレイカーは、光を帯びた核を手に取る。


「光海帯ランクDが、10個」

「1つ、銀貨2枚と銅貨5枚──」


 素早く計算して、頷く。


「合わせて、金貨2枚と銀貨5枚だな」


「……はい……」


 そして、少し色の濃い核を示す。


「サージ・オッターか。光海帯ランクBが、1つ」

「これは……銀貨4枚だ」


 並べられていく硬貨。

 ナナミの視線は、自然とそこに吸い寄せられる。


 最も色が濃い核をブレイカーは持つ。


「スケイル・フィッシュのだな。光海帯ランクAが1つ」

「これは……銀貨6枚だ」


 最後に、ブレイカーは網の方を見た。


「で──スケイル・フィッシュだが」

「死骸ごと、ギルドで買取できる」

「それでいいか?」


「……あ、あの……」


 ナナミは、少しだけ緊張しながら言った。


「その……防具の補強に使いたくて……」

「鱗を、いくつか……分けてもらうことは……できますか……?」


 ブレイカーは一瞬、ナナミを見て──

 すぐに、豪快に笑った。


「ははっ、いい判断だ。当然できるぞ!」

「解体と手数料は貰うがな」


 網に包まれた巨体を見ながら、顎に手を当てる。


「……そうだな」

「この大きさなら鱗は半分くらいあれば、十分だろう」


「……半分……!」


「残りの鱗、骨、肉はギルド買取でいいか?」


「……はい……!」

「お願いします……!」


「よし、決まりだ」

「スケイル・フィッシュの素材と買取金額は、明日以降の支払いになる」

「それ以外は、今日中に渡そう」


 そう言って、副長は硬貨をまとめた。


「今回の即日分──」

「合計、金貨4枚と銀貨20枚だ」


 ずしり、と重みのある袋。


 ナナミは、思わず息を呑んだ。


「……それからだ、ナナミ」


 ブレイカーは、にやりと笑う。


「初のブロンズ級依頼で、深度165クリア」

「もう立派な、一人前のダイヴァーだな」


「……っ」


「よく頑張った」


 その一言が、胸に深く染みた。


「……はい……!」

「ありがとうございます……!」


 思わず、声が弾む。


(やったわね、ナナミ)


 アストラルの声も、どこか誇らしげだった。


* * *


 夜。


 海辺の子ブタ亭に戻ると、

 扉の向こうから、温かな匂いが流れてくる。


「ナナミちゃん、夕食できてるよ」


 女主人ダイアンの明るい声。


 店内では、

 スコットが無言でテーブルに皿を並べていた。


 焼きたてのパン。

 表面は香ばしく、割れば湯気が立つ。


 瑞々しい海藻サラダ。

 潮の香りと、爽やかな酸味。


 皮目がこんがり焼かれた魚。

 脂がじゅっと光っている。


 そして──

 野菜がたっぷり入った、温かいスープ。

 根菜の甘さが、湯気と一緒に立ち上る。


「……わぁ……」


 自然と、顔が緩む。


 ナナミは、一口一口を大事に食べた。


 パンはふんわり。

 魚は香ばしく、身がほろりと崩れる。

 スープは、体の奥まで染み渡る。


「……スコットさんの料理、今日もとてもおいしい……」


(ふふ、今日は特別おいしく感じるわね)


 アストラルが、やさしく言う。


 食べ終わり、ほっと息をついた──その時。


 スコットが、もう一皿を持ってきた。


 白い皿の上には、

 ナナミの大好きなケーキ。


「……え……?」


 スコットは短く言う。


「ブロンズ級、なったんだな」

「おめでとう」

「祝いだ。食べろ」


 それだけ言って、厨房へ戻っていった。


「……っ」


 胸が、きゅっとなる。


「……ありがとうございます……!」


 ケーキは甘くて、

 どこか懐かしい味がした。


(良かったわね、ナナミ)


 アストラルの声は、心から穏やかだった。


(頑張った分、ちゃんと返ってきてる)


 ナナミは、小さく頷いた。


 今日一日を思い返しながら──

 ゆっくりと、幸せを噛みしめる。


 この街で、

 この場所で、

 ダイヴァーとして生きていける。


 そう、はっきり感じられる夜だった。


──続く。


 【ナナミのお財布】

金貨28枚

銀貨43枚

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ハイファンタジー
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