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クロスロード物語  作者: 雪之丞
白の章 : 第三幕 【 彼と彼女の事情 】
52/114

3-e.ここまでの解説


 この章、ちょっと長くなりすぎてきてたのと、次話辺りで話の雰囲気が大きく変わりだすのもあって、ここらで一回仕切り直したいと思います。という訳で、ちょっと中途半端ですが、ここまでの人物紹介/用語集/解説などの追記分です。

 例によって、本文だけで十分という人は次の話に進んで下さい。




●クロスロード西区【地域名】

 西区は大陸西方、ウェストサイド経由でウェストエンド方面との交易を生業としている商家が軒先を並べており、いわゆる商人街(商売の街)といった風情になっている。そのせいか、他の地域よりも治安がよく、活気に溢れている他、バザーなどの開催頻度が他の地区よりも高い事が特徴となる。


●紅皇国【国名】

 この物語の舞台となっている大陸とは別の大陸にある国の名前で、真紅の紅十字を旗に掲げているもう一つの国家。皇国を名乗るだけあって国家元首は皇帝であるらしいのが、本作ではさほど関係のない話なので、詳細については未定につき以下省略。

 クロスロードの王家との関係は良好ではあるし、唯一といっていい国交のある相手であるし、大事な商売相手でもあるといった関係であるはずなのだが、海を挟んで国境線が隣接してるという立地的な関係上、どうしても最も戦争を想定しておかなければならない相手でもあり、唯一の友好国にして仮想敵国という、なかなかに複雑で頭の痛い関係にある国である。


●雪水晶【道具名】

 紅皇国では比較的ポピュラーな玩具で、いわゆるひとつのスノードーム。雪の降る景色を再現する玩具で、大陸では雪の振る地域がないために全く売れない玩具でもある。むしろ皇国出身者が故郷へのノスタルジーを掻き立てる秘密のアイテムとして、こっそりひっそりと店の片隅にでも、主に店主が自分のために展示していたりするような、そんなレア的要素に溢れた珍しいアイテムだというべきなのかもしれない。




●クランク【人物名】

 クロスロードの西区にあるクランク商会の会頭。ジェシカの父で、冒険者ギルドに自分の娘の買い物のお供という奇妙な依頼を出した人物。昔は色々と威勢が良く喧嘩っぱやかったらしいのだが、妻を亡くしてからはすっかり丸くなったと噂されている。


●ジェシカ【人物名】

 クランクの一人娘で奇妙な依頼を通じてクロスと知り合う事になる。虚弱体質にも関わらず元気印な一六歳の女の子で、夢はお菓子職人になる事と公言している。冒険者になって世界各地を旅する生活に憧れを抱いていて、そんな世界で生きる強く逞しい自分というIFの世界を想像しては色々と思いを馳せているようだ。ギルドへの依頼によってクロスと知り合う事になる。この物語において、ある意味キーパーソンとなりえるだろう人物である。




●ミレディ【人物名】

 本名を名乗ることを嫌っており、自らのことをミレディの名で呼ばせている謎の人物。ピンク色の服をこよなく愛す小柄な人物で、見た目は身長120㎝程度しかない10才程度の小さな子供にしか見えないだろう女性で、黙って澄ましていれば深窓のお嬢様な雰囲気漂う美少女なのだが、その顔に浮かふてぶてしい表情と、口を開けば飛び出してくる皮肉にまみれた言葉、さらに言えば独特な口調の言葉使いなど、色々と残念で明らかに年齢詐欺な怪しさマックスの怪人物(ロリババア)である。


●ケティ【人物名】

 ミレディを主として仕えている白い髪に無表情で動作が色々と不自然なのが特徴的な専属のメイドだが、ミレディ本人に言わせれば護衛兼監視役兼雑用係な能面女。身長は180㎝を軽く超えている男並みに大柄な女なのだが、体付きは全体的に細めで肉が薄いといった印象を受ける色々と痩身(フラット)なまな板的人物である。そんな、いわゆるモデル体型な美人であるのだが、その人形じみた無表情な顔と冷たい雰囲気が他人の興味を弾き返してしまっている。

 いつも肩から下げている小ぶりなショルダーバッグは謎のマジックアイテムらしく、何でも入るし何でも入っているよな四次元ポケット的な超便利アイテムとなってしまっており、アイテムボックス代わりにミレディに連れ歩かれている感がある。




●アーサー【人物名】

 ウェストエンド出身の剣士で最近売り出し中の冒険者。寿命などの問題から人間としては数が少ないAランク超えの一流冒険者である。かつて魔王クリムゾンアイを討ち取り、魔族の都を責め滅ぼしたとされている勇者シャルロットの末裔であり後継者を自称しており、祖先同様に『勇者』の称号を得るべく旅しているらしい。王都には伝説の魔剣『エクセリオン』の手がかりを求めて訪れていて、大迷宮の地下深くに潜むとされる魔竜の巣に、それらしい武器が眠っているという情報を手にしたことで、仲間とともに大迷宮に潜る日々を過ごしていたのだが、そこでたまたま遭遇してしまった生きた伝説である剣聖様に喧嘩を売ってしまった事で、順風満帆だったはずの人生に大きな陰りが差し始める。




●エルリック【人物名】

 かつて大陸で最強とまで呼ばれていた剣の使い手で、王都のヘレネ教会が誇る最強の聖堂騎士であり、未だに冒険者ランクAの最上位に位置している歴代最強の冒険者である。天空竜から贈られて以来、銀の仮面を愛用しており、それにちなむ形で『銀の剣聖』の二つ名で呼ばれている。後に、略称である“銀剣”の方が有名になってしまうが、本人がその二つ名を自ら名乗ったことはついに最後までなかったとされている。

 そんな最強の名を維持したまま、ある日突然姿をくらまして、長らく行方が分からなくなっていたのだが、最近になってクロスロードに戻ってきて再び姿を目撃されていた。そんな久方ぶりに戻ってきて早々に、強いとみれば誰彼かまわず喧嘩を売るような素行の悪さの方が悪名として広まっていた自称勇者様に喧嘩を売られながらも、そんな馬鹿な若造の伸びきっていた鼻っ柱を剣ごと叩き折って撃退してみせるなど、まだまだ腕の方は衰えていないようだ。




●剣聖【称号名】

 いわゆる『剣の道の聖人』の略であり、その意味としては“剣を極めし者”といった内容になる。平たく言ってしまえば剣を修めた者達の最上位者格を意味する称号であり、そんな達人たちの頂点に立つ存在である。大陸でも剣聖の二つ名を持つ使い手は稀だとされており、その多くは伝説級の剣士であり、単体で巨人や竜すらも下すとされている程の規格外生物ばかりである。そんな限界を突き抜けた先に到達するには並大抵の努力や訓練では事足りないということなのか、人間種の剣聖は極めて少なく、殆どの場合には亜人の反則じみた寿命の長さに裏打ちされた桁外れの戦闘経験の積み上げによってのみ、剣聖と呼ばれるほどの至高の高みにまで登り詰める事が可能になるとされている。


●勇者【称号名】

 人間種の中で語り継がれる伝説の存在であり、かつて大陸を支配していた強大な力を誇る魔族の支配から逃れ、亜人種の下に置かれていた地位を打破すべく人間種が全ての亜人種に戦いを挑んだ人魔大戦の中で突如として表れ、戦争を勝利に導いたほか、魔王すらも倒して魔族の街ノーザンクロスを攻め落とし、ついには地上の魔族を残らず討ち滅ぼしたとされている伝説的存在である。

 その活躍は余りにも伝説的過ぎて、つい最近まで誰も存在すら知らなかったという曰くがありまくりな謎に満ちた創作的存在でもある。人族にとっては誇りであり実在を疑いたくない存在なのかもしれないが、冷静な目で見た時には多くの亜人達が口にする通り、かなり存在そのものが怪しいと言わざる得ないのだろう。




●銀鱗の仮面【アイテム名】

 バベルの頂上に住むとされる神の御使こと天空竜から贈られた装備品で、属性を問わず魔法に対する強い耐性を与えてくれるとされる伝説級のマジックアイテム。名前から想像がつくかもしれないが、エルクの事を気に入ったシルバードラゴンが、自らの鱗から生み出した一品物のマジックアイテムであり、装着者に、あらゆる属性の魔法に対する強い耐性を与えるとされている。特に心を攻撃する系統の魔法にはシャットアウト同然の極めて高い耐性を与えてくれる装備品で、エルクにしか装着時に効果を発揮しない等、マジックアイテムとしては特定の個人専用品(ユニークアイテム)の特徴を備えている。


●月光の魔剣【アイテム名】

 三日月、クレッセントの名で知られているエルクの愛剣で、強い魔力を秘めたまるでガラス細工のような透き通った半透明の刃をもつ事が特徴的な一級品の魔剣であり、緩やかに湾曲したシミターにも似た形状の薄い刃を持つ片刃の長剣である。その形状からエルクの得意な抜き打ち斬りに最も適した武器であると思われるのだが、通常のシミターのような刃の厚みはもたず、非常に頑丈な作りの割りには、やけに刀身の厚みが薄く軽い事などから、本当に月の光を精錬して刃を創りだした剣なのではないかとまで言われている。

 そんな特徴のせいか通常の長剣よりも遥かに軽く、種族的特徴としての小柄で力が若干弱めな点を見事にフォローしてくれている特徴の数々を備えた、まさに理想の武器であったせいか、引退を决意した時にも手放す事はなく、ずっと手入れを怠る事もなく手元に置き続けていたらしい。エルク本人は、この剣のことをバディ同然の相棒とみなしており、あるいはバディよりも大事にしているのかもしれない。


●白銀の重鎧【アイテム名】

 クレッセントを創りだしたのと同じ作者の品らしく、読めないまでも同じ銘が刻まれている。その職人は見た目に拘る人物でもあったらしく、通常の重鎧よりも遥かに軽く、そして美しい特徴を備えた白銀の輝きをもつ鎧となっている。この鎧は4大元素系の魔法攻撃に対して強い魔力耐性を秘めており、元素系の攻撃魔法から着用者を守る魔術式が内側に刻まれている。鎧としての性能も一級品であり、重量軽減、強度強化、物理防御力強化、魔法防御力強化などの魔法が込められているのが確認されている。あるいは、こういった装備品を身に着けていたからこそエルクは天空竜に気に入られれたのかもしれない。




●エレナ【神名】

 契約と制約を司る神で、茨の王の別名と契約の神としての在り方で知られている。エレナの司祭は契約に基づき茨の力による制約(ギアス)をかけることを生業にしており、神の力による茨の戒めは『エレナの輪冠』あるいは『茨の輪冠』と呼ばれており、主に奴隷商人が奴隷の手首などに刻んだり、犯罪者に再犯防止のために首に刻んだりしている。

 クロスの四肢に刻まれている封印は通常の封印を四重にかけている状態であり、封印の強度は重ねることに乗算されていくことになるので、万が一にでも戒めが発動したならものの数秒で発狂しかねないほどの苦痛を与える事になるだろう。


●サリエル【神名】

 医療と死の両方を司る神にして悪魔。かつて天上の世界にのみ存在していたとされる卓越した医療の術を下界に教え広めただけでなく、治癒の奇跡をも分け与えた事で罪に問われ、その罰として神格を剥奪されて堕天し、悪魔に堕とされたとされている。

 地上で生きる者達にとっては医療の術と治癒の力をもたらしてくれた医療の道の神であるのだが、それと同時に恐ろしい神罰の力による惨たらしい死をもたらす悪魔でもあるとされている。そんな二面性をもつ存在であるせいか、魔神としてのサリエルは別名で赤月の魔神とも呼ばれており、教会の紋章である白十字や治療院の紋章の赤十字などは、そんな神と悪魔の二面性を元にデザインされたマークだとされている。

 悪魔に堕ちたとされているため、崇めることは悪魔崇拝になってしまうので明確な教会というものは存在していないのだが、医療の道を志す者でサリエルの名前を知らない者はおらず、医の道に生きるものがサリエルに誓うという行為には、自らの医師としての誇りそのものに誓うという行為になる。




●“魔王”クリムゾンアイ【人物名】

 魔族の王、魔王の称号で知られている最強の魔族であり、かつての大陸の支配者。人魔大戦の末期に、ノーザンクロスの居城において死んだとされているが、ノーザンクロスの消滅に伴い当時の資料の多くが失われてしてしまっており、魔王に関する記録など、詳しい資料は何も残されていない。

 名前の由来になった真紅の瞳が最大の特徴だとされているほか、“裁く者”の二つ名をもつ伝説の武器を保有していたと言われていたり、あらゆる魔法や攻撃を飲み込む“闇の衣”と呼ばれる鎧を身にまとっていたとされていたりと、色々と真偽の怪しい噂話には事欠かない人物である。

 最強最悪の魔族らしく、その力の前には天空竜ですら手を出せなかったと言われており、一説には天空竜がバベルの頂上で地上を監視しているのは魔王の復活に備えているためだとも言われている。それほどに天空竜が恐れ、警戒しているような存在であるという一点だけでも、魔王と呼ばれる存在の脅威レベルの高さが窺い知れるというものなのだろう。


●“勇者”シャルロット【人物名】

 伝説の勇者で、人魔大戦を引き起こした張本人とまで言われているが、その割にはつい最近まで名前すら分かっていなかったという存在自体が謎に包まれた救世主的な人物。パートナーに助けられて、二人で魔族の王、クリムゾンアイを討ち取ってノーザンクロスを滅ぼしたとされているのだが、その街一つを吹き飛ばした出来事の正体が、小さな女の子であるという一点だけでも信憑性をなくすに十分な要素が詰まりまくってしまっている。

 そんな訳で、多くの人々にとっては、ごく当たり前の話でしかないはずなのだが、シャルロットとは、所詮は物語上の架空の人物であり、実在するはずもない、ただの創作物上のキャラクターの一人でしかなかったはずなのだが……。極希に、ジェシカのように架空の存在があたかも実在しているかのように信じ込んでしまっている困った子供も居たりするため、大人たちの頭痛の種にもなってしまっているのかもしれない。




●ノーザンクロス【都市名】

 魔族が頂点に立っていた暗黒時代に王都があったとされる場所で、大陸の中心にあった小高い丘の上に存在していたとされている。街の中央にあった丘の頂上部分には魔族達の王、魔王クリムゾンアイの居城があったとされていて、北に大森林、西に別大陸との交易を行なっている貿易港、南に冒険者達の街、そいて東に人間族が暮らす湖畔の街といった位置関係にあったとされている。

 詳細については不明であるものの、人魔大戦の末期にノーザンクロスは消滅しており、それ以来、大陸の中央には不毛の荒野と砂漠が広がっている。クロスロードと大森林を結ぶ大陸中央を縦断する交易路の中央部分……。大陸の中央部に今でも残る交易路の痕跡だけが、その街の実在を物語っているのかもしれない。


●サザンクロス【都市名】

 クロスロードの旧い名前。大陸をまだ魔族が支配していた時代に、大陸南部の十字に街道が交差している街は、この名前で呼ばれていた。この頃には街の規模としては小さかったものの、既に大迷宮やバベルが存在していて、そういった二大迷宮を攻略しようとする冒険者が集まる街として知られていた。

 後に、亜人種の支配から脱した人間が自分達の王都をココに定め、人魔大戦の末期に大陸中央に存在していたノーザンクロスが消滅したために、名前をクロスロードと変えて新しい大陸の中心、王都として……。そして、新しい時代の始まりと、人間族が主役の時代の始まりを象徴する都として、大陸史の新しい中心地となっていくことになる。



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