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Truth Of Legend  作者: 座敷猫
第二章:城塞都市クヴィスリング編

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31/59

26話:一致団結

〜前回までのあらすじ〜

城塞都市クヴィスリングで始まった二度目の大きな戦い。

勇者アルス一行は遂に、死闘の末に敵将である二体の上級魔族の撃破に成功する。

壮絶な戦いを制した後、一行は……

 大陸中央にある城塞都市(じょうさいとし)クヴィスリング。

 炎と黒煙(こくえん)が上がる街並み……その上に先刻(せんこく)まで雲を切り裂くような(するど)い風の音と共に、大空を()っていた魔龍族の姿はもうない。


「はぁ…はぁ……」


 ────都市の中に住んでいた市民や兵士達を殺戮(さつりく)したであろう魔龍族は今や……破壊され尽くした広場の中、石畳(いしだたみ)の地面の上で(しかばね)の山を(きず)いていた。


「……ふぅ」


 その中でも一際(ひときわ)目を引く、他の魔龍の遺骸(いがい)に比べて大型の(あか)(ドラゴン)を見てアルスは物思いに(ふけ)る。


 上級魔族……紅い竜巻(たつまき)フラスト────思い返して(なお)、恐ろしい相手だった。

 魔龍族(まりゅうぞく)の中でも卓越(たくえつ)した炎と風の自然魔法を操る技量に加え、制空権(せいくうけん)を得てる優位性(アドバンテージ)を活かした戦術を合理的に実行できる頭脳・判断力。

 黒い魔物(ザヴォート)ではなく奴が指揮を取っていたら、戦いの結果は全く違うものになっていたかもしれない。



「アルス!!」


 ────そうしていると、不意に聞こえてきた仲間の声。

 振り向いた先には少し(なみだ)ぐんでるレヴィンがいた。


「よかった…無事で……!」

「あぁ…ところでウォルフはまだ……?」

「うん、まだ治療中……でもフィルが命に別状(べつじょう)はないって!」

「そうか……よかった」


 そんな彼女からの報告を聞いて、アルスは思わず笑みを(こぼ)す。

 早く仲間達の元へ戻ろう……そんな思いと共に歩み出すと、後ろから再びレヴィンの声が聞こえた。


「ところでさ、水の防御魔法(アクア・テラス)を張ってたからよく見えなかったんだけど……アルスがどうにかしてくれたの?あの紅い龍の最後の攻撃……」

「いや……それが()()()()()()()()んだ」

「え?そ、そうなの……?」

「あぁ……それより早くフィルビーの元へ戻ろう」

「う、うん……」


 その疑問に対する返事にレヴィンは一度()え切らない反応を見せたが、それ以上追及(ついきゅう)してくる様子はない。

 ……が納得したわけではないらしく、後ろからは彼女がブツブツと(つぶや)く声が聞こえていた。


「アルスの話し声が聞こえてきたの、気のせいだったかな……?何かの詠唱(えいしょう)かと思ったんだけど……」



 ・・・



 フィルビーの元に戻りウォルフの様子を確認したところ、命に別状がないのは確かだった。

 ……が、もう戦える状態ではなく絶対安静との事らしい。


 まだ残っているかもしれない要救助者(ようきゅうじょしゃ)を探そうにも、一先ず満身創痍(まんしんそうい)仲間(ウォルフ)を安全な場所まで送り届けたい。

 それにはこの都市の兵団の人達と合流するのが一番だが……当然と言うべきか、先程市民を連れて避難(ひなん)した兵士達の姿は見える範囲にはいない。


「アルスさん!()()()!!」


 ───代わりにフィルビーが指差した先に、上空へとよろめきながら飛んでいく魔龍の姿があった。


「まだ生き残りがいたか……」

「今度こそ私の魔法で……!」

「よせレヴィン、魔力の無駄だ」


 しかし一度後退(こうたい)する以上、また会敵(かいてき)した時のためになるべく魔力は温存しておきたい。

 それに飛んでる魔龍を見るに、恐らくは奴も満身創痍……放っておいても問題はないだろう。


「今の俺達に奴を追う余力(よりょく)はない……敵将(てきしょう)も倒したし、ここは一旦退()くぞ」

 そう判断し、気を失ってるウォルフを連れて行こうと肩に手を回した……その時だった。



「なに……?」

「ひっ!」

「あ……」


 ────周囲に倒れていた敵の一部が突如(とつじょ)として起き上がり出した。

 魔族達に外傷(がいしょう)はない……どうやらフィルビーの魔法により眠らされていた魔族のようだ。


「ごめんなさい……私のせいです」

「気にするな、この程度の数なら……」


 ……とはいえ目覚めたのは数体。

 些細(ささい)なものだ、と思いつつ今一度駆除(くじょ)するためアルスは再び剣を抜く。



『『『メキメキ……ッ』』』


 ────しかし次の瞬間(しゅんかん)、目の前の眼球に触手(しょくしゅ)が生えた姿の魔物が音を上げながら分裂し……その数を倍以上に増やした。


「チッ……忘れてた」


 "眼球の魔物"

 分裂能力を持ち、剣による斬撃が実質的に効かない……戦いで疲弊(ひへい)して魔力も残り少ない今の状態では絶対に相手したくない厄介(やっかい)な敵だ。


 目の前の絶望的な光景を見て、即座(そくざ)で炎魔法で消滅(しょうめつ)させなかった事を心の底からアルスは後悔した。


「ここは俺が()い止める……レヴィンとフィルビーはウォルフを連れて、なんとか逃げてくれ」


 ……だが、後悔したところで敵は待ってはくれない。

 今戦えるのは自分しかいない────そんな覚悟を胸に秘めながら、アルスは仲間に指示を出し……自身は剣を構える。



「「「「【大地の捕食(マンジャ・テーレ)】!!!」」」」


 ────そうした矢先、不意に詠唱が聞こえると同時に地面に大きな亀裂(きれつ)が走り……眼前の魔族の群れを()み込んでいった。


「君達は……」

 驚くべき事に、詠唱が聞こえた先にいたのは先程避難(ひなん)した(はず)の兵士達。


「クヴィスリングの兵団が一人、ライル・シュミットであります!他部隊から応援を呼んで来ました!!」


 そしてライルと名乗った青年の言葉通り、その後ろにも数々の兵士達が(ひか)え……名乗りを上げていた。



「応援は有難(ありがた)いが……良いのか?」

勿論(もちろん)、あなた方のお陰で無事に市民を避難させる事が出来ました!数は多くないですが、これより我々も加勢させてください!!」

「ありがとう……恩に切る」

「それは此方(こちら)台詞(せりふ)ですよ!隊長達の、仲間達の(かたき)()ってくれて本当にありがとうございます…!これで少しは皆浮かばれる筈です!」


 不意に青年から伝えられたのは……本来、立場の低い魔王討伐隊である自分達が受ける筈のない純粋(じゅんすい)な感謝の言葉。

 ヴァイゼン村で村人を救えなかった時や、()()()()からずっと無力感に(さいな)まれていたアルスはそこでほんの少し救われた気持ちになった。



「オ…アア、アァ……!!」

「イ、イイイイイイ……タタタタタタ……」

「ダ…カ……ケテ……」

「モ……ヤ………シテ……」


 ────眼前では、()けた地面の中から不気味な(うめ)き声を発しながら眼球の魔族が膨張(ぼうちょう)し、()い上がってきたが……今はもう、負ける気がしない。


(まった)く、無駄に数が多いな……邪魔(じゃま)だ」


 今ならどんな困難だって、乗り越えられる気がする。

 そんな希望を胸にアルスは剣を構え、後ろの兵士達もそれに続く。


「ゆくぞ!今こそ(おん)(むく)いる時!!」

「「「オオオオオオオオオオオォッッッ!!!」」」


 そこには立場の差などない……目の前の脅威(きょうい)に対し、一致団結する人類の正しい姿があった。

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― 新着の感想 ―
前回に続き、今回も熱すぎる展開!! 私の推しに何か大きな伏線があるのではと、そわそわが止まりません!! 1人で戦おうとするアルスが……ど刺さりです からの、兵士たちとの共闘シーンが胸アツすぎて...!…
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