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孤独な公女~私は死んだことにしてください  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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1-12 乱暴な少年たち

「サフィニア様、こちらです」


セザールは屋敷の裏手にある、白い大きな建物へ連れてきた。


「これ……家なの?」


建物を見上げて尋ねるサフィニア。


「いえ、これは倉庫です。庭仕事に使う全ての道具が揃っています。農作業用の道具や、掃除の用具もあります。今から掃除用具を取ってくるので、サフィに様はここで待っていてください。中は少し薄暗くて、床に色々な物が置いてあるので危ないですから」


「うん、分かった。ここで待ってるね」


コクリと頷くサフィニアにセザールは笑顔を向けると、木戸を開けて倉庫の中へと入っていく。その様子を見届けると、サフィニアは空を見上げた。

空は今にも泣きだしそうな曇り空だった。


「……ママ」


1人になると、途端にローズのことが思いだされてサフィニアの目頭が熱くなってくる。


(泣いちゃ駄目! ママが神様の元に行けないもん)


目をゴシゴシこすっていたその時。


「誰だ? このチビ」

「どこから入り込んできたんだ?」


乱暴な声が聞こえ、サフィニアは顔を上げた。すると、セザールとほぼ同年代とみられる2人の少年がサフィニアを見おろしていた。


「……お兄ちゃんたち、だあれ?」


サフィニアが尋ねると、1人の少年が噴き出した。


「プッ! おい、聞いたか? お兄ちゃんたち、だあれだってよ」


「おい、このチビ。よく見るとメイドの恰好していないか?」


「本当だ。チビだから気付かなかったぜ」


2人はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。


「おい、チビ。お前、何て名前だ?」


1人が尋ねてきた。


「サ、サフィニア……」


サフィニアは震えながら返事をすると、2人はサフィニアをそっちのけで会話を始めた。


「へぇ。これはまた随分大層な名前だな。チビのくせに」


「あぁ、まるで貴族みたいな名前だ」


「何言ってるんだよ。もし貴族なら、こんなチビがメイドの恰好しているはずないじゃないかよ。しかもサイズだって合ってないじゃないか」


「確かにな」


ハハハハと笑いあう2人。

実は彼らは親に売られた下働きの少年たちで、普段から素行が悪いことから野良作業や洗濯など、きつい仕事ばかりあてがわれていた。

しかし、それでも2人は他の使用人達の目を盗んで仕事をサボっていたのだ。


(いやだ……この人達、怖い……セザールお兄ちゃんはまだなの……?)


怖くてガタガタ震えていると、1人の少年が気付いた。


「ん? おい、このチビ。震えてるぜ」


「へぇ、俺達が怖いのかよ? ん? そうだ、いいこと思いついた。このチビに俺たちの洗濯の仕事をやらせようぜ」


彼らはとんでもないことを言い出した。


「お? それがいいな。もうこれ以上、あんなきつい洗濯の仕事なんてやってられないもんな。おい、チビ。ちょっとこっち来いよ」


1人の少年がサフィニアの右腕を握りしめてきた。


「え!? ヤ、ヤダッ!」


怖くて叫んだ時――


「お前たち! 一体何をやってるんだよ!」


背後から鋭い声が聞こえ、涙目になったサフィニアは振り返った。すると掃除用具を手にしたセザールが少年たちを睨みつけていた。


「ゲッ!」

「セザール……」


2人の少年はセザールを見て、明らかに狼狽している。


「お前たち、仕事はどうしたんだ? その子の手を放せ!」


サフィニアの腕を握りしめている少年をセザールは睨みつけた。すると少年は慌てて手を離すと、サフィニアは涙を浮かべてセザールに駆け寄った。


「セザールッ!」


「サフィニア。大丈夫だったか?」


セザールは駆け寄ってきたサフィニアの頭を撫で、次に2人を睨みつけた。


「こんなに怖がらせて……一体サフィニアに何をしたんだ!」


「アハハハハ……。俺達はただ、こんなところで迷子かと思って声をかけていただけだって」


「あ、ああ! そうだよ。その子が勝手に怖がっただけだって」


必死に笑ってごまかす2人の少年。


「そんな話……信じると思うか? 事と次第によっては、タダでは置かないからな?」


セザールはサフィニアを後ろに庇うと、少年たちを問い詰める。


「な、何だよ……やるって言うのかよ!」


1人の少年がイキがると、別の少年が引き止めた。


「お、おい! やめておけ! あいつ……剣術が得意だったじゃないか!」


「うっ……」


その言葉に途端に弱腰な態度を見せる少年。


「早く持ち場に戻れ。痛い目に遭いたくなければな」


セザールは鋭い眼差しを少年たちに向ける。


「わ、分かったよ!」

「早く行こうぜ」


少年たちは逃げるようにその場を走り去って行った――






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