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アビス・グランブルー 〜クラン追放された最底辺ダイヴァー、わたしはやめたくなかった〜  作者: ロートシルト@アビス・グランブルー、第四章も毎日20時更新!
第4章 居場所

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第63話 蒼の槍、その応え

 サージ・オッターが、水を爆ぜさせた。


 太い尾で一気に水を蹴り、

 弾丸のような速度でナナミへ突進してくる。


「──来る!」


(今よ、ナナミ)


 アストラルの声と同時に、

 ナナミは半歩、身体を捻った。


 真正面ではない。

 左へ、わずかに角度をつける。


 ドンッ!!


 鈍い衝撃が、左腕に走った。


「……っ!」


 だが、弾かれない。


 アームガードに当たった衝撃は、

 水と一緒に“流されて”いく。


(そう、そのまま)


 ナナミは、衝撃の流れに逆らわず、

 身体を回転させた。


 次の瞬間──


「──はっ!」


 ブルーランスが、閃いた。


 回転の勢いを乗せた突きが、

 サージ・オッターの脇腹へ一直線に突き込まれる。


 ズッ……!


 硬い感触が一瞬手を伝う。

 だが、その後は滑るかのような手応えだった。


 蒼い槍身を伝って、海魔の身を切る。


 ズンッ!!


「ギャォォッ──!!」


 衝撃が、内部まで届いたのが分かった。


 サージ・オッターの巨体が、

 そのまま力なく回転し──沈む。


「……え……?」


 ナナミは、目を見開いた。


 以前、同じ相手と戦った時は、

 何度も突き、間合いを取り、ようやく倒した相手。


 それが──


「……一撃……?」


 沈んでいくサージ・オッターを見つめ、

 思わず声が漏れる。


「すごい……こんなに、違う……!」


(驚いている暇はないわよ、ナナミ)


 アストラルの声が、鋭くなる。


(次が来るわ)


「……っ!」


 同時に、視界の両端が揺れた。


 シェード・フィッシュ。

 二匹が、交差するように動く。


 挟み撃ち。


(落ち着いて)

(小型は、動きが直線的よ)


 ナナミは、深く息を吸う。


 魔力を、脚へ。

 一瞬で距離を詰める。


「──っ!」


 最初の一匹。


 すれ違いざま、

 ブルーランスを横に払う。


 シャッ──!


 水と影が裂け、

 一匹目は抵抗する間もなく撃破した。


 残る一匹が、背後へ回り込む。


 だが──


「……そこ!」


 振り向きざま、

 今度は突き。


 蒼い軌跡が走り、

 二匹目も、静かに動きを止めた。


 周囲に、再び静寂が戻る。


「……はぁ……」


 ナナミは、ゆっくりと息を吐いた。


 手の中のブルーランスを見る。


(……武器を、補強して良かった)


 そして、思い浮かぶ顔。


 グリーンリーフ堂。

 自信に満ちた微笑み。


「……ありがとうございます、フィアスさん」


 胸の奥に、温かいものが広がった。


(行きましょう)


 アストラルが、先を促す。


「……うん」


 ナナミは戦利品の海晶核を回収し、さらに深く潜る。


* * *


 深度計が、間もなく165を指す。


 藍色の世界の奥で──

 それは、現れた。


「……わぁ……」


 思わず、声を失う。


 鉱脈マリモ群生帯。


 十個ほどの巨大なマリモが、

 連なるように並び、

 内部から淡く光を放っている。


 鉱石の筋が、

 星脈のように走り、

 藍の海に静かな輝きを添えていた。


 まるで、海の中の宝石庭園。


「……綺麗……」


 一瞬、いつでも戦場になる状況を忘れるほどの美しさ。


 ナナミは、しばらく見惚れていた。


 ──その時。


 背筋を、冷たいものが撫でた。


「……っ」


(……来たわね)


 アストラルの囁き。


 マリモの影が、ゆっくりと歪む。


 岩が、動いたように見えた。


 次の瞬間──


 鉱石を喰らい岩のような鱗を持つ巨大な魚影が、

 藍の闇から姿を現した。


 スケイル・フィッシュ。


 その眼が、

 獲物を捉え、鈍く光る。


 ナナミは、槍を構えた。


 ここからが──

 本当の依頼だ。


──続く。

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ハイファンタジー
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