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第2話、文化祭①

 迎えた文化祭当日。

 普段の落ち着いた様子とは打って変わって、校内には綺羅びやかな装飾が張り巡らされ、校庭にはたくさんのテントが張られてクラスや部活による露店が開かれている。


 至る所にはしゃぎまわる生徒達の姿が見えた。

 スイーツ片手に談笑しながら歩き回る女子生徒。仮装衣装に身を包んだ男子生徒、その他にも保護者や他校の生徒の姿もあり今日だけの特別な光景が広がっていた。


 俺のクラスはバルーンアートの展示を無事に終えて、今日の文化祭は自由に歩き回る事が出来るようになっていた。ユキは生徒会の出し物の準備で朝早くから家を出ていて、俺のスマホに『今日の午後から生徒会の企画に参加するので見に来てくださいね』という内容のメッセージを送ってくれた。


 これだけは絶対に見に行かなければならないだろう。生徒会の企画の内容については今も謎に包まれているが、どんなものであれユキの活躍を見逃すわけにはいかない。


 午前中は秋奈と一緒に校内を回って色々と楽しむ予定だ。秋奈が生徒会から任せられた仕事の内容は前日までで当日の予定は空いている。一人で文化祭を見に回っても、きっと感動する事もなく退屈に感じてしまうというのは今からでも分かっていた。


 そんな一人寂しい文化祭を過ごす事はなく、秋奈が一緒に回ってくれるのは実にありがたいものだった。


 俺と秋奈は配られた文化祭の案内の紙を取り出す。


「さて、秋奈は何処に行きたい?」

「そうだね、行くならまずは5組のワッフルだ。その後はバレー部のパンケーキ……ええと、それからこれだね。2年のクラスでタコ焼きやっている所があるらしい」


「秋奈。お前の行きたいとこ、食べ物ばっかりだな」

「それならあれかい? ボクと二人でお化け屋敷に行って絶叫し合うのも悪くはない……かな?」


「秋奈、俺はホラーへの耐性は高いんだぞ。高校のお化け屋敷くらいじゃ声一つ上げない自信がある」

「3年生渾身の『恐怖の3年5組』というお化け屋敷。立夏の話じゃ企画の時点でもかなりの力の入れようらしいよ。それが相手でもかい?」


「相手はお化けの仮装をした高校生。大丈夫だ、問題ない」

「心強いじゃないか。なら行ってみる?」


「ああ。行ってみよう」

「でもその前にワッフルは絶対に買っていこう。楽しみにしていたんだ」


 秋奈は目星を付けた所をボールペンで囲み、俺と二人で移動を始める。


 まずはワッフルを食べるという話だったが、どうやらそこは大人気コーナーだったようだ。焼きたてのワッフルの香りが辺りに広がって、その香りに釣られて多くの人達が集まっている。


「なかなかの盛況ぶりだな……」

「地元の人気洋菓子店と協力しているという触れ込みでね。あの有名店の味が学校で、という話らしい。ボクも楽しみにしていたんだ。白鳩さんの分も買っておいて、文化祭が終わったらプレゼントするというのはどうだろう?」


「確かにユキの方は生徒会の企画が忙しそうで、文化祭を回ってる余裕はなさそうだしな」

「うんうん。それじゃあ早速並んでいこうか」


 それから俺達も列に並び、10分以上待つ事になった。


 ようやく俺達の番になりワッフルを3つ購入する事が出来て、受け取ったワッフルからは香ばしい匂いと共に湯気が立つ。ユキの分は透明な袋へ入れてもらってそれを丁寧に鞄へ片付けた。


「それじゃあ次はお化け屋敷だな――ってもう食べてるのか、秋奈」

「校内で歩き食いが出来るのは今日だけだ。存分に味わっておかないとね」


 瞳をきらきらと輝かせて笑顔でワッフルを頬張る秋奈。そんな可愛らしい姿を見せる秋奈の隣で、俺も買ったばかりのふわふわのワッフルを歩き食いする。普段なら怒られてしまうような事でも文化祭という今日一日だけは許される、確かに秋奈の言うように特別な感じがあって、ワッフルの味も更に美味しく思えてしまう。

 

 そして一緒にお化け屋敷が開催されている3年5組の教室へと向かった。

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