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孤独な公女~私は死んだことにしてください  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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2-15 働き者のサフィニア

 キィイイイ~……


少しきしんだ音を立てて離宮の扉が開いた。4年ぶりの我が家に足を踏み入れたサフィニアは……。


「クシャン! す、すごい埃だわ」


たまらずくしゃみをしてしまった。

床には埃がたまり、天井には蜘蛛の巣が張っている。


「まずは窓を開けて換気しなくちゃ」


サフィニアは部屋中の全ての窓を開けて回り、階段下の納戸へ向かった。

扉を開けると、中にはバケツや箒等の掃除用具が入っている。


「良かった……まだ掃除道具が残っていて」


納戸の中には古くなってあちこち破れていたシーツも残されていた。これは母、ローズが雑巾代わりに残しておいた物だ。

親子で、貧しい生活をしていたのでローズは再利用できる物はどんなものでも残しておいたのだ。


「ママ……」


ぽつりと呟き顔を上げると、サフィニアは掃除用具を持って納戸を出ると早速大掃除を始めた。

はたきでゴミを払い、箒で床を掃いてゴミを取り除く。


「井戸の水はまだ出るかしら……?」


サフィニアはバケツを手に取ると、井戸がある中庭へ向かった。



「まぁ……雑草だらけだわ」


中庭に出てきたサフィニアは目を見開いた。ローズと暮らしていた頃は芝生が見える状態になっていたが、今は背丈の伸びた雑草だらけで井戸の場所も見えなくなっている。


「酷い庭だけど、まずは屋敷の掃除が優先ね。え~と……確か井戸はこの辺りにあったはずだけど……」


ガサガサと雑草をかき分け、サフィニアは笑顔になった。


「あった! 井戸だわ!」


この井戸は手押しポンプの井戸になっており、子供のサフィニアでも難なく水を汲みだすことが出来るようになっている。


「錆びていなければいいけど……」


試しにハンドルを押してみると、少し軋んだ音が出るものの動かすことが出来た。


「……動いた! ならお水はどうかしら?」


20回ほどハンドルを押し続けていると、やがてゴボゴボと音が聞こえ始め水口から水が出始めた。


「お水が出てきたわ」


嬉しさのあまり、サフィニアの顔に笑みが浮かぶ。最初は赤錆が混じった水だったが、やがて徐々に澄んだ水になってきた。


「今は、お掃除に使うだけだからこれくらいでいいかしら?」


持ってきたバケツに水を汲むと、持ち上げた。


「お、重い……」


足元をふらつかせながら、サフィニアはバケツを持って部屋に戻ると今度は雑巾がけの掃除を始めた――



****


 

「……ふぅ」


サフィニアは掃除を終えた部屋を見渡した。


「奇麗になったわ。……2部屋だけど」


誰も使用していない小さな離宮とはいえ、この屋敷はエストマン公爵家の物なので10部屋以上ある。

そこでとりあえず必要最低限な炊事場と、リビングだけを掃除したのだ。


その時、キュルキュルとサフィニアのお腹が小さく鳴った。


「お腹すいたわ……今何時かしら?」


壁にかけてある時計は止まっている為、時間がさっぱり分からない。


「何か食べましょう」


サフィニアは炊事場からカゴを取ると、再び中庭へ向かった。



「……あったわ! 良かった……」


中庭にはラズベリーの木が何本も生えており、かわいらしい実がたくさんついている。

これは少しでも食費を浮かすため、母と二人で植えた物だった。


「ちょうど実が成る季節で良かったわ」


カゴいっぱいにラズベリーの実を入れると、サフィニアは屋敷に戻り……目を見開いた。

家の前に馬に乗ったセザールがいたのだ。


「セザール!」


名前を呼ぶと、セザールは振り向いた。


「あ! サフィニア様!」


馬から素早く降りると、セザールはサフィニアに駆け寄った――



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