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女子高生アイドルの恋愛事情 〜春山美咲の場合〜  作者: ゆゆこりん
本編

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第37話 制服グラビア

急な用事で更新できず、申し訳ありませんでした。

「顔が強張ってるねー。 もうちょっと気を楽にしていいよ」

「はい、申し訳ありません」


 そんなことを言われても、ソロのグラビアなんて初めてなんだから緊張するなって方が無茶だと思う。

 水着じゃないから恥ずかしさはそこまでないものの、本来着るべきものとは違う制服を着るのはなんだかむず痒い気持ちになる。


 ひんやりとした休日の校舎はしんとしていて、撮影会場になっている教室以外には人は見当たらない。


 誰もいない教室でカメラに向かって笑顔を向ける。 これがなかなか難しい。 シャッター音とカメラマンさんの声だけが響いている。

 こういう場面になると、ナツの凄さを思い知る。 一度だけ撮影現場を見せてもらったけど、普段から綺麗なナツが女神様のように見えた。 水着の女神様なんていないだろうけど。


「千春ちゃん、やっぱりちょっと堅いね。少し休憩入れようか」

「……すみません」


 ベンチコートを羽織らせてもらって、あったかいお茶を飲んだ。 自分のせいで多くのスタッフさんを巻き込んで待たせてしまっている。 申し訳ない気持ちばかりが先行してしまって、自己嫌悪に陥ってしまった。

 いただいた休憩は10分。 ここでなんとか切り替えないと。


 そんなときにスマホが鳴った。 個人の方。 付き添いで来てくれた原田さんが持ってきてくれたスマホを見ると、大地からの切羽詰まったようなメッセージだった。


『助けてくれ! クリスマス何着ていけばいいんだ!? スーツか? 』


 スーツ!? 大地はお友達同士でやるクリスマスパーティを何かと勘違いしているんだろうか。

 スーツを着てくる大地を想像したら面白くって、顔がふやけてしまった。


 パシャッ。


 シャッター音にハッとなって顔を上げると、そこにはカメラマンさんがニヤリと笑ってこちらを見ていた。


「いい表情だったよ。 すまないね、急に撮ったりして。 でも、ほら」


 そういってカメラマンさんはあたしに写真を見せてくれた。 ディスプレイに映ったあたしは自然な笑顔で、なんかこう、幸せそうだった。


「スマホ見てたんだよね? 何かいいことあったの? 」

「いえ、別に。 ただ、ちょっと知り合いからのメッセが面白くて」

「よし、じゃあその感じで続きいこう」


 そうか。 アイドルとして写ることを意識しすぎてしまったのかもしれない。 仮面をかぶることに躍起になり過ぎたのかもしれない。


 肩に力が入り過ぎた状態を緩めてくれたのは、やっぱり大地だった。

 ――大地の存在があたしの中で大きくなりすぎてるなぁ。


 再開した後のカメラマンさんは、シャッターを切ったあとに頷く回数が明らかに増えていて、順調に撮れていそうなのが見てとれた。


「いいね、千春ちゃん。 教室での撮れ高は充分だから、次は体育館行こうか」

「はい! よろしくお願いします! 」


 ぞろぞろと体育館に向かって行軍する。 その最後列を原田さんと並んで歩いていた。


「さっきのメッセ、大地くん? 」

「はい」


 一番あたしをよく見ている原田さんは、メッセが変化のきっかけだったことに気づいていたようだった。


「やっぱり。 あの時、見た目は千春だけど、中身は完全に美咲だったもんね」

「どゆことですか? 」

「ハルちゃんは、仕事の時モード変わるから。 んでさっきのスマホ見てた時はオフのモード」

「そうかもしれないですね」

「今日、カメラマンさんが撮りたかったのはオフのように柔らかい表情だったのかもね」

「そういうことですか。 今日は素の方がいいってことですかね。 この後も、気負いすぎずにやります」


 体育館は教室よりも寒い。 コートも着ずにここにいたらすぐ風邪をひいてしまいそう。 ベンチコートを着たままスマホに手を伸ばした。


『スーツじゃなくていいよ(笑) シャツの上にニットとか? タートルネックでもいいし。 足元は冬だしブーツとかあるならいいかもねー』

『ドレスコードとかないんだな? 急に心配になってな。 ありがとー! 』

『寝癖とかないようにね』

『わかってるわい! 』


 さっきメッセをもらってから結構時間がかかったのに、返信はすぐにやってきた。 おヒマだったのかな?

 ポチポチとやりとりしている間に準備ができたそうで、お声がかかった。 寒いから、できるだけ早く終わらせよう!


 そう意気込んで立ち上がり、羽織っていたコートを脱いだのだけど……。 用意されていたのは、バスケットボールだった。



 そこからの撮影はNG集にしかなっていないような気がする。 ボールをつけばつま先に当たってあさっての方向へ飛んでいくし、ゴールを狙ってシュートしてみればリングに当たって自分に跳ね返ってくる。 なんであたしってこんなに球技ダメなんだろ。


 それでも、カメラマンさんは表情が自然だから良いと褒めてくれたし、スタッフさんはみんな笑ってくれた。 バスケは下手どころの話ではなかったけど、グラビアの写真としては悪くない出来だったみたい。


 そのあとは極寒の校庭を経て、校長室や茶道部向けであろう和室などもお邪魔して撮影はお昼を少し過ぎた頃に終わった。 教室で手こずったことを考えると、後半はかなり順調だったと言えるかな。 最後に読者プレゼント用の写真にヘタっぴなサインを何枚か書いて今日のお仕事はおしまいになった。



 初稿は早めに届けてくれるとのことで、どんな風にできあがるのか楽しみができた。

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