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27 メイロッテの変化

「こんなの! こんなのおかしいわよ!

そこのアンタとアンタ! アンタたちが私を虐めないからこんなことになったんじゃないの!」


 パレシャはメイロッテとアリサの友人のご令嬢の一人を指さした。


「メイロッテが優秀なんておかしいのよ!

テッドまでAクラスなんて本当に変よ。テッドは自分がCクラスで婚約者がAクラスだからコンプレックスの塊であるはずなのに」


 アリサの友人を睨みつける。

 

「アンタもいつも平気な顔してっ! まさかテッドと婚約してないの?」


「いえ。わたくしはテッド様と婚約しておりますし、テッド様には大変によくしていただいておりますわ」


 皆にとっては訳の分からないことを喚くパレシャに指を差された令嬢はテッドの婚約者である。


「さり気なく自慢話入れるんじゃないわよっ! それならなんでヤキモチ焼いて私を虐めないのよっ! テッドのこと好きじゃないんじゃないの!? そんなのテッドが可哀想じゃん!」


 テッドがケネシスと同様にいやいやパレシャに付き合っていることもノアルのお陰で二人きりになることは決してないことも婚約者のご令嬢はわかっている。


「テッド様をお慕いしておりますし信頼もしております。ユノラド男爵令嬢様につきましても丁寧にご説明いただいておりますのでご心配はしておりません」

 

「だからっ! 自慢話入れるなって言ってんのっ!

メイロッテ! 笑ってるんじゃないわよっ!

アンタ、武術バカなんでしょう?! なんで一学年上のAクラスに入れたのよ?」


 メイロッテの友人たちから異様な空気が流れたがメイロッテが手で制する。これまで黙っていたメイロッテが哀れみの瞳で前に出てきた。


「確かにわたくしは幼少期には武術ばかりで学術は得意ではありませんでしたし必要だとも考えておりませんでした。

人は誰でもいつでも変わることができるのです」


〰 〰 〰


 メイロッテはズバニールと婚約した頃、全く勉強をしておらずコンティ辺境伯夫妻は半ば諦めていた。


「オルクス公爵家に嫁いだら公爵家の自警団を束ねる役割でもいただきなさい。マナーだけはしっかりせねば公爵夫人として恥をかくぞ」


「多少勉学は苦手でもメイロッテ嬢の明るさなら社交界でも問題ないでしょう。マナーは学園に通えばある程度できるようになりますよ」


 オルクス公爵夫妻もズバニールがメイロッテを気に入っている様子だし政略的にも友好関係でいたいためメイロッテの奔放な元気さを受け入れていた。


 そんなメイロッテがオルクス公爵家に遊びに来たときのことだった。ズバニールはメイロッテが来ることを知っていたがどうしても王都のケーキ屋に行きたくなってしまい我慢は絶対にしないのでメイロッテを待たせてもいいと言って出かけてしまっていた。

 

 メイロッテはそれならばとアリサと遊ぶことにした。アリサの部屋に行くとアリサはソファーで本を読んでいる。


「アリサ。ご本を読んでいるの? 少し外で遊ばない?」


「メイお義姉様(おねえさま)! わかりましたわ。お庭で遊べるお洋服に着替えます!」


 メイロッテからの誘いが嬉しかったアリサはその本をソファーテーブルに置きメイドを一人連れて急ぎ足でクローゼット部屋へ行った。


 メイロッテはその本を手に取る。


『アリサはすごいな。もう文字が読めるんだ』


 無地の表紙を捲る。その一枚目の挿絵にメイロッテは衝撃を受けた。


 メイロッテと同じオレンジの髪の少女騎士が剣を捧げて凛々しく立っているのだ。紅い瞳は何かを決意するようにキラキラと輝いている。


 その本を捲っていくと挿絵は騎士と訓練しているようなものだったり、狼を薙ぎ払うところだったり、少女たちを背に庇って何かに立ち向かっている様子だったりする。


「これは何と戦おうとしているのかしら?」


「こちらは街にいる悪者たちが少女たちを連れ去ろうとしていたところに主人公ロッティーが現れて少女たちを助けるシーンですわ」


 メイロッテに冷たいジュースを持ってきたメイドが笑顔で説明した。


「主人公はロッティーというの? 私、まだ文字が読めないから……」


「ええ、存じております。メイロッテ様はまだ幼いのですから当然ですわ」


「でもアリサは読めるのでしょう?」


「アリサ様もこのご本だけですのよ。このご本はアリサ様のお考えの物語を絵本にしたものなのです。

うふふ。主人公のモデルがどなたなのかおわかりになりますか?」


「え? もしかして……。私と似ているなって思ったの」


「うふふふふ。正解です。アリサ様はメイロッテ様と初めてお会いになった時にこの物語が浮かんだそうです。絵を描いた者に目を輝かせて説明しておりました。その絵を見ながらアリサ様が作った物語を家庭教師の先生が本にいたしました」


「私もこの物語を読みたいな……」


「本当ですか?!!」


 メイロッテが顔を上げるとそこにはワンピースに着替えたアリサがいた。アリサとクローゼット部屋へ行ったメイドが再びクローゼット部屋へ戻っていく。

 アリサはパタパタと走ってきた。


「メイお義姉様。勝手にメイお義姉様をモデルにした物語を作ってしまってごめんなさい。でもメイお義姉様のお姿があまりにもステキで、わたくし、たくさん夢を見ましたの。その夢を絵本にしてもらったのです」


 目をキラキラさせてアリサのヒロイン様を見つめていた。

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