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アビス・グランブルー 〜クラン追放された最底辺ダイヴァー、わたしはやめたくなかった〜  作者: ロートシルト@アビス・グランブルー、第四章も毎日20時更新!
第4章 居場所

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第67話 ホープさん

 ホープは、改めてナナミの足元を見た。


 ぱんぱんに膨れた採取カバン。

 網に包まれたスケイル・フィッシュの巨体。


「……いや、ちょっと待って

 今日、何したの?」


 素で引いている声だった。


「え、えっと……依頼で、潜って……採取と、討伐を……」


「討伐“も”!?」


 ホープが声を裏返す。


「今日オフだよね!?

 俺、朝からのんびり釣りしてたんだけど!?」


 そう言って、肩に掛けた籠を軽く持ち上げた。

 中では、数匹の魚がまだぴちぴちと跳ねている。


「趣味の釣り!釣った魚はさ、潮騒の宴で皆で食べたりしてんだ。今度ナナミちゃんも食べにおいでよ!」


「……え、いいんですか……?」


「もちろん! 皆で食うと美味いんだよ、これが!」


 そう笑ってから、ふと真顔になる。


「……っていうかさ、ナナミちゃん、今日も潜ってたんだ……?」


 感心と呆れが半々の声。


「一昨日、ワン・アイドと戦ったばっかだよね?」


「……は、はい……」

「でも……依頼だったので……」


「すげぇなぁ……」


 ホープは頭を掻きつつ、改めて荷物を見る。


「それ、さすがに一人じゃ運ぶのきついでしょ」


「……正直に言うと……ちょっと……難しいかもです……」


 ナナミは申し訳なさそうに視線を落とす。


 するとホープは、即答だった。


「じゃあ、手伝うよ! 俺もちょうど帰るところだし

 ギルドまで一緒に運ぼ!」


「えっ……で、でも……オフなのに……悪いです……」


「いいっていいって!

 困ってる仲間、放っとけないしさ!」


 その言葉に、ナナミは一瞬迷い──

 それでも、素直に頷いた。


「……ありがとうございます。助かります……!」


「よっしゃ、決まり!」


 ホープは慣れた手つきで網を持ち上げる。


「……うわ、重っ! これ、スケイル・フィッシュだよね?」


「は、はい……」


「ナナミちゃん、ブロンズ級になったんだね……!ブロンズ級なってすぐ、これ狩るなんて凄いよ!」


 笑いながらも、歩調を合わせてくれる。


* * *


 二人で並んで、港からギルドへ。


 夕暮れのアクア・ヘイヴンは、人通りも多く、

 すれ違うダイヴァーたちがちらりと荷物を見る。


「……ホープさん」


「うん?」


「潮騒の宴は、明日は海に潜るんですか?」


 ホープは視線を宙に浮かせながら答える。


「俺たち、基本はさ」

「皆で一回潜ったら、三日は休むんだ」


「……三日……」


「ワン・アイドは緊急依頼だったから、全員参加したけどね」

「あとは個別に行きたかったり稼ぎたかったら、各自で潜ってる感じ」


 ナナミは、少し驚いた。


「……そうなんですね……」


「グレイスさんは、一人でもよく潜ってるけどな

 鍛錬みたいなもんだって言ってた」


 どこか誇らしげな声音。


「……なるほど……」


(やっぱり……ちゃんとしたクラン……)


 ナナミの胸に、また小さな温かさが灯る。


* * *


 やがて、ダイヴァーズギルドが見えてきた。


「よし、ここまでだな!」


 ホープは荷物を降ろし、軽く伸びをする。


「ホープさん、ありがとう」

「ひとりじゃ絶対きつかったでしょ?」


「……はい……本当に……」


 深く頭を下げるナナミ。


「また困ったら言って!」

 ホープは屈託なく笑った。


 そして、思い出したように言う。


「……そうだ。俺たち、明後日にまた潜るんだ」


「……えっ」


「よかったらさ、そのとき一緒に行こうよ!

 ナナミちゃん、絶対戦力だし!来てくれたらニーナも喜ぶよ!」


 その言葉に、ナナミの顔がぱっと明るくなる。


「……いいんですか……?」


「もちろん!」


「……はい!」

「ぜひ……行きたいです……!」


「決まりだな!」


 時間を教えてもらったのち、ホープはナナミへ手を振り街の方へ戻っていった。


* * *


 一人になり、

 ナナミはギルドの扉を押す。


 中に入ると──


「おう、ナナミ」


 聞き慣れた低い声。


「成功したようだな!ナイスダイヴだ」


 ブレイカー副長が、カウンター越しに腕を組んでいた。


 そして、ナナミの荷物を見て、目を細める。


「よく、こんな量を持ってきたもんだ」


「……あ、あの……途中まで……手伝ってもらいました……」


「ははっ、それでも十分だ!」


 ブレイカーは、満足そうに頷いた。


「さあ、納品だ」


 ナナミは、少しだけ背筋を伸ばした。


(……うん)


 この一歩が、

 また次へ繋がっていく気がした。


──続く。

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