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女子高生アイドルの恋愛事情 〜春山美咲の場合〜  作者: ゆゆこりん
本編

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第29話 一般人×アイドル

お待たせしました。

「ほんじゃ、目的は達成したかな」


 あたしとなんか一緒にいたくないってこと? そうでなくても、まだ一緒にいたいと思ってくれているわけではないってことよね。

 でも、せっかくの休日に一緒にいるんだもの。 少し粘ってみてもいいかしら。


「遅刻してきたのにもう終わり? 」

「うぐっ。それは悪かったってば」

「うそうそ。 気にはしてないけど、まだ時間あるなら残りの時間ももらえる? 」

「へい、仰せのままに」

「それじゃ、デートの延長戦ね」


 わざわざ「デート」と言ってみた。 さっきもう終わりにしようとしたから、ちょっとだけ仕返し。


 まだお昼には少し早い時間。 でも朝に調べた映画は確か十三時に上映開始だから、すこし早めにご飯食べた方がちょうどいい。

 駅前にあるサンドイッチ屋さんをのぞくとお客さんはまばらで、奥の方に席を確保した。

 映画に誘うなんてベタすぎるかななんて思ったけど、少しくらいデートを意識してくれたっていいもんね。


「菊野くんって、普段映画見る? 」

「たまに見るくらいだけど、嫌いじゃないよ」

「このあと映画、どうかな。 『コンビニ店員がアイドルに恋をしましたが何か?』が前から見たかったんだけど、嫌じゃなければ」

「いいんじゃない? 何時から? 」

「十三時だね。 ちょうどいいかも。 スマホで席取っちゃうね」


 新しいスマホはとても快適で、映画館のWebページもスイスイと動く。座席指定までしたところで予約は完了。 とりあえず第一目標達成! 


 ちょっと満足した気分になって、レタスサンドを頬張った。


 お次は第二目標。 大地に好きな人がいるのかどうか確かめること。 今なら唯香とのこと聞けるかな。

 普段の学校では友達が周りにいるからこんな突っ込んだ話はできない。 聞くなら、今だ。


「聞きたいことがあるんですけど」

「んぐ。 どしたの、改まって」

「菊野くんも、唯香狙い、なの? 」

「ユイカ? 」

「うん、北条唯香。 7組の」

「あ、ああ、北条ね」


 昨日、会ってたのは知ってるんだから。 問題は、本当に偶然だったのか、大地が唯香が好きなのかどうか。


「どうなの? 」

「北条は狙ってないよ」


 ……北条()

 唯香を狙っているわけではない、と。 取り繕ったりする様子は見られない。


「そっか……」


 大地はクラスではあまり女性陣と話しているのを見かけることはない。 あっても必要最低限。 でも吹奏楽部でどういう感じなのかはわからない。


 それと、唯香とは本当に偶然だったってことなのかな。


「昨日、カフェ図書館で会ったんでしょ? 唯香から昨日メッセ来て、聞いたの」

「ああ、たまたま会ったんだ。 まさか向こうが俺のこと知ってるとは思わなかったけどな」

「唯香があそこに出入りしてるの知ってて追っかけたのかと思った」

「いやいやまさか。 俺、中学の時から時々行ってたくらいだし」


 そっか、ホントにたまたまだったんだ。 それでいて唯香は狙ってないというんだから、他に気になる人がいるってことなのかな。

 大地を見るとなんだか難しい顔をしていた。 唯香と何を話してたんだろう?


「何か言われた? 」

「いやいや、これといったことはないよ。あ、横柄だって言われたな。 北条は春山になんか言ってた? 」

「バスクラさんと会ったよ、って」


 横柄って、いつもの無愛想モードだったのかな。 大地ならあり得そう。

 唯香からのメッセは、休みの日に会ってたことが衝撃的すぎたけど、内容は大したことじゃなかったし。

 


「そろそろ行こっか」

「ん」


 映画館は目と鼻の先。 上映開始まであと十五分といったところで移動することにした。 平日だからか、中はガラガラ。 さっきの予約画面でもほとんど席は空席だったから、それも当然だね。


 大地と一緒に学生証を出して、二人分の券をもらった。 あまりに人が少ないせいか、ポップコーンのお店はお休みになっていた。 こんなことってあるの?


 お昼ご飯を食べた直後だからなくてもいいかと、スクリーンのある劇場内へ入っていくと、まばらに人が入っていた。

 券面に書かれた席の番号はさっきスマホで指定したところだからすぐにわかった。


「ここだね」

「ん。 映画なんてホントに久しぶりだわ」

「前はいつ見たの? 」

「前はスプリング・ウォーズかな」

「それ、だいぶ昔じゃない? 」

「そうかもな。 だから、映画は楽しみだぞ」


 たまに見るくらいっていうから、誘って悪かったかなってちょっと思っていたけれど、楽しみって言ってもらえてよかった。あとは内容次第だけど。




 十分ほどの広告のあとでてきた“女優”の千歳さんは、まさにアイドルの鑑といった感じ。 芸能活動を始めてすぐに挨拶した時しか面識はないけど、その時はこんなキラキラ全開って感じではなかった。 どちらかというと大人しい清楚系女優といった雰囲気。


 あたしは女優を目指すわけでもないし、アイドルの頂点を目指すわけでもない。 それでも、スクリーンの中の千歳さんを見ていたら、あまりにも素敵すぎて、こんな人になりたいというのが素直な感想だった。


 境遇が近いこともあって、千歳さんに、役としては理穂(りほ)さんにすっかり感情移入してしまった。

 コンビニ店員さんが痴漢から助けてくれたシーンなんて、まさに車から守ってくれた時の大地のよう。


 わかる、わかるよ。 好きに、なっちゃうよね。


 ケンカしたり、トラブルに巻き込まれたりはしたけれど、その度に絆を深めあっていく二人。 あたしも大地とこんな素敵な二人みたいになれるかな。



 あたしがアイドルをやっているときの岬千春と多少なりとも接触がある大地は、どんな思いでこの映画を見ていたんだろう。

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